…支離滅裂ですが勝手に語ります(笑)。
デスノートの前半の感想はこの間書きましたが、連ドラの後半、どんどん夜神月が変化していきましたね。とにかく一回見たきりで全然録画を見返していないので、時間作って最初からじっくり、トータルで見返してみたいです。
後半の窪田ライトは、なんでしょうね。恐ろしさもあったけど、哀しさが増しました。儚いというか。「哀れの美」というか。
最初に対策室に入った時はまだ大学生っぽさを残していたけど、もう、8話目ぐらいでは死神の顔なんよね。周りが「世俗の人間」で、一人浮いてました(笑)。メイク効果もあるんだろけど、発してるオーラが明らかに違ってて、初回からの変わりようにすごいなと。
月の寿命っていったい何年あったんだろ?
あのラストが、まさに彼の寿命でそれはもう、定められてたんだろか?
だからリュークは、ちょっかい出してそそのかして、楽しんだのか?
死神ね…ビジュアル面で言うと特に後半は、月光に照らされて端正な顔立ちが映えました~。
「月」って名前がしっくりくるなあ
冷たい月の光。
ほとんど「夜」とか「闇」の場面が多かったので、光と影で魅せる部分がよく計算されていたというか。まあ撮影のプロなら当たり前なんでしょか。
窪田君、色白でシャープな顔立ちなので、あの、ミサミサを上から見下ろしてる顔なんかは、レンブラントみたいでゾクゾクしましたね。撮影の人も「窪田はこう撮ったら美しい」をよく解ってて、そこは本当に満足です
しかしホンマに「朝市君」と別人ですねえ。
それにしても、全編ほとんど「窪田正孝プロモーションビデオ」化してたので(笑)、前からファンだった方にはとても美味しかったのでは。いやそれゆえに、ドラマのクオリティの問題でイライラされたと思いますが(笑)。
私も正直かなり「窪田くん無駄使いとちゃうのん」とゲンナリしてたんですが、後半明らかに全体の温度が上がってきて、それぞれの役の魅力も深まってきて良かったです。
夜神パパが松重さんで良かった(!)パパは初回から存在感が好きでした。月とパパの迫真のシーン、松重さんの最大の見せ場で、重みがあって良かったですね~。
実は、監禁のシーンはそんなに良いと思わなかった。でも原作ファンの人達の声を見てたら、監禁とか「計画通り」は絶対に外せないんでしょうね。
山崎君のLは、確か当初は「お笑い芸人が好き」とか、「潔癖症ですぐにお着替えする」とか、ヘンテコな役作りでしたよね。。。ネットで反応が良くなかったせいか、途中からそんな演出なくなっちゃった(笑)。
無理にキャラ作りするより、「普通に名探偵」の方がずっとしっくりきました。だから後半は良い印象。死後にビデオレターを残してまで月を追い詰めるというのも良かった。むしろ死んでからの方が恐かったですね。
ニアの持ってた腹話術人形も、やはり反応よろしくないので消えてしまったような(?)だって、終始、あの人形に喋らせてメロにしたかったんですよね?(違うのか?)でもそれは陳腐に思えたな。ニア役の女の子は雰囲気の出し方がなかなかに上手かった。あんな可愛い少女が、平然と恐ろしいことをやってのける方が、ずっと不気味でいい。
あと、魅上役の忍成君がハマってて抜群でした。この人で月役やってもいいんちゃうか、思った位。対策室メンバーも後半キャラが立ってきて、せっかく温度が上がってきたところでエンドなのは勿体ない。
なんかTV誌に書いてあったけど、監督談として「皆さんの反応を見ながら進行させてます」とあって、ネットの反応はスタッフが逐一見てたんでしょうねー。反応を見て修正している感がアリアリでした(笑)。
きっと、CGリュークも、もっと「おちゃらけキャラ」で活躍させたかったのでしょう。ギャグも色々考えてたみたいだし(笑)。
でも、窪田君の演技がどんどんシリアス度を増していくので、「おチャラけ入れてる場合じゃねえ!」。噛み合わないなーと思ってたら出番減りました(笑)。
リュークやレムはねえ。デザイン的には良いんですが、セリフがイマイチなんだと思う。脚本家が御年輩なのでしょうか。「ボインちゃん」なんて今時言わんやろ(笑)。
CGにありがちなことなんだけど、最新技術を見せたいがために、「ドラマ」の方が軽んじられている。「このCG良く出来てるでしょ?」で止まってて、肝心の「そのキャラがどういう意味を持つか」が薄いから、なぜここにいるのかがわからない。
原作知らない私が察するに、人間達が殺し合う愚かさを、「アホやなあ」と皮肉な目で笑い飛ばしている役どころ、【狂言まわし】なんだろうと思うんですが、それにしては煮詰め方が足りなかった。初めて見る視聴者はそう思うんすよね。
あ、「ど根性ガエル」初回だけ見たんですが(笑)、あの「ピョン吉」は見事でしたね!ちゃんとCG技術で唸らせながら、キャラの描き方も深い。「ピョン吉頑張れ!」って涙するもん(笑)。
お客さんの反応を見て修正するって…いいものか悪いものか。
ツィッターのおかげで即座に反応が出るから、一種「ライブ」みたいな面白さはありますが、逆に言うと制作プロデューサー側の「覚悟の無さ」を感じますよ。
そんなに簡単に演出を変更してどーする!
世界観の作り方の曖昧さが、ドラマの質を下げてると思うので、もっと突き詰めて「これでいいのか?」と撮影始まる前に研ぎ澄まして欲しかった。「たかがTVドラマ」と、ちょっと軽んじているように思えましたよ。スタッフや役者さんは頑張っているのにね。名作のリメイクだからこそ、滅茶苦茶気合いれないといけないのに、なんだか名作のブランド性に頼り過ぎに思えたな。
最終回まで見てカラクリがわかったんだけど、夜神パパは最後まで警察としての職務をまっとうした。だから、キラ(犯人)を逮捕せんが為に自分の命を賭けた。そして殉職した。
この辺はブレがなかったです。初回で、お母さんが死の間際にいて幼い子供達は泣いているのに、パパは職務を優先して家族を犠牲にした。「すまん」とは思っていても、やはりこういう生き方しか出来ないお父さん。
月にとってはこの「母さんと家族を犠牲にしてまで守る“正義”って、何なんだよ!バカ!」という憤りが大きなトラウマになっていて、後にデスノートを使う心理のベースになってると思うんですが、パパは最後までそこに気付かない。いや、頭ではわかっているんだけど、「正しくあろう」とする自分を曲げられなかった。
この、「父と息子の葛藤」と「わかりあえなさが生む悲劇」を、「正義って一体何だ?」というテーマと絡めてドラマ版のコンセプトにしてると思うんですが、いかんせんそれが原作の魅力と上手くリンクしてない。そこがちょっと辛いです。
プロデューサー側は、「リメイクするなら何か新しい魅力を出さないと」ということで、この「親子葛藤」を取り入れたのでしょうが、「人間ドラマ」にするなら、月とパパの心理ややりとりを、もっと丁寧にひろわないといけないし、原作の持つ「ゲーム的な面白さ(月とLの超頭脳戦)」を主軸にするなら、親子の葛藤はいらないかな。結局、脚本的にはどっちつかずでブレてしまいました。
私個人は「人間ドラマ」主体にして欲しかったけど、そうなると「デスノート」の名を借りた別物になるわな。いやはや難しい。
窪田君の演技プランは、果たして監督・プロデューサーの指示通りなのか、自分の考えとミックスなのか、かなり意見が通ったのか、よくわからないのですが、私には、かなーり自由に「感じるままに」演じているように見えました。
いや、綿密に技術を蓄えてきておいて、いざ本番では「役の人生のままに生きる」。
そんな風に見えました。
フィギュアスケートとカブりますね。
死ぬほど練習し倒してきて、もうこれ以上出来ない!まで追いつめて追い込んで、本番のオリンピックでは、「勝手に体が動く」。これが選手にとって一番いい状態らしい。なんだかそれを思い出しました。
(話それたー)
視聴者やデスノートファンの期待を裏切らないように…というのとむしろ逆に、「叩かれてもいいから自分はこうする!」という強い意志が見えました。始まる前からあれだけバッシングされるドラマも珍しいでしょ。。。すさまじいアウェーで始まったけど、私は彼は最後は力ワザでねじ伏せるだろな、と思ってた(願ってた)。
普通に生きてきた人間が、ある時「絶対的な武器」を持ったことで、心の底に眠っていた欲や葛藤が徐々に動き出し、もう戻れなくなってしまった。。。その人物像は、ブレていませんでした。
いやー。
あの脚本であれだけのイマジネーションを働かせて、「役の人生」を作りあげて表現してみせるって、本当に凄いですねえ。
私、俳優さんのテクニック的なことは解らないんですが、窪田君の「役をこうとらえる」感性の鋭さが、すごく好きなんです。それこそが「才能」なんでしょう。台本から何を嗅ぎ取るか、嗅覚とでも言ったらいいのか。
あの悲惨な最期のシーンを演じるのも、随分と覚悟がいると思います。若い人気俳優さんなんだから、イメージダウンにもなりかねない。
でももう、役どころそのものの「自分の正義をまっとうする」を、貫いているように思えました。
「正義」といったらおかしいかな。「意志」ですね。
プロデューサーには無かった「覚悟」が、窪田にはあった。そう思えてならん(笑)。
ファンが離れることを恐れてたら、新しいものは作り出せないし、新しい価値観を生み出すには、叩かれるのを恐れない勇気がいる。何の分野でもそうですが。
窪田君の役者としての強い意志と、夜神月という架空の人の強い意志が、最後の最後で一致してすさまじいエネルギーになって、燃えていった。なんだか今はそう思えます。
表面上は「無様な死」なのですが、落城する時の武将のようにも見えましたね。
大阪城落城とか、信長、本能寺に死す!とか(笑)。
最初から粘り強く見てきて、最期にあそこに行きつくってのも、いち視聴者としてカタルシスがあったし、「非業の死」として受け止められた。
なんか、すごいもん見た。すごい芸術を見ました。
(つづく)
*昨夜の投稿、夜中に書いてたらもう後半睡魔でボロボロだったんで(笑)タイトルも変えて編集しなおしましたっ