Mars&Jupiter

おおくぼっちの屋根裏部屋へようこそ!

マルティン・コダックスの「7つのカンティガス(siete canciones de amigo)」を聴く

2019-05-26 16:54:00 | 中世・ルネサンス音楽声楽曲・合唱曲編
今回は13世紀中頃に活躍したスペインのガリシアの、
トルバドゥールのマルティン・コダックスの作品、
「7つのカンティガス(siete canciones de amigo)」をとりあげる。
今回聴いたCDはトマス・ビンクレー指揮、
ルネサンス合奏団の演奏によるものである。
なお、歌詞の訳などについては、
浅香武和さんの論文を参考にしました。
マルティン・コダックスの作品の写本は、
1914年にマドリードの古書店の店主が発見したもので、
羊皮紙の裏に書かれているもので、ビンデル写本とよばれ、
そのうちの6つには楽譜が付いていたようだ。
こうしたことから、曲の復元可能である。
「ビーゴ海の浪よ(Ondas do mar de Vigo)」は、
ビーゴ海の海の波に向かって語りかける女性の歌で、
愛しの人を待ちわびている様子が、
伸びやかな旋律とともに歌われる。
「文が私に届きました(Mandad’ ei comigo)」は、
手紙が愛しの人が帰ってくることを伝えていることを
何度も繰り返し歌う素朴な感じの歌である。
「わが愛しき妹よ、私と詣りましょう
(Mina yrmana fremosa, treides comigo)」は、
ビーゴの教会に妹と行くことが美しい旋律で歌われる。
「ああ、デウスさま、もしわが愛しの人をご存知でしたら
(Ay Deus, se sab ora meu amigo)」は、
愛しの人を待ちながらビーゴで一人待っている女性の、
寂しい心境が素朴な旋律で歌われる。
「どれほど愛しの人を慈しむことができましょうか
(Quantas sabedas amae amigo)」は、
まだ帰ってこない愛しの人を待つ気持ちが歌われる。
ビーゴの海に行って、浪間で楽しみましょうと歌われる。
「聖なるビーゴの地で(E no sagrado en Vigo)」は、
明るく軽快な旋律で、舞踏の情景とともに、
わたしには愛があるということばが繰り返される。
「ああ、浪よ、私は貴方に会いに参りました
(Y ondas, que eu vin veer)」は、
愛しい人がなかなか帰って来ないのはなぜかを、
浪に聞いている女性の歌である。
CDでは軽快な打楽器のリズムに乗って、
フィドルと笛の旋律が繰り返されて終わる。
1曲は復元できないはずなのに、
CDでは全てに歌が入っているので、
どうしてなのかその辺の事情は分からない。
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ジョバンニ・ピエルルイジ・ダ・パレストリーナのミサ曲「武装した人」を聴く

2019-05-06 06:58:11 | 中世・ルネサンス音楽声楽曲・合唱曲編
今回は1525年頃生まれたイタリアの作曲家、
ジョバンニ・ピエルルイジ・ダ・パレストリーナの、
ミサ曲「武装した人」(Missa l'Homme Arme)をとりあげる。
今回聴いたCDはマーク・ブラウン指揮、
プロ・カンティオーネ・アンティクヮの演奏によるものである。
有名な定旋律「武装した人」による5声によるミサ曲である。
冒頭のイントロイトゥスは、グレゴリオ聖歌のように、
単旋律で歌われるが、2曲目のキリエからは、
5声によるハーモニーを聴くことができる。
グローリアは、美しいハーモニーが重なり合っていき、
ルネサンス音楽らしい重層的な部分をみることができる。
ゴラドゥアーレは、再び単旋律で歌われ、
クレドでは、再びポリフォニック的な響きが戻ってくる。
続く素朴なオッフェルトリウム のあとに続き、
サンクトゥスとベネディクトゥス では、
重なり合う旋律が美しく響きあっていく。
そして、コムニオ、アニュス・デイと続き、
平和で穏やかな中、アーメンで終わる。
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オズヴァルド・フォン・ヴォルケンシュタインの「十歳のころに(Es feugt sich)」などを聴く

2019-05-04 14:34:50 | 中世・ルネサンス音楽声楽曲・合唱曲編
今回は1377年頃生まれたドイツの吟遊詩人(ミンネジンガー)、
オズヴァルド・フォン・ヴォルケンシュタインの作品の中から、
単旋律による作品を4曲とりあげる。
今回聴いたCDはトマス・ビンクレー指揮、
ルネサンス合奏団の演奏によるものである。
「十歳のころに(Es feugt sich)」は、長い詩で、
世界のことを十歳ころから色々と経験し、
理解していき、40代までにどんなことを知って来たのか、
それが淡々と語られていく曲の内容のようである。
「高みに引きあげてくださるお方よ(Der oben swebt)」は、
宗教的な内容の詩が淡々と歌われ、最後アーメンで終わる。
「謝肉祭がやってくる(Es nahent)」は、
語りかけるような歌で、リフレインの部分がある。
内容はなかなか理解できないのだが、
滑稽な感じの内容なのだろうかと思われる。
「そら行け(Nu huss)」はおどけた感じの歌で、
なかなかユーモアのある楽しい曲である。
親しみやすい旋律が繰り返されていく。
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「モンセラートの朱い写本(Llibre Vermell de Montserrat)」を聴く

2019-05-03 09:05:34 | 中世・ルネサンス音楽声楽曲・合唱曲編
今回は14世紀の巡礼行で巡礼者たちに楽しみや、
慰めのために作られ、彼らによって歌われた曲で、
「モンセラートの朱い写本」とよばれるものをとりあげる。
今回はジョルディ・サヴァール指揮、
エスペリオンXXの演奏で聴いた。
このアルバムの冒頭と最後で歌われるのが、
「おお、輝く聖女(O Virgo splendens)」である。
その間の中で9曲が入っている。
冒頭の「おお、輝く聖女(O Virgo splendens)」は、
グレゴリオ聖歌のように単旋律で始まるが、
やがて三声による旋律が重なり合っていく。
「輝ける星よ(Stella splendens in monte)」は、
素朴な信仰心が歌詞の中からも見て取れる。
世俗的な旋律であるが、魅力的な曲である。
富める者も貧しき者も、身分の高い者も低い者も、
信仰する者としては同じ気持ちになるという詩の内容がいい。
「処女なる御母を讃えん(Laudamus Virginem Mater est)」は、
マリアを讃える内容の歌が、折り重なるように歌われる。
「七つの喜び(Los set goyts recomptarem)」は、
以前も取り上げたように力強い歌声をもって、
聖母マリアを讃えている曲である。
打楽器の叩くリズムがそれを熱狂的な興奮へと導く。
「笏杖もて輝ける御身(Splendens ceptigera)」は、
単声で始まり、繰り返されていくのだが、
最初はマリアを讃える内容で始まり、
罪を悔い改めよという内容に変わっていく。
「あまねき天の女王よ(Polorum regina omnium nostra)」は、
楽器だけの前奏に続き、単声で歌われていく素朴な歌である。
マリアを星に例えて、わが罪を贖いたまえと歌っていく。
「皆で声を揃えて歌おうよ(Cuncti simus concanentes)」は、
皆で声を揃えてアヴェマリアと歌おうという内容が歌われる。
打楽器と器楽で世俗的な旋律が繰り返され、歌がこれに加わる。
この曲も「七つの喜び」と同じく素朴でありながら力強い。
「母なるマリアよ(Mariam Matrem Virginem)」は、
イエスとマリアを讃える内容になっている。
旋律は素朴であるが、美しいところがある。
「喜びの都の女王(Imperayritz de la ciutat joyosa)」は、
やはりマリア賛美の内容となっており、
二声による素朴で美しい中世らしい歌である。
「われら死をめざして走らん(Ad mortem festinamus)」は、
「死の舞踏」であり、巡礼者たちが教会や戸口で、
夢中になって踊って、歌ったもののようである。
舞踏風の旋律が打楽器と器楽で繰り返し奏でられ、
歌も加わり徐々に熱狂的な感じになっていく。
生命の躍動を感じさせる生き生きとした曲である。
その盛り上がりが終わったあと再び冒頭の曲となり、
素朴で深い信仰の世界に戻っていくところが、
このアルバムのなかなか凝った演出である。
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フランチェスコ・ランディーニの「罪に苦しむ心」と「婦人よ、あなたがだめなら」を聴く

2019-05-01 17:48:19 | 中世・ルネサンス音楽声楽曲・合唱曲編
今日は1325年頃にイタリアで生まれた作曲家、
ランディーニが作曲した2つの歌曲である。
今回はトマス・ビンクレー指揮、ルネサンス合奏団の演奏で聴いた。
「罪に苦しむ心(Che pena é quest’al cor)」は、
3声によるポリフォニックな音楽で、
女性を愛するがゆえの苦悩が歌われる。
揺れ動く旋律が絡み合い、切ない感じでもある。
「婦人よ、あなたがだめなら(Donna, s'i't'o fallito)」は、
2声による音楽で、それぞれの旋律が絡み合っていく。
内容はやはり女性を愛するがゆえの苦悩を歌っている。
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