昨日は、ウォーキングはお休みしました。
今回とりあげる音楽は、1880年生まれのエルネスト・ブロッホの作品。
ジュネーヴ生まれの彼は、ブリュッセルでイザイにヴァイオリンを学び、
ドイツに渡りイヴァン・クノールに作曲等を学び、
その後パリ、そしてアメリカに渡り、そこに定住するようになった。
だから、ここではアメリカの作曲家としてとりあげておく。
彼の代表作であるヘブライ狂詩曲「シェロモ」も
指揮者として渡米した年の翌年である1917年に初演されている。
ヘブライ狂詩曲「シェロモ」は、大きくは3つの部分からなる。
「シェロモ」とはヘブライ語であり、英語ではソロモンという。
世界史の古代では、ヘブライ王国最盛期の王として名が登場する。
つまりは、この作品ではヘブライ王国最盛期の王ソロモンの時代に、
アプローチして、ヘブライ(ユダヤ)の民族精神を描こうとしている
だからこそ、曲全体を通して重要な役割を演ずる楽器がチェロである。
瞑想的で語りかけるような独奏チェロは、
現在と過去をつなげる橋渡しである。
ブロッホにとってみれば、自分とは何者なのかという問いの
根本にあるヘブライの民族精神に立ち向かう必要があったのだろう。
『旧約聖書』の中の「伝道の書」を著した古代ヘブライの知者
それをコーヘレトと呼ぶが、そのコーヘレトの言葉の中に、
ヘブライ精神の一側面をみることができる。
「空の空、空の空、いっさいは空である(伝道の書1・2)」
この言葉の中にある諦観とも思えるものは何か。
人間どんなに苦労したって、汗水流して労働しても、
そこで得た富も、名声も、死んでしまえば墓場には持っていけない。
この世に生まれてきた人間が、富や名声を得るために働き、
それをあの世に持っていけるわけでもないのに頑張って、
でも結局は死んでいくだけで、結局人間の歴史はこの繰り返しだ。
「伝道の書」の中でコーヘレトはそう語るわけだが、
では、自暴自棄になっていいとかいうと、そういうわけではない。
人間は、自分の意志でこの世に生まれたわけではなく、
神の摂理によって生まれたとヘブライ人たちは考える。
だからこそ、無理をせず、自分にあった生活をすればいい。
短い一生の中、労働し、十分に飲んで食べて楽しむのがよいと
「伝道の書」の中では言っている。
どんなに繁栄を極めたソロモンの王国も彼の死後、
イスラエルとユダの2つに分裂し、その後滅亡した。
そんな時代状況が、このコーヘレトのことば
「空の空、空の空、いっさいは空である」に反映しているようだ。
ところで、「シェロモ」のCDでチェロを演奏するシュタルケルは、
ブタペストに生まれ、演奏者として活躍していたが、
第二次世界大戦後にアメリカに渡った。
その後市民権を得て、アメリカで活躍するようになったのだが、
この曲で弾く彼のチェロは、語りかけるようでなかなかいい。
今回とりあげる音楽は、1880年生まれのエルネスト・ブロッホの作品。
ジュネーヴ生まれの彼は、ブリュッセルでイザイにヴァイオリンを学び、
ドイツに渡りイヴァン・クノールに作曲等を学び、
その後パリ、そしてアメリカに渡り、そこに定住するようになった。
だから、ここではアメリカの作曲家としてとりあげておく。
彼の代表作であるヘブライ狂詩曲「シェロモ」も
指揮者として渡米した年の翌年である1917年に初演されている。
ヘブライ狂詩曲「シェロモ」は、大きくは3つの部分からなる。
「シェロモ」とはヘブライ語であり、英語ではソロモンという。
世界史の古代では、ヘブライ王国最盛期の王として名が登場する。
つまりは、この作品ではヘブライ王国最盛期の王ソロモンの時代に、
アプローチして、ヘブライ(ユダヤ)の民族精神を描こうとしている
だからこそ、曲全体を通して重要な役割を演ずる楽器がチェロである。
瞑想的で語りかけるような独奏チェロは、
現在と過去をつなげる橋渡しである。
ブロッホにとってみれば、自分とは何者なのかという問いの
根本にあるヘブライの民族精神に立ち向かう必要があったのだろう。
『旧約聖書』の中の「伝道の書」を著した古代ヘブライの知者
それをコーヘレトと呼ぶが、そのコーヘレトの言葉の中に、
ヘブライ精神の一側面をみることができる。
「空の空、空の空、いっさいは空である(伝道の書1・2)」
この言葉の中にある諦観とも思えるものは何か。
人間どんなに苦労したって、汗水流して労働しても、
そこで得た富も、名声も、死んでしまえば墓場には持っていけない。
この世に生まれてきた人間が、富や名声を得るために働き、
それをあの世に持っていけるわけでもないのに頑張って、
でも結局は死んでいくだけで、結局人間の歴史はこの繰り返しだ。
「伝道の書」の中でコーヘレトはそう語るわけだが、
では、自暴自棄になっていいとかいうと、そういうわけではない。
人間は、自分の意志でこの世に生まれたわけではなく、
神の摂理によって生まれたとヘブライ人たちは考える。
だからこそ、無理をせず、自分にあった生活をすればいい。
短い一生の中、労働し、十分に飲んで食べて楽しむのがよいと
「伝道の書」の中では言っている。
どんなに繁栄を極めたソロモンの王国も彼の死後、
イスラエルとユダの2つに分裂し、その後滅亡した。
そんな時代状況が、このコーヘレトのことば
「空の空、空の空、いっさいは空である」に反映しているようだ。
ところで、「シェロモ」のCDでチェロを演奏するシュタルケルは、
ブタペストに生まれ、演奏者として活躍していたが、
第二次世界大戦後にアメリカに渡った。
その後市民権を得て、アメリカで活躍するようになったのだが、
この曲で弾く彼のチェロは、語りかけるようでなかなかいい。