パピとママ映画のblog

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犬ヶ島★★★★

2018年06月05日 | アクション映画ーア行

「グランド・ブダペスト・ホテル」の鬼才ウェス・アンダーソン監督が近未来の日本を舞台に、「ファンタスティック Mr.FOX」に続いてストップモーション・アニメ技法で描く異色のファンタジー・アドベンチャー。囚われた愛犬を捜すため、犬たちが隔離された島“犬ヶ島”に単身乗り込んだ少年が、島の犬たちの力を借りながら愛犬捜しに奔走するとともに、背後にうごめく巨大な陰謀に立ち向かう大冒険を描く。ボイスキャストにはエドワード・ノートン、ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソンをはじめとする豪華ハリウッド・スターに加え、渡辺謙、夏木マリ、野田洋次郎はじめ多彩な日本人キャストも多数参加。ベルリン国際映画祭ではみごと銀熊賞(監督賞)を受賞。

<感想>3人の和太鼓衆の、腹に響くリズムから始まる、犬が主人公の日本を舞台にしたストップモーション・アニメ。日本大好きなウェス・アンダーソン監督が、日本の架空の都市“メガ崎市”のとある未来。ドッグ病(犬インフルエンザ)が人間にも広がることを怖れた小林市長は、犬をゴミ廃棄場である“犬ヶ島”へ隔離することに決めた。

まずは手始めに、小林邸の護衛犬であるスポッツが、檻の中に入れられ島流しとなった。数ヶ月後、捨て犬たちの増えた犬ヶ島には、生粋の野良犬であるチーフを始めとする5匹のグループがいた。

そんな彼らの前に、6ケ月後、12歳のアタリ少年が、愛犬スポッツを捜し出すべく、盗んだ小型飛行機で犬ヶ島へ不時着する。小林家の養子である少年アタリは、養父に反旗を翻してまで愛犬スポッツを捜そうとする熱意に打たれて、5匹は共にスポッツを捜す旅に出る。

映画は、この少年アタリと個性豊かな犬たちの壮大な冒険を描くファンタジーであります。「ストップモーション・アニメ」は、古典的な手法で制作するのは「ファンタスティックMr.FOX」以来2度目になる。パペットの精密さと素早い展開は、素晴らしく犬たちの動作や風になびく毛並みなど、絶えず何かが動く細やかさは繰り返し見たくなるほど。

 

言語も日本が舞台だけあって、日本語を話す人間のやりとりが、互いの理解もあやふやのまま進んでいくのが惜しい。そもそも犬が喋っていても人間に通じているはずはないのだが、英語と日本語とのスーパーインポーズの目まぐるしさや、物語のスピード感にあてられてこんがらかり、逆にスリリングでもあります。

在りし日のボス、チームのみんなとラーメン屋で。

元野良犬のチーフ役のブライアン・クランストンの渋いダミ声が野良犬のハードボイルドさを漂わせてセクシー。彼の仲間の犬たちには、元野球チームのマスコット犬のボスにはビル・マーレイ、ゴシップ大好き犬デュークに、ジェフ・ゴールドブラム、元アイドル犬キングに、ボブ・バラバン、頼れるリーダーのレックスに、エドワート・ノートンとアンダーソン組の常連が顔を揃えている。金髪のアフロの留学生は、グレタ・ガーウィング、研究者役には、オノ・ヨーコと、人間様も豪華なキャストたち。

そして、アタリたちと5匹の犬たちが、旅の途中であう犬ヶ島の犬たちは、ナツメグにスカーレット・ヨハンソン、F・マーリー・エイブラハム、

ティルダ・スウィントンが、声を当てる犬種、未来を見ることが出来る予言犬オラクルがイメージと違い過ぎて最高。それに、ハーヴェイ・カイテルの遠吠えに泣けて来る。

日本を舞台にするにあたって、ウェス監督は浮世絵など伝統的なものからポップカルチャーまで様々な日本カルチャーを取り入れている。中でも彼らが最も影響を受けたのが、黒澤明や宮崎駿監督などの日本映画だと言う。

黒澤映画からはストーリーテリングを学び、宮崎駿アニメで特徴的なところは自然の描き方と間の取り方を学び、特に間は、アメリカのアニメでは観られない表現方法であり、大いにインスパイアされたという。

 

宮崎監督ほど、静けさや自然の音を大切にしているアニメ監督はいるでしょうか。草、水滴、虫の音などが効果的に使われている。

アレクサンドル・デスプラが音楽を手掛けているが、彼のオリジナル曲以外にもNY在住の渡辺薫による和太鼓や、黒澤明の「七人の侍」「酔いどれ天使」からも曲が引用されている。そして、本作の色調は、葛飾北斎や歌川広重の作品をベースにしたというのだ。紫色の空や、赤い建物などもそうですし、殆ど真っ白なシンプルなシーンもある。

とにかく犬たちの造形も無表情でトンでいる目つきとか、相変わらずウェス・アンダーソン監督の毒気と可愛いらしさと奇妙さが共存していて、全キャラクターが個性的でカワイイのだ。ストップモーション・アニメがオリエンタルで近未来であり、めまいがするほどの情報量を詰め込んだ、奇跡のような傑作ですね。

エンドロールにも嬉しい仕掛けがありますから。楽しいですよ。最後までご覧ください。

 

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