今日は、まるで<籠の鳥>であった。
葉を広げている姿。
力なく、葉を閉じている姿。
籠の鳥は、庇護され幸せそうであるが、鳥にとっては、必ずしもそうでもないだろう。
行動規制は、コロナから、老いの身を守るためであると理解しながら、窮窟な一日であった。
人間は、自由であることを求める動物。
鳥だって、同じだらう。
今日は、室内暮らし。廊下に出て、窓から広々とした海を眺めることもできなかった。
食膳も、自分で返しにゆくことは禁じられ、施設の人が、回収に来てくださった。
(コロナに罹患された人の状況は、全くわからない。)
Tさんが、LINEで、オジギソウの葉の写真を送って下さった。
オジギソウの葉は、開いたり閉じたりする習性をもっているらしい。
朝の7時には開き、夕方の7時には閉じる、と教えて下さった。
葉を広げている姿。
力なく、葉を閉じている姿。
日暮れがずいぶん早くなった。
7時過ぎ、自室のドアを開けてみると、全てのブラインドが、完璧に下されていた。そして、わずかな隙間から見えるのは、黄昏の風景であった。
すでに夕陽は沈んでいた。
いつもは9時に消灯される廊下の灯が、早々に消されて、辺りは宵の気配であった。