「足ながおじさん」をミュージカル化した舞台です。
時代は20世紀初頭のニューイングランド。
出演者はふたりだけ。
孤児であるジルーシャに坂本真綾さん、あしながおじさん=ジャーヴィスに井上芳雄くん。
ジャーヴィスの本棚だらけの書斎を模したセットが奥に、あとは箱(トランク)を何個か使って、という舞台の使い方でした。
ジルーシャもジャーヴィスも常に舞台上にいます。
ジルーシャが足ながおじさんに手紙を書き、ジャーヴィスが書斎でそれを読む、というのが基本スタイル。
それが歌によって綴られていきます。
1部・2部合わせて、リプライズも含めて、30曲ほどナンバーがありました。
下手奥の客席から見えないところで、6人編成で生演奏
ふたりとも歌ウマさんなので、耳福でした。
芳雄くんが、わりと低音で歌うのが、新鮮でした。
さらさら前髪ではなくて、あの時代の雰囲気の髪型で三つ揃いのスーツ、というのも堂々として、立派な大人の男になっていました
ちょっとした思いつきで始めたジルーシャへの援助だったのでしょう。
何事にも新鮮な興味を示し、大学生活を謳歌しているジルーシャからの手紙に、そしてジルーシャにしだいに惹かれていくジャーヴィス。
真綾さんのジルーシャは、最初は瑞々しく、そして少しずつ大人になっていく様子がわかって、上手いなと思いました。
芳雄くんのジャーヴィスは、1幕目は大きな心の揺れもなく…だったのですが、2幕になると、恋に向き合う(と言っても、彼は“恋”とは意識していない。)不器用さに、切なくなりました。
行こうかどうか迷って、開幕してからとったチケットだったので、シアタークリエの最後列(22列目)のお席でしたが、見晴らしもよく想像していたよりも舞台が近くに感じられました。
そして、幕が降りたときは、しみじみ“良い舞台を観れてよかった~”と深呼吸したのでした。