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友罪★★★

2018年06月07日 | アクション映画ーヤ行

薬丸岳の同名小説を生田斗真と瑛太の主演で映画化した群像ヒューマン・サスペンス。心に深い傷を抱えた元週刊誌記者が、元少年犯の青年との出会いをきっかけに、改めて自らの罪と向き合い葛藤していく姿を描く。共演に夏帆、山本美月、富田靖子、佐藤浩市。監督は「ヘヴンズ ストーリー」「64-ロクヨン-」の瀬々敬久。

あらすじ:ジャーナリストの夢に破れ、寮のある町工場に流れ着いた青年、益田。彼はそこで同じ日に入った鈴木という男と出会う。最初は他人との関わりを拒んでいた鈴木だったが、次第に2人は友情を育んでいく。一方で鈴木は、元恋人から逃げている元AV女優の美代子とひょんなことから知り合うようになる。そんな中、近くの町で児童殺害事件が起こったのをきっかけに、17年前に日本中を震撼させた凶悪事件について調べ直した益田は、当時14歳で、今はすでに出所している犯人・少年Aの写真を見つけ、そこに鈴木の面影を見て愕然とするのだったが…。

<感想>挫折を抱える益田純一が、新天地である勤務先の工場で、鈴木秀人という謎の青年に出会うところからストーリーは始まる。二人の男の後ろ姿の間に、「友罪」のタイトルが出た直後、道路を緩やかに移動する画面に、胸騒ぎめいた感覚を覚えたのだが、以後の展開にも絶えず予測しないことが起こりそうな気配が感じられて、目が離せなかった。それは二人の内の一人が、「あの少年A」だから、ということによるのではないと思うのだが。

主演の生田斗真と瑛太、その一瞬一瞬の表情すべてが素晴らしかった。「心を許した友は、あの少年だった」という本作の宣伝コピーですが、つまり、キャッチコピーが「心を許した友は、あの少年だった」という内容を端的に表しているが、その「少年A」以外の登場人物たちも含めて、テーマは「贖罪」。とにかくその周囲の人たちみんなの「贖罪」が描かれていくわけ。

端的に言うとそういう話なのであり、原作の薬丸岳の小説は未読ですが、「64―ロクヨン」や「8年越しの花嫁」の瀬々敬久が監督・脚本を手掛けての映画化であります。

どうでしょうかね、観ているとやりきれない気持ちになる映画にしか仕上がってないでしょうに。どうやったって、という方向で激しく観る者の期待を煽ってくれる作品でもあります。

 

様々な罪が出てくるのだが、罪自体は描かれないのだ。ただ、どちらもその事件の“その後”を描いていると思う。罪の後、そこに戻ることはできないのだと。戻ることで問題が解決するわけではない。事件は取り返しがつかない。じゃあ、自分たちはどう生きて行けばいいのか。それが「友罪」だと思います。

今回のモチーフにしているのは事件そのものが謎すぎるのだ。捉えきれない部分が多かったと思う。闇が深すぎる。ただ、衝撃は凄かった。14歳の少年が起こしたということも含めて、つまり闇の衝撃だった。

それぞれの物語が絡まり合って群像劇を構成しているのだ。息子が過去に犯した事件がきっかけで家族はバラバラになり、日々贖罪に向き合うというタクシー運転手の佐藤浩市。自分勝手に罪を償おうとする佐藤浩市に比べれば、「少年A」の理性には付いていけない。罪を犯した息子が幸せになることが、どうしても許せないと憤慨する父親の姿がもどかしくなる。

相手を殴ると事件になり身許がバレるのでやらないだけなのだが、それにしても自分を罰してガツンとやる場面が凄い。ただし、その後に傷跡がないのは変だと思った。鈴木=少年Aを演じた瑛太の芝居にもそういうところはあるようだ。捉えどころがなく、不可解な人物ではある。

その一方にいる生田斗真演じる益田も、彼自身が加害者的な位置にいたのだろうと。つまり関係性があいまいなわけです。加害者、被害者というダイレクトなものでもないし、友達になり得る、ということにも曖昧さがある。

益田は映画の構造として探偵にも成り切っていない。だから物語の構造が明確なものになってはいないのだ。益田には、かつてイジメで自殺した同級生がいる。助けることが出来なかったことで彼には加害者意識があるのだ。彼はジャーナリスト志望だったが、物語はマスメディアが事件関係者に及ぼす暴力的な影響も描いている。益田は複数の後ろめたさに支配されることになる。つまり、シンプルな罪悪感ではない。そうした混乱が、鈴木の不可解な闇を照らしたのではないかと思う。

しかし、相手がどんなに不可解な存在であっても、ある時、人は人に惹かれる。益田と鈴木もそうだったように。その結果、相手を知ろうとするのだ。クライマックスは、主人公二人の偽の視線交錯がある。この演出が瀬々監督なのだ。

 

益田の元恋人で週刊誌記者の杉本清美には山本美月。DV男に付き纏われて、鈴木に助けられ、だんだんと好意を抱いていく藤沢美代子に夏帆さんが。

鈴木の少年院時代に担当法務教官だった白石弥生には富田靖子。富田靖子は何故に、自身の裸を「少年A」に描かせたのか。とか微妙な謎が残るのもいい。一人の少年を救おうとして自分の家庭を壊してしまった医療少年院勤務の女性。

罪を背負う人々が、少しずつ重なり合いながら破門を広げていく劇の、構造は即ち円熟の域に達していて、罪を償うという行為への問いかけを実直に描いている。

瑛太の演技がちょっと苦手だったのに、感情を欠損させる不自由さを課すことで、中々いい役者となった感じがした。それに、佐藤浩市のさすがっぷりの演技に目を奪われがちだったが、生田斗真の細部にわたるリアルさも見落としてはならない。

 

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