先日、スーパーの野菜売り場に、蕗の薹や楤(たら)の芽などの、パックされたものが並んでいた。春の山菜が収穫される季節なのだ。
早春の味覚を楽しもうかと一瞬思ったけれど、そう好物というわけでもないので、買い求めることはしなかった。
<春>の独特な風味を想像して、心楽しむだけにした。
その時、家の庭にも、蕗の薹がのぞいているだろうかと思いながら、そのまま確かめるのを忘れていた。
昨日、土田の浜から帰った後、家の小さな庭を一巡した。
蕗の薹が二つ、石ころの中から覗いていた。
一つは食するにちょうどよさそうであったが、写真の蕗は長けすぎて、花になる日が遠くなさそうであった。この萌葱色こそは、春の萌しの色である。
庭に春を探していると、沈丁花の蕾も、先端に紅を覗かせていた。