パピとママ映画のblog

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ヴァンパイア   ★★★

2012年10月25日 | は行の映画
「リリイ・シュシュのすべて」「花とアリス」の岩井俊二監督が、カナダを舞台に全編英語で撮影した異色のバンパイア映画。岩井監督が自ら執筆した同名小説を原作に、病身の母親と暮らす高校教師のサイモンが、あるウェブサイトに集まる死を求める少女たちとの間で織り成す純愛劇を描く。主人公のサイモン役に「トランス・アメリカ」のケビン・セガーズ。共演にアデレイド・クレメンス、クリスティン・クルック、ケイシャ・キャッスル=ヒューズ、アマンダ・プラマーら。日本からは岩井監督作品には欠かせない蒼井優が留学生ミナ役で参加。ありきたりの吸血鬼ものとは一線を画す、詩的な物語に引き込まれる。

あらすじ:高校教師のサイモン(ケヴィン・ゼガーズ)は、アルツハイマーの母親(アマンダ・プラマー)と一緒に暮らしている。ある日、彼はウェブサイト上で、一緒に自殺してくれる仲間を探している人々が集まる自殺サイトを見ていた。サイモンは、そのサイトで血をくれる人を探していた。そんな彼は、自殺を志願する人々から“ブラッドスティーラー”や“ヴァンパイア”と呼ばれていて……。(作品資料より)
<感想>岩井俊二監督、地元宮城県生まれの“岩井美学”と呼ばれる独自の映像スタイルで知られている監督。長編劇映画は「花とアリス」以来8年ぶりなんですね。「花とアリス」もとても素敵な映像で、作品としても好きです。今回は「ヴァンパイア」、血を求める高校教師が、WEBサイトに集まる“死にたい少女たち”に寄り添うなかで、本当の愛に目覚めて行くラブストーリーです。
舞台はカナダ、セリフは全編英語と、岩井さんは、監督・脚本・制作・撮影・音楽・編集のひとり6役で、心血を注ぎこんだ渾身の作品になってます。
ドラキュラ伯爵しかり、かつての吸血鬼は自分の目と鼻で獲物を探したが、現代のヴァンパイアはもっとハイテク。標的はインターネットでサクっと物色する、ハンドルネームはプルート。“死にたがりの人”から血を頂くので、彼らの恐怖の対象にならないのも現代的ですね。

サイモンは血を飲む他はいたって普通の人間と同じ。コウモリになって空を飛ぶとか催眠術のたぐいも使えません。逆に、吸血鬼の弱点である太陽の光や十字架なんかも平気なので、吸血鬼なのか、それとも“ヴァンパイア”を名乗る単なる殺人鬼なのか、本当の正体が語られることもなく物語は展開していきます。
サイモンの母親はアルツハイマー型認知症で、いくつもの白い風船を身に着けている。これは徘徊しないよう、サイモンが開発した拘束具なんですが、あまりに独創的すぎて、警察には虐待を疑われてしまう。だが、母親を思ってのことだ。母親は血を飲まないし、息子の犯行も知らない。
セクシー美女を誘惑して首筋にガブリ、なんてもう古いですね。サイモンは狙うのは死を望む女性だけ。致死量の血を抜くことで、彼女たちは苦しまず眠るように死んでしまう、彼に感謝さえしながら。また、犯行時は他人との接触をなるべく避け、遺体は誰も来ない自宅の大型冷凍庫に隠蔽。サイモンは完璧主義なのだ。

血を渇望するサイモンだが、別に血を飲むことで生命力がみなぎるわけでもなく、返って胃がむかつくことも。自分でも何故血を欲するのか分らず、孤独を深めて行く。そんな彼を丸ごと受け入れたのが“レディバード”、彼女は救いの女神なのだろうか?。
ブラム・ストーカー原作、F・W・ムルナウ監督の吸血鬼映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」を鑑賞する吸血鬼ファンのパーティに参加したサイモンは、そこで別のヴァンパイアが女性を狩る現場に遭遇します。複数のヴァンパイアが存在し、縄張り争いも。ヴァンパイア同士の力比べが刹那的に描かれる。
出血多量で病院に運びこまれた教え子の留学生、ミナを助けるため、看護師に頼まれサイモンは輸血をしてやることに。ヴァンパイアが、血を吸うどころか、血を抜かれるという皮肉。しかしそれは嫌みではなく、サイモンが人間らしい愛に目覚める1ステップとしてセンチメンタルに描かれている。人間にヴァンパイアが輸血するのは、「トワイライト」シリーズでもあるので、そんなに珍しくもありません。

ここまで書いてなんですが、実に映像が寒々しく、俳優たちの演技も暗すぎる。そういう種類の話だとはいえ、死をおもちゃにしている気配が感じるのもいただけない。淡い木漏れ日あふれる森の中で、ヒルに噛まれたブロンド美女の白い腿に唇をつけ、その血を吸い上げる青年のうっとりとした顔。人間の血を飲んで快楽を感じ、そのためには殺人さえ正当化する異常性癖の男を、詩的なモチーフに転化してしまうイワイズムはさすがと感心したが、一般観客には理解しがたい部類の作品といっていいでしょう。
確かに岩井俊二監督の心血が注がれた作品には違いないが、撮影自体には誰か他の人でも良かったのでは、と感じた。
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