パピとママ映画のblog

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ぼくたちの家族 ★★★

2014年06月02日 | は行の映画
映画化もされた「ひゃくはち」の作家・早見和真の小説を、『舟を編む』などの石井裕也監督が映画化した人間ドラマ。母親の突然の病気をきっかけに、それまでバラバラだった家族に隠されていたさまざまな問題が噴出し、その後関係を見つめ直し家族が再生していくさまを描く。妻夫木聡と池松壮亮が、責任感の強い長男と家族に対して素直になれない弟という正反対の兄弟役で初共演。彼らの両親を、ベテランの原田美枝子と長塚京三が演じる。
あらすじ:重度の物忘れにより病院で検査を受けた玲子(原田美枝子)は、末期の脳腫瘍で余命1週間と宣告される。そして認知症のような状態になった玲子は、それまで話すことのなかった家族への本音をぶちまけ、長男・浩介(妻夫木聡)、次男・俊平(池松壮亮)、夫・克明(長塚京三)はうろたえてしまう。やがて経済破綻や家庭内不信など、ごく普通の家族に隠されていた問題が明るみに出てきて……。

<感想>冒頭のシーンで、駅から歩いて家に向かう母、原田美枝子が通る住宅街が、あれっ、て思わず自分の住んでいる地元に似ているのに驚いた。自分の地元で撮影したのではなく、日本中どこにでもある住宅街を自分の地元そのままだと感じさせる、そういう撮影ができるのがこの監督なのだ、ということなのですね。
息子二人は家を出て、郊外の実家は夫婦2人だけ。その母親が脳腫瘍で余命1週間と宣告される。小さな会社を経営しているが、その内情は火の車である父親。母親が消費者ローンに多額の借金をしている。

母親が入院し、父の会社は経営難、入院費と実家のローンのしわ寄せが長男のところへ。だが、出産を控えた嫁には実家の窮状が言い出せない。切羽詰った長男は、どうやって切り抜けるのか、気を紛らわすために、思わずキャバ嬢にメールをする。人間誰しも息抜きが必要です、キャバ嬢と一晩遊ぶのぐらいは見逃して、なんて流暢なこと言っていいのか。今回はあまり笑顔のない役を妻夫木聡が演じています。

次男、俊平に池松壮亮が大学留年が確定的で、母親に小遣いをせびってばかりいた。追い詰められた長男と次男は、恥や外聞をかなぐり捨てて本音とぶつかっていくことに。
父親はショックのあまりに気が動転して、意識が混沌としている母親は「お父さんは頼りにならない」と本音を吐く。平凡だと思っていた家族は、崩壊の危機に瀕していたのだ。

母親を救うために、長男と次男でセカンドオピニオンを求めることに。家族がお互いのエゴをぶつけ合う中、自分たちが何をすべきかを見つめ直していく。家族の絆が強まって、再生していく過程が何だか同じような作品見たことあるあると、感じてしまった。「家族もの」「余命もの」である。イコールお涙ちょうだいな映画だと思われそうだが、この作品は、そんなイメージなところにまでは陥っていない。しっかりと苦いし、重いし、リアルなのだ。

親の介護に、実家のローン、嫁一家との金銭関係など、なるべくなら目をそらしたいリアルな問題に対し、石井監督は直球勝負で挑んでいる。
みんないい人たちじゃないし、それぞれにダメ人間だし、特に「借金で大変」という点においては理由(次男の金のむしん、お父さんの会社が多額の借金にハワイに旅行と)に同情の余地がないのである。というあたりの描き方が、それでも出口を探そうとあがく彼らにリアリティを与えているのだと思う。
特に最後の前向きな感じの表し方は、絶妙だと思いました。やっぱり長男の妻夫木聡さん、一番頼りになりますからね。父親に会社の倒産宣告に自己破産をと、言いずらいことをはっきりと言わないと一家離散になってしまう。母親の入院費に手術費などの工面も長男に押し寄せてくる。
ですが、シリアスな内容ながら、後味は心地良かったです。
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