Mars&Jupiter

おおくぼっちの屋根裏部屋へようこそ!

ベラ・バルトークの弦楽四重奏曲第3番を聴きながら、二俣川から西谷駅まで歩く

2008-05-31 11:41:54 | 古典~現代音楽ハンガリー編
昨日は二俣川から西谷駅まで歩きました。
途中聴いたのは、1881年生まれのバルトークの弦楽四重奏曲。
ノヴァーク弦楽四重奏団の演奏によるCDで、
弦楽四重奏曲第1番、第3番、第5番の奇数番号の作品を聴いた。
この中で私が個人的に好きなのは第3番である。

弦楽四重奏曲第1番イ短調作品7Sz40は、
1908年の作品で、バルトークが27歳の時の作品である。
第1楽章はゆるやかなレントの楽章で、3部形式で書かれ、
最初の部分で、後期ロマン派的な影響をみることができ、
中間部では、印象主義的な影響をみることができる。
第2楽章アレグレットは、動きと変化のある楽章で、
何度も登場するチェロのリズミカルな音型が印象的だ。
第3楽章は最初にアレグロの情熱的な序奏があり、
主部に入るとアレグロ・ヴィヴァーチェとなる。
ハンガリーの舞曲的な要素が入ったような音楽であり、
他の楽章に比べると民族色があらわれた楽章である。

弦楽四重奏曲第3番Sz85は1927年に作曲された作品で、
第1番と比べると作風にも大きな違いが認められる。
第1部のモデラートは、ハンガリー的な要素もありながら、
新ウィーン楽派のように現代的で、凝縮された音楽である。
第2部はアレグロで、民謡的な素材を使いつつも、
斬新な響きとリズムカルな音楽で、聴き手を飽きさせない。
ピチカート奏法も効果的に使用されている。
第3部はモデラートでは、第1部が回想的に再現されていく。
コーダはアレグロ・モルトで、第2部の主題に基づきながら、
軽快にそして印象的な形で曲は力強く一気に終わる。

弦楽四重奏曲第5番Sz102は1934年に作曲され、
古典的な5楽章構成で作られた作品である。
第1楽章アレグロはソナタ形式で書かれ、主題の展開が素晴らしく、
円熟した彼の作曲技法をみることができる。
第2楽章アダージョ・モルトは、思索的な音楽である。
第3楽章スケルツォはブルガリアの民俗舞曲のリズムが、
素材として使われているらしいが、刺激的で軽快な楽章である。
第4楽章アンダンテは、やさしい風が吹いてゆれているような感じの曲で、
時折激しい風が吹くような感じの印象を受けながら聴くことができる。
第5楽章フィナーレは、民謡的な主題に基づくロンドで、
いろいろ趣向に凝っており、フィナーレらしい音楽である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベドルジハ・スメタナのチェコ舞曲集を聴きながら、横浜から星川駅まで歩く

2008-05-30 10:49:04 | 古典~現代音楽チェコ編
昨日は横浜から星川駅まで歩きました。
途中聴いたのは、1824年生まれのスメタナのチェコ舞曲集。
ピアノ作品として作曲されたチェコ舞曲集は、
4曲から構成される第1集は1877年に作曲され、
10曲から構成される第2集は1879年に作曲されている。
曲の多くの素材はボヘミアの民謡研究家エルベンが、
収集したチェコ舞曲の旋律が、使われているようである。
この作品が作曲された頃のスメタナは、
連作交響詩「わが祖国」を作曲している時期にあたり、
一方で、耳が聞こえなくなることに悩まされている。
個人的には第2集の方が聴いていて楽しい。

第1集は4つのポルカ集となっている。
第1曲嬰ヘ短調は、中間部をニ長調とした三部形式の作品。
主題となる嬰ヘ短調の旋律は哀愁漂わせている。
第2曲イ短調は、主題に基づく変奏曲風の作品。
ロマンティックかつ情熱的で、
語りかけるような主題が印象的である。
第3曲ヘ長調は速いテンポで、軽快に演奏される。
三部形式で書かれ、最初の主題は明るく楽しげな感じであるが、
中間部は少し陰があり、しかし情熱的である。
最後は再び最初の軽快な主題が登場して終わる。
第4曲変ロ長調はゆったりとした曲で始まるが、
中間部は速くなり情熱的な音楽になるが、
再びゆったりとした主題があらわれて、終わる。

第2集は、10の民族舞曲からなっている。
第1曲「フリアント」は軽快な民謡風の舞曲で、
長調と短調が交錯し、変拍子が現れる主題は印象的である。
最初の曲にふさわしい華やかな曲である。
第2曲スレピチカも軽快なポルカ風の作品で、
流れるようなピアノの指の動きが想像できる。
スレピチカとは「小さな雌鶏」を意味するようだ。
第3曲オヴェスは「からす麦の踊り」ということだ。
ゆったりとした舞曲で始まるが、この主題に対し、
激しい感じの音楽も所々で登場し、その対比がいい。
第4曲メドウェドは「熊の踊り」の曲からとっている。
歩く熊を表現するのしのしとした荒々しさを
ピアノがうまく表現していると思う。
この第3曲と第4曲はCDの英文の解説文によると、
男たちの報われない愛の歌からとっているようだ。

第5曲ツィブリチカは「小さなたまねぎ」というタイトルで、
たまねぎ売りが昔歌っていた歌に基づいているようだ。
何となくユーモラスな感じだが、情熱的な曲である。
第6曲ドゥパークは「踏み鳴らしの踊り」というような意味か、
とにかく解説によれば速い運動で地面を踏み鳴らしながら
旋回する踊りのようで、最初の音楽は激しい音楽である。
中間部で聴くことのできる短調と長調が交差する旋律の中には
ドイツ民謡の「別れ」にも似たような旋律を聞くことができ、
懐かしい感じがするが、最後は最初の軽快な主題が登場して終わる。
第7曲フラーンは「槍騎兵」というタイトルで、第2集の中では
比較的よく演奏される作品のようで、ゆったりとした愛らしい曲だ。

第8曲オブクロも民謡からとっており、軽快で華やかな曲だが、
解説書によればこの旋律はハイドンの交響曲第104番「ロンドン」
第4楽章で使用されているということだ。
そういわれて聴いてみれば確かにあの主題に似ている。
第9曲ソウセツカーは「隣国の踊り」で、
具体的にはオーストリアのレントラー舞曲である。
甘いロマンティクな旋律であり、夢見るような音楽である。
第10曲スコチナーは息もつかせないような軽快な曲。
速いテンポで、お祭り騒ぎのような楽しい曲であり、
最後を締めくくるにはいい曲である。
スメタナのピアノ曲も聴いてみると意外におもしろい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ボフスラフ・マルティヌーのチェロ・ソナタを聴きながら、二俣川から鶴ヶ峰駅まで歩く

2008-05-29 06:15:35 | ボフスラフ・マルティヌーの作品
昨日は二俣川から鶴ヶ峰駅まで歩きました。
途中聴いたのは、1890年生まれのチェコの作曲家、
ボフスラフ・マルティヌーのチェロ・ソナタである。
昨日はこのうちのチェロ・ソナタ第1番H277と、
チェロ・ソナタ第2番H286を聴いてみた。
チェロはヤーノシュ・シュタルケルによる演奏である。
シュタルケルによる演奏もなかなかいいのだが、
ピアノを弾くフィルクスニーの演奏もいい。
この2つの作品は第2次世界大戦中に作曲された作品なので、
どちらもその戦争という時代背景を頭の中に入れて、
聴いた方が理解しやすいし、その理解が必要かもしれない。

チェロ・ソナタ第1番は1939年に作曲された作品で、
彼が20年近く住んだパリで作曲された。
第1楽章ポコ・アレグロはピアノに続き、
チェロが主題を奏し、その主題が展開されていくが、
ピアノの伴奏にマルティヌーらしさがあふれている。
第2楽章レントは、最初の1分近くのピアノの独奏が、
陰のある感じの曲で、チェロがそのあと現れるが、
やはり何かしら差し迫った状況が感じ取れる。
1939年に勃発した第2次世界大戦による緊迫した状況が、
投影されているといっていいのだろうか。
第3楽章アレグロ・コン・ブリオでは、
チェロの技巧的な演奏がみられ、終楽章らしい。
軽快で刻々と変化していく音楽が流れる一方で、
第2楽章と同じく緊迫感はみられるが、
最後の終わり方に一縷の希望が見える気がする。

チェロ・ソナタ第2番は、1942年にニューヨークで作曲された。
彼がアメリカに渡った時に彼を助けたチェコ出身のチェロ奏者
フランク・リブカ(Franck Rybka)に献呈された作品のようだ。
第2次世界戦争が続いている中で作曲されたからか緊迫感はある。
しかし、第1楽章アレグロを聴くと希望のような明るさがみられ、
彼の作風が簡素な方向に向かっているような印象を受ける。
いかにも彼の音楽らしさが溢れている音楽である。
最後に最初に提示された主題が再現されて終わる。
第2楽章ラルゴも重く暗い感じで始まる。
チェロが歌うように主題をゆったりと奏していく。
第2次世界戦争で起こっていることへの怒りや嘆き、
そしてそこでの犠牲者への祈りのようにも聞こえてくる。
第3楽章アレグロ・コモドは軽快な楽章である。
中間部にはチェロのカデンツァ風の独奏があり、
ここはチェロ奏者の腕のみせどころであろう。
そのカデンツァ風の中間部を過ぎ、
再び主題が登場し、一気にコーダに向かって終わる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フランツ・リストの超絶技巧練習曲を聴きながら、二俣川から緑園都市駅まで歩く

2008-05-28 06:29:25 | 古典~現代音楽ハンガリー編
昨日は二俣川から緑園都市駅まで歩きました。
途中聴いたのは、1811年生まれのハンガリーの作曲家
フランツ・リストの超絶技巧練習曲の中の一部である。
アシュケナージが演奏する盤を聴いた。
最終稿は1851年に完成しているが、
初稿は1826年であり、長い期間の中でまとめられた曲集である。
作曲当初は48曲の練習曲として構想されたが、
結局は全12曲という構成となっている。

第1番ハ短調「前奏曲」プレストは1分にも満たない短い曲だ。
最初のこの曲だけでこの曲集が超絶技巧であることを物語っている。
第2番イ短調モルト・ヴィヴァーチェは、軽快に始まる。
ベートーヴェン風の音楽であり、難しそうな曲だ。
第3番ヘ長調「風景」ポコ・アダージョは叙情的な曲で、
速いテンポの前の2つの曲を聴いたあとからすると、
ほっとした気になる、ゆったりとした牧歌的な作品である。
第5番変ロ長調「鬼火」アレグレットは、再び軽快な曲。
というよりピアノの指の動きが速いので難しそうだ。
ロマンティックなこの曲は、演奏者の演奏により、
その曲のよしあしが決定されるのではないだろうか。

第8番ハ短調「野性の狩」プレスト・フリオーソは、
荒々しい曲で、これもベートーヴェン的な感じがする。
途中狩らしさを感じさせるところもある。
中間部の主題は情熱的で、ロマン派らしい音楽である。
中間部を過ぎると再び最初の荒々しい主題が登場する。
第10番ヘ短調アレグロ・アジタート・モルトも、
ピアノ演奏が難しそうな速い部分もあるが、
とにかくリストらしく、情熱的な曲だ。
ただ曲が超絶技巧ということだけでなく、
聴かせるところがあるからこそ名曲なのであろう。
第11番変ニ長調「夕べの調べ」アンダンティーノは、
10分以上かかる長い演奏時間を要する曲である。
叙情的かつロマンティックな作品である。
ピアノを弾かない私によってはこの曲の超絶技巧という
本当の意味は理解できるわけではない。
この第11番もゆったりとしたいい曲だなあと思うだけだが、
この曲の中にも演奏が難しそうに思える箇所はあるのだが、
ピアノを弾く人からみればきっと、
こちらが想像する以上にあるのかもしれない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カロル・シマノフスキの弦楽四重奏曲第1番・第2番を聴きながら、和田町駅から横浜まで歩く

2008-05-27 05:33:57 | 古典~現代音楽ポーランド編
昨日は和田町駅から横浜まで歩きました。
途中聴いたのは、1882年生まれのシマノフスキの弦楽四重奏曲。
ポーランドの代表的な作曲家の彼は、
2つの弦楽四重奏曲を残しているが、
新古典主義的な時期に作曲された作品といわれる。
弦楽四重奏曲第1番ハ長調作品37は、1917年に作曲された。
第1楽章レント・アッサイ-アレグロ・モデラートは、
3/4拍子の序奏のあと4/8拍子の主部が続く。
2つの主題によるソナタ形式で書かれている。
古典的な形式による作品ではあるが、
曲自体後期ロマン派的な影響は消えていない。

第2楽章は、3つの部分から構成されている。
第1部アンダンティーノ・センブリーチェは、
「カンツォーネ風に」となっていることもあり、
曲は3/4拍子で、ゆったりと始まり、歌うような旋律である。
第2部アダージョ・ドルチッシモは、6/8拍子で書かれ、
転調による旋律の変化は彼独特の神秘的な音楽を作り出す。
第3部レント・アッサイ・モルト・エスプレッシーヴォは、
3/8拍子で書かれ、曲は印象主義的な陰影のある
表情豊かな音楽になっており、ドビュッシー風である。
第3楽章は、序奏つきのソナタ形式で書かれている。
序奏はヴィヴァーチェで3/4拍子で始まり、
古典主義的な感じで始まり、激しさを増す。
主部はスケルツァンド・アラ・ブルレスカで、
提示された主題が展開されていく。
曲はヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポへと続き、
終わりにかけ一時盛り上がりをみせ、最後は静かに終わる。

弦楽四重奏曲第2番作品56は、1927年に作曲された。
第1楽章モデラート・ドルチェ・エ・トランクィロは、
4/4拍子で始まるソナタ形式の楽章である。
タトラ山地の民族音楽の影響を受けていた時期だからか、
弦楽四重奏曲第1番とは曲想は違い、より神秘的である。
第2ヴァイオリンとヴィオラのトレモロに支えられ、
第1ヴァイオリン・チェロにより奏される旋律が印象的である。
第2楽章ヴィヴァーチェ・スケルツァンドは、
短い3/4拍子による序奏と2/4拍子による主部からなる。
激しく始まる序奏に続き、主部でみせる音楽は、
リズムとともに旋律が独特でインパクトがある。
これも山地の民族音楽からの影響だろうか。
バルトークなどの音楽と共通するような音楽の世界で、
躍動感にあふれた音楽は、最後突然にして終わる。
第3楽章レントは4/4拍子の楽章である。
民族音楽を起源とした主題によるフーガで構成されているようで、
対位法的な手法と民族音楽的な要素が融合したような独自の音楽で、
最後にかけての劇的な盛り上がり方はさすがである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする