上砂理佳のうぐいす日記

7月18日(木)~23日(火)まで、茶屋町の「ギャラリー四匹の猫」で「夏への扉」展に参加します★

SP後の3人

2006-02-24 | トリノ五輪
イリナとサーシャですが、転倒が響きましたよね…もし、この2人がパーフェクトだったら、最終順位は変わっていたのかも。でもこれが五輪。それが五輪。

SPが終わった段階で、3人がほぼ横一線に並んだこと。これで精神状態が微妙に狂ったのもしれません(うぐいす推測)。静香ちゃんは追う立場で、守るのはスルツカヤとコーエン。
スルツカヤがもし、SPで大きく他を点数的に引き離していたら、フリーに向けて気持ちの余裕が出来て伸び伸び滑れていたのでは。僅差だったため焦ったのではないでしょうか。絶対失敗できない、と。そしてPCSで「いつもの8点台」が出てなかった事も、動揺につながったのでは。
フリーは、出だしはスピードがあると思ったのですが、冒頭で昨年(世選)みたいに3ルッツー3ループで攻めてこなかったのが、まず驚き。次の3-2-2はまとめてたけど、フリップが2回転になり更に一番得意な3ループで転倒してしまったのが、また驚き。ストレートラインに入る前の音楽の切り替えのところも、何か噛み合ってなくて焦っているようでした。いつもなら「さあ!ステップよ!」って得意気にたたみかけていく場面だから。
思えば10月の東伏見で「なんて鮮やかなスルちゃん。はー!」と感心し、グランプリシリーズでは「誰も勝てない」圧倒的な勢い。とにかく「不動のPCS」でした。もはや、永久にプルさんとスルちゃんには勝てないのでは…と思わせるジャッジ評価でした(真央ちゃんがファイナルで勝利しましたが、あれは時差ボケによるスルツカヤの不調も大きかったと思います)。
だからね~。今回もフリーでは「強い強い」と思っていたのですよ…。なぜ転倒なのか、見た目にはわからんのですが…。本当に五輪はコワイですよ。
唯一の救いは、キス&クラで4年前みたいに悲愴な表情でなかったこと。今回は「あー、これじゃ点は出ないわねー」と苦笑しているかのようでした。2度、世界女王に輝いた事で、ある程度の満足感というかあきらめというか「五輪は運が無かったな」と気持ちを切り替える事が出来たのでしょうか。自病と闘いながら私は良くやったわ、という事でしょうか。
いずれにしろ、ちょっと気の毒でした…ちょっとどころではないかも。静香ちゃんの「昨年の惨敗からのリベンジ」は勿論嬉しいのですが、勝つ人がいれば負ける人がいる~。切ないわ。切ないよー。

サーシャは…アレクサンドラ・ポーリン・コーエン嬢ですが、もう、アップの6分で既に気が動転していたような。足の怪我とはホンマかな?だったらこれもツライです(うう…ここにきて)。静香ちゃんとぶつかりそうになってたし、明らかにおかしい感じでしたよね。
「ロミオ&ジュリエット」リンクに出ていく時、既にもう異常に固まっているし。不安だな~と思って息を詰めて見てました(でも信頼もしてました)。
もともとジャンプは低い人なのですが、やはり高さが…。でもまさかオープニングで転倒とは。続けてとは。その後、後半は固さが取れていったようですが、全米で見られたような「ひとつの物語世界」は紡ぎ出せてなかったような。サーキュラーもステップのシャープさに欠けていました。ほんともう、「あれ?あれ?あれ?」って感じでした。私は、作夜のSPの延長線上にある様なフリーを魅せてくれる、と思ってましたから。
コーエンも、もう終わった後はサバサバしてるような感じでしたね(元々、泣き崩れるようなタイプじゃないし)。金ではないけど、五輪初メダルで、それはそれでグーだったのでしょうか(?)

なんだかフリーのあの緊張感の中で、3人の女王が各自どんな心境だったのか、想像するだにおとろしい。誰かマンガで描いてくれ。こんな場面(あ、「ブリザードアクセル」?)。
結局、最も平常心を保てた静香ちゃんに軍配が上がった、という事になりますが、だからといってコーエンとスルちゃんが精神的に弱かった…とは言い難いですよ。そんなにアッサリ片付けられるもんとちゃうわ。2人とも強いのだから。じゃあなんだ。と、すかさず傍らの母が言い放ちました。
「オリンピックは“運”もあるでー。」

…そうね。切ないわ。日本優勝で嬉しいんだけど。二人の女王にも拍手を。
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シズカなるトゥーランドット

2006-02-24 | トリノ五輪
★静香ちゃん、金メダルおめでとう★
見ました。いやー。いやー。いやー。いやー。いやー。
私の「ホンネ」は実現し、荒川静香ちゃん優勝なさいました。いやー。
本当におめでとうございます。あの金のドーナッツに「8年の重み」をズッシリと感じました(にしてはシンプルなデザインだが)。
私が静香ちゃんに着目し始めたのが、長野五輪の国内選考会あたりからだったので「8年の重み」なの。その間、低迷あり優勝あり…本当に短いようで長いような。いや、なんか軽々しく言っちゃいかんですね。

今日のニューバージョン「トゥーランドット」は、04年ドルトムント世界選手権の時の「タラソワ総仕上げバージョン」のような、攻撃性とストーリー性は感じられませんでした。あの時はモロゾフが振付けて、結局、直前の土壇場でタラソワさんに駆け込み、バージョンアップしてもらって金メダルでしたよね。私はその時はそれがベストだと思いました。モロゾフ版は良く出来ていたけど、端正すぎて味がやや薄かったのです。「あともう一押し」をタラソワさんがやってくれました。それに見事にこたえた静香ちゃんも、凄かったのですが。
今回のトリノ版は、曲のつなぎを変えてますよね。使う素材と編集も違う。だから全く別の作品に思えました。
でもその分、膨らみが出たというか、バイオリンの音色が繊細でこの上なく美しく、静かに水上を滑っていくかのようでした。とにかく雄大です。これきっと、TVより会場で見るほうが10倍、迫力を感じられたのでしょうね。もともとスケールの大きさでは女子随一の持ち味の静香ちゃん。モロゾフもその辺りを上手く考えて作ってあって、無理に攻撃性を持たせるより、ゆったりと作品の「美しさ」を前面に押し出した。それが功を奏したのかな、と。ゆとりがある分、ジャンプも余裕が感じられました。無理に3-3でなくて正解。それに、なんといっても本場イタリアで「トゥーランドット」ですけんね。盛り上がります!
イナバウアー(すっかり有名になりました)から、3-2-2も成功、ここが後半のポイントでした。決まって嬉しかった!最後のストレートラインステップが、左右の大きなターンで、ググーッと盛り上がりましたね。

「攻撃のドルトムント」から「静かに燃えるトゥーランドット」に変わったか、と。「点数よりも“美しく”滑って終わりたい」という、静香ちゃんの最後の究極の願いが叶ったように思います。そしてあの衣装も良かったよね。
なんだか…いや、本当におめでとうございます。言葉がない!
コメント (2)
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