自転車のサドルの上で・・・

サドルの上での気ままなひとりごと

研ぎ師どんなべ(2)

2020-07-06 | Weblog

  熊本の災害は大変なことになっている。心からお見舞い申し上げます。特に特養で亡くなられた方は自分の経験からも他人ごとではない気持ちだ。近所の人も助けに来たとのこと。常日頃の関係も大事かとの思い。

さて、研ぎの続き。#8000を購入した動機など。

  オンラインゲーム・アニメ「刀剣乱舞」は「刀剣女子」を生み出すなど、日本刀がちょとしたブームとなっている。
 ハサミから包丁まで刃物は研げば切れるという感覚が好きであるが、日本刀は実用的ではなく、いささか遠い存在だった。婆さんが旅立って、両親の遺品なども整理し始めたが、その中で錆だらけの一振りの小刀があった。
 全身真っ黒な錆だらけで廃棄しようと思ったが、ご先祖様からの物であるし、名義変更届を県教委に出して、錆を落としてみようと思った。

 日本刀は素人では研げないと言われる。下地研ぎまでは砥石であるが、仕上げ研ぎは普通の砥石ではないので不可能、と理解したのだが、短い小刀だし、なんとか刃文が出るまでを研ぎの目標としてやってみることに。そういうことで、以前から気になっていたシャプトンの仕上げ砥もこの際買うことにした。
 日本刀は全身硬い鋼(皮鉄)でおおわれている。武器として、硬いだけでは折れやすいので、柔らかい鉄(心鉄)を内部に入れ強靭にしている。構造は、2重味のアイスキャンディみたいなものだ。
 研ぎの目標は刃文を出す事なので、刃こぼれが8,9か所あったが、気にしない。錆も無理に取らないこととし、現状の姿をなるべく残すこととした。従って荒砥は使わない。
 現物は無銘。刃こぼれや棟には切込み疵と思われるものがあるので実戦に使われたものでは?と思っている。ご先祖は江戸時代、商人であったが名字帯刀を許されている。商人だから刀は儀礼用、腰に差す飾りであれば、こういう刃こぼれだろうがなんだろうが外見が整っていれば良かったのではないかと想像する。(1800年前後の文書が20通ほど残っている。全部借用書で1回50~300両程度。製造販売しており、毎年一度の運転資金だが、このくらいの金を借りねばならぬという事は蔵には千両箱は無かったということ。雲切仁左衛門も相手にしない小商人がご先祖)
 脇差や小刀には無銘も多いが、これは大傷のついた刀を短くして再生(刀は切っ先を残して途中で切断して再生する。でないと切っ先に柔らかい心鉄が露出する。なかごを切断するため無銘となる)したものが多いからでもある。しかし、由来の分からない無銘の刀は値打ちもない。日本刀研ぎの初体験には良いかもだ。

 さて、研ぎだして面食らった。長さはよく似ているが、柳葉包丁のような簡単なものではない。まず、断面が6角形。片面で棟(むね)、鎬地(しのぎじ)、刃と3段となっており、しかも刃の部分はハマグリ刃という曲面となっている。
 このため、まず何本かある中砥石のうち柔らかそうな凝灰岩?の中砥の1/3の面をアールをつけて丸く削った。プロは横から見てかまぼこ状の砥石を使用し、このハマグリ刃を研いでいる。(全部丸くしないのは他の刃物を研ぐのに不便なため)一渡りこの砥石で研いで、研ぎ傷が大きく付いたところは粘板岩の中砥で補正した。次は研ぐ方向(向き)を変えて2000番シャプトンで研ぐ。次に8000番シャプトンのお出まし。
 現在はその途中である。差し裏の方から研ぎだしている(写真)。鏡面研ぎしかできないが、なんとか刃文の形状が分かるようになってきた(刃文は線のみ。展示されている刀身の白くなった綺麗な刃文はその部分を特殊な研ぎにより乱反射?させておりプロでないと無理) 
 研ぎの残っている切っ先を含む三角形の切っ先の部分は、全面曲面なので綺麗に研ぐのは難しそうだ。全体としても綺麗に研げていないが、自分が見るだけなので、このあたりで十分だと思っている。差し表の方も同様にして終了としたい。(差し表;腰に差した時の外側)



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