Mars&Jupiter

おおくぼっちの屋根裏部屋へようこそ!

クシシュトフ・ペンデレツキの交響曲第5番を聴く

2023-06-10 23:55:44 | 古典~現代音楽ポーランド編
今回は1933年生まれのポーランドの作曲家ペンデレツキが、
1991年から1992年に作曲した交響曲第5番に触れる。
今回聴いたCDはアントニ・ヴィット指揮、
ポーランド国立放送交響楽団の演奏である。
1楽章制で1992年にソウルで初演された。
韓国国際文化協会50周年を記念して委嘱された作品ということだ。
弦楽器の持続する1音と、下降する弦楽器の音型で始まる。
重々しい感じで、金管楽器と打楽器も加わり、
この緊張感はショスタコーヴィチを思わせもする。
5分に近いあたりから弦楽器の奏でる音型をもとに、
フーガ風の展開が始まっていき、
やがて木管楽器や金管楽器も絡んでいく。
そのあと10分過ぎにはいったん静かな感じになり、
鐘の音も鳴り響きわたるが、再び冒頭の音型が現れ、
上昇や下降する速く動く3つの音型が繰り返される。
これはとても印象的であり、木管楽器が奏でる音型は、
ショスタコーヴィチの滑稽な感じをみせる音楽を想起させる。
徐々に荒々しい感じになり盛り上がり、他の楽器でも繰り返される。
そして忘れたころに上昇や下降する速く動く3つの音型が現れる。
まるで幻影のように現れては消えるこの音型も重要な要素になっている。
やがては打楽器と金管楽器で盛り上がっていく。
それが終わると再び冒頭の音型が繰り返される。
またフーガ風の展開にもなっていき、闘争的な音楽になり、
徐々に盛り上がっていき、壮大な感じにもなっていく。
それが終わると静かになり、イングリッシュホルンや、
オーボエなど木管楽器が活躍し、鐘の音が鳴り響く。
最後は弦楽器が中心になり、冒頭の音型を繰り返し、
ホルンやトランペットが響き、再び激しい音楽になり、
持続した音が続き、最後は荒々しい感じで終わる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クシシュトフ・ペンデレツキの交響曲第4番を聴く

2023-05-21 19:50:53 | 古典~現代音楽ポーランド編
風邪を引き、熱はないものの咳が止まらず、
声も枯れて、満足に話もできない状態が、
10日間近く続きましたが、やっとなんとかという感じです。
この土日もゆっくりと家で休みました。

今回は1933年生まれのポーランドの作曲家ペンデレツキが、
1989年に作曲した交響曲第4番に触れる。
今回聴いたCDはアントニ・ヴィット指揮、
ポーランド国立放送交響楽団の演奏である。
この曲は、フランス政府から委嘱された作品で、
フランス革命200周年を記念して作曲されたようだ。
第一楽章アダージョは、トランペットの長い音と、
その中を低弦の動きのある音型で始まる。
重々しい感じの中、オーボエが旋律を奏で、
ティンパニの音はその雰囲気を打ち壊し、
金管楽器による荒々しい音楽になっていく。
それが終わると木管楽器と弦楽器による静かな音楽になり、
冒頭の低弦が示した音型が他の弦楽器で繰り返されて終わる。
第二楽章ピュ・アニマートは、弦楽器による音型が、
繰り返されていく中で、木管楽器も絡んでいき、
軍隊を思わせるような力強い旋律が奏でられていく。
金管楽器と打楽器がその旋律を主導していき、
次の楽章へと続いていく。

第三楽章テンポⅠは、フルートの旋律で始まる。
木管楽器と弦楽器中心に音楽は進行していく。
そのあと金管楽器が鳴り響いて盛り上がるが、
それが静まると再び木管楽器と弦楽器中心の音楽になる。
そして、ところどころで金管楽器が鳴り響く。
この楽章はこの交響曲の中では長大である。
ファゴットの音は無表情な感じでもあるが、
何かを語らずにはいられない感じである。
その旋律は様々な楽器に引き継がれていく。
第四楽章アレグロは、再び速い動きになり、
弦楽器中心に音型が奏でられていく。
中間の打楽器のリズムが繰り返されるところが印象的。
金管楽器も鳴り響いた後、再び弦楽器の音型が繰り返され、
金管楽器がそれに絡んで盛り上がったところで次の楽章に続く。
第五楽章テンポⅡは、打楽器の荒々しいリズムと、
金管楽器の鳴り響く音で始まり、それが終わると静まり、
ファゴットが奏でる部分になり、弦楽器も絡み、
最後はティンパニの音が響く中で静かに終わる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イグナツィ・フェリクス・ドブジンスキの交響曲第2番ハ短調「性格的」作品15を聴く

2023-04-08 20:06:26 | 古典~現代音楽ポーランド編
今回は1807年生まれのポーランドの作曲家ドブジンスキが、
1831年に作曲した交響曲第2番ハ短調「性格的」作品15に触れる。
今回聴いたCDはヤロスワフ・ティエル指揮、
ヴロツワフ・バロック管弦楽団の演奏である。
ドブジンスキは当時ロシア領にあったヴォルィーニで生まれた。
幼いころからヴァイオリン奏者で作曲であった父から音楽を学び、
1826年からはワルシャワ音楽院で学んだ。
当時の音楽院にはショパンも同級生でいたようだ。
交響曲第2番で受賞し、1845年からはドイツへ行き、
ソリストとして活動し、歌劇や演奏会の指揮もしたようだ。
ポーランドに戻ってきてからは自分の楽団を創設し、
音楽教育にも力を入れ、教育機関も創設したようである。

第一楽章アンダンテ・ソステヌート-アレグロ・ヴィヴァーチェは、
ソナタ形式で書かれており重々しい序奏で始まり、
ベートーヴェン風に悲劇的な始まる。
弦楽器中心に徐々に明るくなっていくが、
主部の提示部に入ると、やはりベートーヴェン風なダイナミックな部分と、
シューベルトを思わせる軽快で流れる旋律が交互に現れる。
展開部の主題の展開のところも新鮮で、フーガ風に展開するところもあり、
シューベルトの後期交響曲のように大胆でなかなか聴き応えがある。
再現部を経て主題中心に盛り上がっていき、最後は力強く終わる。

第二楽章アンダンテ・グラツィオーソは、
のどかな感じのホルンの吹奏で始まる。
その旋律は木管楽器にも引き継がれ、
弦楽器も受け継いでいくが、明るさと影を交互にみせながら、
歌うような旋律が奏でられていき、再びホルンの吹奏が現れる。
それに弦楽器が支え、旋律は木管楽器に移る。
そして弦楽器中心に旋律を奏でていき、
それに木管楽器やホルンが絡んでいく。
美しい旋律であり、とても印象的な楽章である。

第三楽章アレグロ・マ・ノン・トロッポは三部形式で、
トランペットの3音と木管楽器で始まるメヌエットである。
優雅な感じの旋律が奏でられていき、主題は繰り返される。
明るく舞踏的で民謡風の旋律は親しみやすい。
中間部はクラリネットとヴァイオリン独奏が活躍する。
そして再び冒頭のメヌエット主題が繰り返されて終わる。
最後トランペットの3音で終わるところがなかなかいい。
第四楽章ヴィヴァーチェ・アッサイは、
弦楽器とクラリネットによる生き生きとした旋律で始まる。
主題が各楽器に引き継がれていくところが素晴らしい。
流れるように音楽が進んでいき、シューベルトの風である。
シューベルトの交響曲が好きな人であれば、気に入るのではないか。
最後は金管楽器が絡んでいき、最後は盛り上がって堂々と終わる。
この作品が受賞されるぐらい評価されたのも最もだと思う。
もっと評価されてもいい交響曲の一つであると思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カロル・カジミェシュ・クルピンスキのエレジー ハ短調を聴く

2023-03-21 21:30:16 | 古典~現代音楽ポーランド編
今回は1835年生まれのポーランドの作曲家クルピンスキが、
1819年に作曲したエレジー ハ短調について触れる。
今回聴いたCDはヤロスワフ・ティエル指揮、
ヴロツワフ・バロック管弦楽団の演奏である。
これは指揮者ティエルによる補筆完成版である。
クルピンスキは幼いころから父に音楽を学び、
12歳には教会のオルガン奏者となった。
1808年頃からは歌劇作品の作曲に取り掛かるようになった。
曲は重々しく悲劇的な旋律による力強い序奏から始まり、
ベートーヴェンのように壮大でドラマティックである。
盛り上がったあとに現れた旋律は、
フーガのように各楽器に引き継がれていき、
そのあとは伸びやかに歌うような旋律が現れる。
歌劇作品を多く残した作曲らしく、様々な旋律が現れる。
再び冒頭の重々しい旋律が現れ、続いて木管楽器が旋律を奏で、
力強い旋律と歌うような旋律が交互に現れ、
最後は金管楽器も加わり盛り上がりをみせて、力強く終わる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スタニスワフ・モニューシュコの「おとぎ話(冬物語)」を聴く

2023-03-18 22:00:25 | 古典~現代音楽ポーランド編
今回は1819年生まれのポーランドの作曲家モニューシュコが、
1848年に作曲した「おとぎ話(冬物語)」について触れる。
大オーケストラのための幻想的序曲と副題には書いてある。
今回聴いたCDはヤロスワフ・ティエル指揮、
ヴロツワフ・バロック管弦楽団の演奏である。
ショパンと同時代に生きた作曲家である。
指揮者としても活躍し、多数の歌劇作品を残している。
代表的な歌劇には歌劇「ハルカ」などがあり、
ポーランド・オペラの父とも言われている。
弦楽器が奏でる少し悲しげな感じの旋律で始まり、
その旋律を木管楽器など他の楽器が引き継いでいく。
行進曲風に進行していくところはシューベルト風でもある。
その後の軽やかに弦楽器によって奏でられていくところは、
明るくメンデルスゾーン風でもある。
序曲ということもあって様々な旋律が現れるが、
登場する旋律は親しみやすい感じのものばかりである。
その後弦楽器と金管楽器でドラマティックに盛り上がり、
最後は力強く堂々とした感じで終わる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする