上砂理佳のうぐいす日記

7月18日(木)~23日(火)まで、茶屋町の「ギャラリー四匹の猫」で「夏への扉」展に参加します★

流転の女王

2006-02-25 | トリノ五輪
帰宅してM新聞を開けたら、「モロゾフとキス」の静香ちゃん大アップの写真が。モロゾフは振付師兼コーチの方です。恋人ではありませんよ(笑)。すっかり、チームの一員におさまっとるがな。日本のお茶の間にモロゾフが浸透するなんて!
4年前の五輪、号泣するヤグディンの傍らにいた若いあんちゃんが、日本の金メダルに貢献しまくるとは…誰が思ったことでしょう。そして今、タラソワさんは何を思うのでしょう。

「トゥーランドット」は結局、4種類あることになりますよね。
01-02年の、佐藤久美子コーチバージョン(解説してた佐藤有香さんのお母上ですね)。私、実はこれ余り覚えてない。でも衣装が素敵で、体もシェイプされてて「静香ちゃん綺麗になったな~」と思った事は覚えてます。この年は調整が出遅れて、ソルトレイク五輪と世界選手権の女子2枠は、恩田さんと章枝ちゃんが出場。
翌02-03年、コーチをアメリカのキャラハン氏にスイッチ。長野金メダルのリピンスキーを育てた名コーチですよね。
たしか、SP「白鳥の湖」の振付依頼でモロゾフとのお付き合いが始まったと思いますが、この選択はナイスでした。ヤグの五輪優勝で急激に株の上がった(?)モロゾフに依頼が殺到してた頃ですが、この「白鳥」が大成功したので、翌年もお付き合い続行。FSは「タイタニック」でしたが、SPが衝撃的だった分、FSはやや印象が薄かった(私には)。でも確かユニバーシアードや冬季アジア大会など、4週連続出場とかやってのけてたはず。「ハードな下積み」感がありました。
03ー04年、フリーで「トゥーランドット」を再び。これが2つめ・モロゾフ振付バージョン。私は、いかにも東洋の美女的な静香ちゃんにぴったんこやんか~、と黒いタイトな衣装を見ながら思ってました。
この年は良い演技を続けながらも、GPシリーズでどうしてもコーエンに勝てない。SPが最初「シェルプールの雨傘」だったのですが、モロゾフにしては平凡な振付で、シーズン後半にもう一度「白鳥の湖」に戻すという賭け。でもここで戻して良かったと思います(「シェルプール…」では世界選手権のSP2位は取れなかった!絶対!)。
そしてもう世界選手権の直前に、コーチをキャラハン氏からタラソワさんへスイッチ。この賭けは…無謀にも思えますが、結果的に功を奏して、見事金メダル(ただ、キャラハン氏には失礼であったと思います)。
3つ目の「トゥーランドット」は、「振付のベースはモロゾフが作って、仕上げ・アレンジはタラソワさん」という事になりますが、このパターンは、まさにヤグディンの金メダルへの道…でしたよね。
やっぱり何だろね。ドラマチックでメリハリが凄いんですよ。タラソワさんのは。前半は激しく冷たいトゥーランドット姫が、中盤の転調するところからガラッと変わって、後半、愛に目覚めていく。この「スケーターが俳優になっちゃう」演劇性は、まさにタラソワ真骨頂でした。この年が旧採点法のラストの年になり、静香ちゃんは「最後の6.0=満点を貰った女王」になります。
この時のイナ・バウアーが、一直線ですごく長く、スパイラル、スピン、とたたみかけて行くところ。涙があふれます。最後の「やり切った!」という歓喜の表情が、私は忘れられません。
そして04-05年がスランプの年になり、今年は再スタートを切ってタラソワさんの指導に従ってきたわけですが、まさかそれを振り切って、またモロゾフに戻るとは!
でも…この4つめ「トゥーランドット・モロゾフ改訂版」、前項でも書きましたが、静かな情念と穏やかさに満ちていました。なんだろ。
プログラムが…ジャンプが…どうのこうの言う前に、静香ちゃんのスケート人生の紆余曲折、全てがここにあるような気がしたのかな。自分の頭の中で、今までの彼女の姿がぐるぐる~と駆け巡っていた。
なんだか「優しい」トゥーランドットでした。静香ちゃんのプログラムを見て、感動したりすごいって思う事はあっても、こういう優しい気持ちに浸れたことはなかった。だからすご~く不思議です。
コーチを変え、振付師を変え…まさしく「流転の女王」ではないでしょか。
言うのは簡単ですが、本当に長い長い道のりが、あの4分10秒に詰まってるんだなあ~と、見返しては感嘆してます(多分、五輪の最年長女王では?)。

エキシビション!
みんな何を滑るのかな?プルさんはバイオリニストつき?
コメント (3)
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