ぶらぶら人生

心の呟き

山口へ <モディリアーニと妻ジャンヌの物語展>

2007-12-16 | 旅日記

 モディリアーニといえば、少し頭部を傾いだ、首の長い女性像を思い浮かべる。
 が、画家の生涯について、詳しいことは知らなかった。
 今回の展覧会は、その生涯を明かしてくれるものであると同時に、モディリアーニの没後、後を追って自ら命を絶った若き妻ジャンヌについても、展示を通して、その画業と短い生涯について知ることになった。

 モディリアーニと妻ジャンヌ物語の表題が示すとおり、四つのパートに分けて、分かりやすい展示がなされていた。確かに物語の要素の強い展示となっていた。

 Ⅰ 出会うまでのふたり
      モディリアーニを取りまくのは、
    モンパルナスの芸術家仲間、年上の恋人、
      そして成功できないという現実。

 Ⅱ 出会いから同棲へ
       家族に隠してモディリアーニと
          暮らし始めたジャンヌ。
     二人で暮らす粗末なアトリエから眺めた風景に
                何を思った?

 
Ⅲ ニースへの旅立ち
         戦争の影から逃れるため、
      モディリアーニの療養もかねてニースへ。
    南仏のおだやかな光の中でジャンヌの肖像が描かれた。

 
Ⅳ 永遠の静寂
      生まれてまもない娘を連れてパリへ戻った二人、
          しかし残された時間は少なかった。


 アメデオ・モディリアーニ(1884-1920)とジャンヌ・エピュテルス(1898-1920)の生涯は、同じ1920年をもって、36歳と22歳で終焉している。
 <モディリアーニの病死(1月24日)・ジャンヌの自殺(1月26日)>
 画業とは関係なく、ふたりの愛のあり方を考えさせられてしまう。
 <Ⅳ 永遠の静寂>に展示された絵は、あまりに寂しい。ジャンヌは病床にあるモディリアーニのデッサンを重ねている。と同時に、自らは死を覚悟して、死の場面をさえ描き残している。
 モディリアーニの絵画は大方が、見慣れた人物画であるのに対し、ジャンヌは人物画の他に風景画や静物画も多く残している。
 二人の絵画は、私にとって特に感動を呼ぶものではなかった。が、クロッキーや小品から、ふたりの画家の、その生涯や生き方について知ることができた点、この展示会に出かけた意義は大きかった。
 (会期は今日まで。前日にやっと出かけることができた。最後の土曜日ということもあってか、会場には、思いのほか入館者が多かった。)


 昨日は、友人の車で山口に出かけた。道中、外気の状態のせいか、思いの外澄んで美しい中国山地の山並みを眺めたり、茶褐色に変わり果てた冬野の光景を眺めたりして、小さな旅を楽しんだ。
 <ちまきや>で、年末の所用を済ませ、山口県立美術館に出かけたのだった。
 パークロードの欅並木も、ほとんど落葉していた。比較的暖かな冬ではあるが、風景は冬の風情である。 

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12月16日(日)の新聞より (写真 冬のノボタン)

2007-12-16 | 身辺雑記

 ※ 1面トップ記事
   乱射 37歳容疑者自殺
     被害男性の同級生
         事件前ジムに誘う  佐世保
    (写真 馬込政義容疑者・犠牲者、藤本勇司さん、倉本舞衣さん)
   38、39面
   銃所持4丁審査は
           住民、事件前に「危ない」
        警察は訴え取り合わず
     「対応適正」 県警が強調
   凶弾なぜ街に憤り
      「近くに犯人」震える住民
         容疑者の母、何度も謝罪
     藤本さん(注 死亡した犠牲者)勤勉、子煩悩な父
     「先生(もうひとりの犠牲者)、天国でも笑顔を」 倉本さんの教え子が献花
  社説
   銃乱射事件  なぜ凶器を持たせたのか
 <それにしても、疑問に思うのは、こんな危険な男がなぜ散弾銃を堂々と持っていたのか、ということだ。男は散弾銃3丁と空気銃1丁の所持許可を長崎県公安委員会から受けていた。>
 という。
 しかも、<男は銃を持って自宅の周りを歩き回るようなことをしていた。もともと「変わった男」という印象を持たれていたようだ。近所の人が不安を抱いて、「危ないんじゃないか」と警察に訴えた。ところが、警察は取り合ってくれなかったという。>
 取り返しのつかない事件が起こってしまった後に、防げた可能性のある問題が出てきている。
 許可を受けたときには、問題のない人物でも、人間の精神は不変なものではなく、善悪どちらにでも変わりうる要素を持っているという認識が、もっと大事なのではないだろうか。勿論、法律の規定の見直しも急務だろう。

 ※ 朝日川柳
  <開いた口ふさがらぬまま年が暮れ  岐阜県 前田茂法>
 全くそのとおりだ。

 ※ be on Sunday
   日曜ナント‐カ学 NANTO-KAGAKU
  
積雪の量 カマキリがズバリ
 <今年の正月は寒いか、暖かいか。積雪は……。
 予報に悩む人間をよそに、カマキリが積雪の量をずばり当てる、という言い伝えがある。秋、カマキリは木の葉に産卵する。卵が低いと雪に埋もれ、高いと鳥に食われる。積雪ぎりぎりの高さに産みつける、というのだ。>
 その立証に挑んだ人、酒井與喜夫さん(72)の長年の観察で、カマキリが産卵する場所で、積雪が予測されるのだという。この説には、異論も出ているようだが、実際に予報に役立つとすれば、すごいことだ。昆虫にそうした予知能力があっても、不思議ではないような気もする。
 <カマキリは英語で「mantis」。語源はギリシャ語の「預言者」である。>とか。

 (添付写真は、庭のノボタン。冬になっても咲き続けている。見ると、まだ蕾も多く、剪定して丈を短くしてやりたいのに、なかなかチャンスが来ない。今朝は、一時雨が降り、花弁は雨滴を乗せている。)

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12月15日(土)の新聞より (写真 シロシキブの実)

2007-12-16 | 身辺雑記

 ※ 1面トップ 
    ジムで乱射 1人死亡
     子どもら6人けが
        佐世保 迷彩服の男逃走
    38、39面
    住民 恐怖に震え
       発砲の犠牲者、増加
    無差別 子どもまで
       会員、運動着のまま避難
          警察官「危ない、弾飛ぶ」
            スポーツクラブ乱射

 また、忌まわしい事件が起きてしまった。
 39面には、<最近の主な発砲事件>の一覧が載っていた。
 それによると、03年、04年、06年には1回ずつだった事件が、今年(07年)になって急増している。
 4月、<長崎市の路上で選挙運動中の伊藤一長市長(当時)暴力団員に射殺される>という許しがたい、理不尽な事件に始まり、今回は13件目のようだ。暴力団員の絡む事件が多かったが、警察庁の巡査長が女性を拳銃で射殺し、自らも自殺する事件(4月、東京町田市)、近所の男に母親と長男が猟銃で撃たれ死傷する事件(12月、高知県野津町)などもあった。それに次ぐ今回の事件ということだ。
 それまで平穏な生活を営んでいた人が、突如、銃弾に打たれ、すべてを失う無念さを思うと、銃を発砲する側に、どのような事情があるにしても許し難く思える。

 ※ 天声人語より(年賀状と手書き)
 <悪筆を自認する者に、『徒然草』の兼好法師は強い見方である。<手のわろき人の、はばからず文書き散らすはよし>と作中に述べている。自身は名筆で知られていた。だが下手でも遠慮せず、大いに手紙を書けば結構、と心やさしい▼<見苦しとて、人に書かするはうるさし>とも言う。みっともないからと代筆させるのを、かえって嫌った。「うるさし」には繰り返されることを厭う響きがある。手元に届く手紙に、きっと代筆が多かったのだろう。>

 活字だけの並ぶ、印刷された賀状をいただき、味気なく思った時期もあったが、今は私自身、表裏ともパソコンに頼り、ほとんどが印刷の賀状を出している。
 ただ、そこに取り込む写真は私だけのものであり、その写真に添える文言にも、私自身の思いを伝えることにはしている。
 さらに書き込み可能な部分も設け、それぞれに自筆の文を添えることにしている。兼好法師に言わせれば、私は<手のわろき人>の筆頭だが、別にそれを卑下することもなく、自筆の文を添えている。
 しかし、これが大変。
 すでに賀状の受付が始まっているけれど、テーブルの上には、私の自筆の書き込みを待って、印刷された賀状が積まれている。

 天声人語に引用された兼好法師の言葉は、何段にあるのだろうと、『徒然草』を開いてみた。第35段の、ごく短い随想だった。
 <手のわろき人の、はばからず文書きちらすは、よし。見苦しとて、人に書かするは、うるさし。>
 賀状書きその他、てきぱきと片付けてしまいたいことは沢山あるのに、『徒然草』の本を開けたばかりに、暫くあちこちの段を拾い読みして時間をつぶすことになった。
 私は、よく仕事を中断して、横道にそれる悪い癖がある。
 これも、来年は改善しなくてはいけないと、年の瀬らしい殊勝なことを考えているのだが……。
 
 (添付写真は、庭に残っているシロシキブの実。16日朝)   

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