※ 朝日歌壇より
<偽装偽証偽善偽名に偽造あり偽偽、偽偽、偽偽と軋む日常>
(横須賀市 中川栄治 馬場あき子選 6番目)
<【リストラ】と【リストカット】が仲良しの顔して並ぶ新語の辞書に>
(横須賀市 中川栄治 永田和宏選 5番目)
二首とも、現実の社会現象を捉えていて面白い。書き写す段階で、たまたま私の選んだ歌の作者が、同一人物だと知って驚いた。こんなことは珍しい。
この歌人の関心の目は、社会に向けられることが多いのだろう。
※ 補助線より
船場吉兆 を読み解く
老舗の信用と「茶の心」 編集委員 多賀谷克彦
日本料理店「吉兆」の創業者、故湯木貞一氏(1901~97)の言葉が引用されている。その言葉から。
<「料理屋とできものは大きいなったらつぶれる」
「料理屋と屏風は広げすぎたら倒れる」
「質素から出た仕事じゃないといけません。華美に流れるともう上に花が無く
なります」>
比喩の的確な、味のある言葉が並んでいる。
形を受け継ぐことはできても、創業者の「茶の心」まで引く継ぐことは難しいことだったようだ。
経営というのは、素人が考えるほど、なまやさしいことではないのだろうけれど…。
(添付写真は、上野、国立西洋美術館の庭の、<考える人と銀杏>。)