Mars&Jupiter

おおくぼっちの屋根裏部屋へようこそ!

カール・オルフの「クリスマス物語」、そしてグニルト・キートマン

2007-12-16 11:24:36 | カール・オルフの作品
昨日はウォーキングを休みました。
昨日聴いたのはオルフの「クリスマス物語(weihnachtsgechichte)」。
1948年に作曲された教育作品であるが、
実際の作曲は助手のグニルト・キートマンがしている。
「ムジカ・ポエティカ」と同じように、
子どもたちが演奏可能な楽器を使っている。
キートマンの作曲によるものではあるが、
音楽自体はオルフ流のものになっている。
子どもにとっても親しみやすい素朴な音楽である。
羊の声のテープが流れたりし、雰囲気を作り出す。

グニルト・キートマンは1925年には、
ギュンター・シューレ(学校)の生徒だったようだ。
この時、教育作品を使って教えていたのがオルフである。
そんな縁があってか、キートマンがこのオルフの教育運動に
関わった時期は長いし、その真価が認められたのが、
この「クリスマス物語」である。
1948年のクリスマス・イヴの日にこの作品は放送されたようで、
オルフがプロデュースすることで実現したことである。
それ以降、キートマンはオルフの教育作品の改定作業に
深くかかわっていったようである。
オルフの人生の中で、キートマンは優れた助手であるとともに
よき友人でもあったといえるだろう。
その優れた才能のすべてを教育活動に捧げたという点から、
すばらしい人だったに違いない。
オルフの活躍の陰にキートマンありき、かな。
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カール・オルフの「ムジカ・ポエティカ」を聴きながら、横浜から星川まで歩く

2007-12-15 07:08:51 | カール・オルフの作品
昨日は横浜から星川駅まで歩きました。
途中聴いたのはオルフの「ムジカ・ポエティカ(Musica Poetica)」。
1950年から1954年の間に出版された教育作品(Schulwerk)である。
つまりは、学校にあるリコーダーや木琴や太鼓などの楽器で、
演奏可能な子どもたちのための音楽である。
助手のグニルト・キートマンの協力を得て、
35歳頃に作った教育音楽を全面的に改定しまとめたものである。

高校生のことだったか、大学生のことだったか忘れたが、
この作品のレコードをレコード店に見かけた時に、
相当な枚数のシリーズで売っていたので、買うのにためらった。
CDの時代になり、ある時このCDを見かけた時は、
6枚組で売っていたので、すかさず買ってしまった。
教育音楽というのがどういうものかを知りたかったからである。
聴いたのはその6枚の中の3枚目のCDである。

それぞれの作品は短い曲ばかりである。
しかし、ここにはオルフの音楽のエッセンスがつまっている。
器楽曲だけでなく、歌と合奏をあわせたものなど形態は様々、
どれもこれも楽しみながら演奏できる曲ばかりである。
リズム楽器はここでも重要な役割を果たしている。
中国風の曲もあれば、バリのガムラン音楽風のものもある。
11曲目の「真実の歌(Wahrheitslied)」は、
「子どもの不思議な角笛」の詩を歌のテキストにしている。
4曲目は2つの即興演奏とともに、中世音楽として、
ナイハルト・フォン・ロイエンタールの
五月への賛歌を内容とする詩を使った曲も入っている。
ロイエンタールは代表的なミンネジンガーの一人である。
聴けば、ミンネジンガーの音楽にも触れることができる。
教育音楽とはいっても格調高かったりするが、
そんなことを感じさせない楽しい音楽なのである。
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鶴ヶ峰から二俣川まで、そしてオルフの「オルフェオ」編曲版

2007-12-14 06:54:01 | カール・オルフの作品
昨日は鶴ヶ峰駅から二俣川まで歩きました。
途中聴いたのはオルフの「オルフェオ」。
1607年に初演されたモンテヴェルディの代表作である。
この「オルフェオ」をドイツ語のテキストを使用し、
管弦楽で現代によみがえらせたのがオルフである。
ドロテア・ギュンターがドイツ語訳をしている。
オルフによる編曲版の「オルフェオ」の初演は、
CDの解説によると1923年マンハイムで行われたようだ。

最初のトッカータから華々しい感じがする。
本来ならば2時間近くかかる5幕ものの作品を、
第3幕までとして一部分をカットしているが、
音楽自体は原曲に忠実であり、
奇をてらうようなところはない。
CDの演奏では、歌手にルチア・ポップ、
ヘルマン・プライなど有名な人物を起用している。
録音が古いのが残念ではあるが、演奏自体は悪くない。

神々の住むパルナッソ山に近いトラーチャの野。
そこで、オルフェオとエウリディーチェは結婚する。
しかし、エウリディーチェは、毒蛇にかまれて亡くなる。
突然の不幸に悲しむオルフェオであるが、
彼は冥界に行き、エウリディーチェを連れ戻そうとする。
ここまでは第3幕までの話なので、
オルフの編曲版は妻の死を嘆きながら
冥界に行くオルフェオのところで終わっている。

しかし、その先の話はこうだ。
冥界に行ったオルフェオは、プルオーネに
エウリディーチェをよみがえらせてもらうが、
黄泉の国を出るまで決して妻の方に目を向けないという
条件をオルフェオはのむことになる。
しかし、地上の道に行くオルフェオは
本当に妻があとからついてきているのか不安に思い、
つい振り向いてしまうのだ。
確かにうしろにエウリディーチェはいたのだが、
そのエウリディーチェはすぐに消え、
失意のままオルフェオはトラーチャの野に戻る。
アポロは嘆きの歌を歌う息子のオルフェオに、
地上での幸福は長続きしないことを話し、
永遠の生命を得ることができる天上に
息子を招き、オルフェオはアポロとともに天に昇る。
これがオルフェオの物語の概要である。

このモンテヴェルディの代表的な作品。
もちろん、今は古楽器演奏による様々な盤が登場している。
アーノンクールの指揮による盤は、
序曲にあたるトッカータの部分に物足りなさを感じるが、
それ以降の部分は軽快なテンポで進み、いい演奏である。
トッカータの部分だけをいうなら、
ルネ・ヤーコプス盤の方がオルフの編曲版に近く、
華々しい感じがするから、個人的には好きだ。
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横浜から和田町まで、オルフの「情け知らずの女たち」、そしてブルックナー交響曲第5番

2007-12-13 05:15:32 | カール・オルフの作品
昨日は横浜から和田町まで歩きました。
途中聴いたのはオルフの「情け知らずの女たち」。
この作品も1608年のモンテヴェルディの作品を
管弦楽用に編曲したもののようである。
マドリガーレ第8巻愛の歌に、収められているようである。

バレエ・オペラ風の作品だということだが、
もちろん、気品のある作品であることには違いない。
「アリアンナの嘆き」はオルフがドイツ語に訳したようだが、
この「情け知らずの女たち」のドイツ語訳は、
ドロテア・ギュンターによるものである。
この人物は、1920年代に出会った人物で、
彼女がミュンヘンに設立した舞踏学校(Tanzschule)で
オルフは1936年まで教えていたようである。
のちにオルフが音楽教材を手がけるようになるのは、
ここでの教育実践も関係しているのかもしれない。

とにかく、このモンテヴァルディの作品を
ドイツ語に訳した作品をドイツで上演するのに
大きな意味があるに違いない。
イタリアのオペラ風音楽だから、
ドイツ語に不釣合いな気もするのだが、
なぜか音楽を聴いていると、
ドイツ語らしく聞えないところが
不思議に違和感がなく、おもしろい。

ところで、聴いたCDの指揮者はアイヒホルン。
オルフの「情け知らずの女たち」を聴いたあと、
続けて聴いたのがブルックナーの交響曲第5番。
アイヒホルン指揮、バイエルン放送交響楽団の演奏。
1990年に録音されたこのCDは自然体の演奏でいい。
ブルックナーの交響曲は2、5~9番まで
リンツ・ブルックナー管弦楽団との録音を残しているが、
3番、4番など、もっと録音を残してほしかった。
オルフの作品の演奏はもちろんいいのだが、
ブルックナーもなかなかなのである。
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横浜から和田町まで、そしてオルフの「アリアンナ(アリアドネ)の嘆き」

2007-12-12 06:15:33 | カール・オルフの作品
昨日は横浜から和田町駅まで歩きました。
昨日聴いたのはオルフの「アリアンナ(アリアドネ)の嘆き」。
オルフはモンテヴェルディのいくつかの作品を発掘し、
現代の管弦楽用に編曲しており、これはその一つである。
ここでは、オルフらしい打楽器中心の激しい音楽はない。
あくまでも原曲に従った編曲のように思える。

モンテヴェルディの歌劇「アリアンナ」は1608年の作品のようだが、
その全曲は、失われてしまっているようだ。
「アリアンナの嘆き」は、その中のアリアにあたる。
11分ほどの短い曲であり、悲しみを歌うところでは、
その悲痛さを管弦楽は表現し、あるところでは牧歌風に、
そして、曲は冒頭に登場した悲しみを歌う部分が、
最後にも再現され、静かに終わる。

テゼウスによってナクソス島に取り残された女性、
アリアンナ(アリアドネ)はそのことを嘆く。
この悲しみを歌う曲は、当時から傑作として知られ、
モンテヴェルディ自身もマドリガーレ第6巻に、
5声による作品として収められているようだが、
残念なことに第6巻は持っていないのでわからない。
でもともかく、忘れ去られた作品をこのような形で、
オルフが管弦楽版として世に問うことにより、
モンテヴェルディという作曲家も再評価されたのだろう。
オルフの偉大な功績の一つであると思う。
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