Mars&Jupiter

おおくぼっちの屋根裏部屋へようこそ!

エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルトの弦楽四重奏曲第1番を聴きながら二俣川から緑園都市まで

2008-07-31 05:47:44 | 古典~現代音楽ドイツ編
昨日は二俣川から緑園都市駅まで歩きました。
途中聴いたのは1897年生まれのコルンゴルトの作品。
チェコ生まれの彼は幼い頃から優れた作曲の才能を示し、
神童ぶりを発揮し、ウィーンを舞台に活躍した。
後期ロマン派の流れを受けるツェムリンスキーなどに学び、
リヒャルト・シュトラウスなどにも認められた人物だが、
その後アメリカに渡り、ハリウッドに招かれて、
映画音楽の分野で作品を残し活躍したことで有名である。
弦楽四重奏曲を作曲していることは知らなかったので、
思わず目にした弦楽四重奏曲全集を買ってしまった。
弦楽四重奏曲第1番イ長調作品16は彼が23歳の1920年に作曲を始め、
1923年に完成し、初演は1924年ウィーンで行われた。
ローゼ四重奏団に献呈された作品である。

第1楽章アレグロ・モルトは、不安を感じさせるような激しい音楽で始まる。
曲が始まるといかにも後期ロマン派的な音楽になる。
リヒャルト・シュトラウスを思わせるようなところがある。
曲の終わり方もドラマティックである。
第2楽章アダージョ・クワジ・ファンタジアは、
ゆったりと歌うような旋律をヴァイオリンが奏でていく。
ロマンティックな音楽であり、情熱的であり、
シェーンベルクの浄夜を思わせるような曲でもある。
第3楽章の間奏曲は、軽快な感じの曲であるが、
彼の作品であるピアノ・ソナタ第3番などが使われているようだ。
第4楽章アレグレット・アモービレ・エ・コモドは、
フィナーレらしく颯爽とした感じの曲である。
これまたいかにも後期ロマン派的な曲である。
こうして弦楽四重奏曲をじっくり聴いてみると、
当時の音楽の流れの中に彼もいるのだなあと感じるのである。
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ルイ・シュポアの弦楽五重奏曲第7番ト短調作品144を聴きながら二俣川から鶴ヶ峰まで歩く

2008-07-30 06:32:43 | 古典~現代音楽ドイツ編
昨日は二俣川から鶴ヶ峰駅まで歩きました。
途中聴いたのは1784年生まれのシュポアの作品。
ドイツ・ロマン派の初期にあたる彼は、
当時ドイツ国内でヴァイオリン奏者として活躍し、
ロシアのサンクト・ペテルブルクやイタリア、
イギリスそしてパリなどにも演奏旅行を行なった。
200人近くのヴァイオリン奏者、指揮者、作曲家を育てあげ、
教育者としても当時活躍したようである。
弦楽五重奏曲は、1850年に作曲された作品である。
和声などにおいてはロマン派的な要素を持ちながら、
様式上は古典派的な要素を残している彼の作品の特徴は、
この作品の中にも現れていると思う。
その一方で1848年に起きた二月革命・三月革命のさなかにあり、
シュポアもその行方をみていた人物であるだけに、
その時代背景が彼の作品にも影響を及ぼしているかもしれない。
期待、不安、失望、怒り、様々な感情を抱きつつ、
この時期の作品は書かれているのではないだろうか。

第1楽章アレグロ・モデラートの冒頭は、
やりきれないような少し物悲しげな感じで始まる。
ヴァイオリンが弾く短調と長調の主題をもとに
ソナタ形式で展開されていく曲はロマンティックである。
ヴァイオリン奏者の彼らしく第1ヴァイオリンが活躍し、
弦楽五重奏曲なのにヴァイオリン協奏曲風でもある。
第2楽章ラルゲットは、ヴァイオリンが甘い旋律を奏でる。
穏やかな音楽は宮廷的でもあり、華やかでもある。
第3楽章メヌエットのト短調で始まる主題は、
1848年の二月革命・三月革命以降変化していく当時の
激動の時代を示しているようでもある。
中間部のトリオはト長調で書かれているが、
何となく落ち着いていない感じである。
冒頭のト短調が再現され、最後も悲観的な雰囲気は残る。
第4楽章アレグロ(フィナーレ)は、明るい楽天的な曲である。
ここでも第1ヴァイオリンの活躍する場面が随処にみられる。
夢みるような明るい感じの主題が繰り返され、
幸せに包まれたような雰囲気の中で曲は終わる。
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アーノルト(アルノルト)・シェーンベルクの3つのピアノ曲とピアノ組曲聴きながら二俣川から鶴ヶ峰まで

2008-07-29 06:10:07 | 古典~現代音楽オーストリア編
昨日は二俣川から鶴ヶ峰駅まで歩きました。
途中聴いたのは1874年生まれのシェーンベルクのピアノ曲。
12音技法の創始者として有名なシェーンベルクについては、
あらためてその生い立ちについては触れない。
今回は1909年に作曲された3つのピアノ曲作品11と、
1920年から23年にかけて作曲された5つのピアノ曲作品23と
1921年から23年にかけて作曲されたピアノ組曲作品25を聴いた。
聴いたCDの演奏はグレン・グールドである。

3つのピアノ曲作品11は初期の無調で書かれた作品である。
第1曲「中庸に」は、三部形式による作品である。
ゆったりとしながらも鋭い感じをもつ表現主義的な音楽である。
曲そのものには関係ないがグールドのうなり声も時々聴こえてくる。
第2曲「中庸に」は、三部形式により書かれているようだ。
オスティナート風の動きの中、叙情的な旋律が時々現れる冒頭に対し、
対照的な中間部は激しさを持ち、ピアニズム的な無調の音楽である。
第3曲「動きを持って」は、前の2つの曲に比べ主題のない曲で、
急速なテンポの中、激しく野心的な音楽がくりひろげられる。

5つのピアノ曲作品23は無調時代から、
12音技法時代への移行期にあたる作品である。
第1曲「非常にゆるやかに」は、ポリフォニック的な作品で、
3つの声部が和声から解放されたかのように自由な動きをみせる。
第2曲「非常に急速に」は、9音からなる音列を基礎に、
曲が作られており、激しさの部分ももった音楽である。
第3曲「ゆるやかに」は、5音による音列を使っているようだ。
ゆったりとは始まるが、時々音楽は激しくもなり、
最後は神秘的な雰囲気で静かに終わる。
第4曲「活気を持って」も、5音による音列を使った作品。
第5曲「ワルツ」は、12音の音列を使った音楽である。
ここに至りようやく12音技法に到達したといった感じである。

ピアノ組曲作品25は12音技法で書かれた作品である。
第1曲前奏曲の初めの右手に音列の原形が示されるようだ。
第2曲第3曲のガヴォット-ミュゼット-ガヴォットは、
全曲の中でも長大な曲で、しかし緻密に作られた曲である。
まさに12音技法を駆使した意欲的な曲であると思う。
第4曲間奏曲は、両手の手の動き方が興味深い。
第5曲メヌエットは、各声部の動き方がなかなかである。
第6曲ジーグは、強調されたリズムと、
めまぐるしく変化していく音楽の展開が面白い。
ピアノ奏者にとってはなかなか難曲なのかなとも思う。
この3曲を聴くとどのようにしてシェーンベルクが、
12音技法の音楽に至ったのかの経緯をたどることができる。
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フランツ・ダンツィの管楽五重奏曲変ロ長調作品56の1を聴きながら二俣川から西谷まで歩く

2008-07-28 06:47:17 | 古典~現代音楽ドイツ編
昨日は二俣川から西谷駅まで歩きました。
途中聴いたのは1763年生まれのダンツィの作品である。
マンハイム宮廷音楽家の息子として生まれた彼は、
15歳にしてマンハイムの宮廷楽団に加わり才能を発揮した。
1780年代にはそれまで首席奏者を務めていた父に代わり、
ミュンヘンの宮廷楽団員となり、作曲家としても作品を残した。
その後1798年にはミュンヘンの第2宮廷楽長の地位を得るが、
1807年にはシュトゥットガルトに移り、
ヴュルテンベルクの宮廷楽団の楽長に就任し、
1812年にはカールスルーエの宮廷楽団の楽長にもなっている。
そのような楽団の中で、モーツアルトやケルビーニ、
ベートーヴェンそしてウェーバーなどの作品をレパートリーに入れ、
演奏活動を通してこれらの作品の普及につとめたようである。
管楽五重奏曲変ロ長調作品56の1の作曲年代は分からないが、
楽譜の出版は1812年の頃なのでそれよりも前になる。
フルートとオーボエ、クラリネット、ホルンとバスーンといった
管楽器のために作曲された4楽章制による作品で、
同じ作品番号である3つの管楽五重奏曲の中でも、
よく演奏される人気のある作品らしい。

第1楽章アレグレットのオーボエで始まる主題は、
かわいらしい感じの旋律で、フルートなど他の楽器が加わり、
宮廷的な華やかな音楽となっていく。
他の楽章が2・3分程度の演奏時間であるのに対し、
この楽章は8分もかかり比較的長大である。
管楽器の作品というとモーツアルトをあげたくなるが、
ダンツィの作品は同時代的なところを感じさせるだけではく、
ロマン派的な部分をかんじさせる作品である。
やさしさと幸せに包まれたようなのどかな感じを抱かせる。
第2楽章アンダンテ・コン・モートでオーボエが奏する旋律は、
少し陰のある寂しい感じであり、古典風な感じでもある。
フルートが受け継ぎながら、最後も同じ寂しげな感じで終わる。
第3楽章メヌエットは、軽快な舞曲風の華やかさのある曲。
三部形式で書かれており、中間部のトリオはのどかで優雅な感じだ。
第4楽章アレグレットは、終曲らしく華やかな感じである。
軽快で流れるような旋律は、各楽器の演奏の見せ所でもあるが、
楽しく弾んだ舞曲風の短い曲はあっという間に終わる。
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アントン・フォン・ウェーベルンのチェロとピアノのための3つの小品を聴きながら二俣川から緑園都市まで

2008-07-27 07:03:30 | 古典~現代音楽オーストリア編
夕立のあとのウォーキングは湿った空気の中では歩きにくい。
昨日は二俣川から緑園都市駅までの短い区間であったが、
歩いていると汗が出て、普段より疲れてしまう感じである。
そんな中で聴いたのはウェーベルンの作品である。
チェロとピアノのための3つの小品作品11は、
1914年に作曲された作品で、全曲通した演奏時間は2分程度。
とにかく、それぞれが短い凝縮された音楽なのである。

第1曲「中庸な速さで」は、9小節しかない。
ピアノのゆったりとした伴奏にあわせ、
チェロはすすりなくような音を奏でる。
第2曲「非常に活気づいて」は、13小節の作品。
1曲目に比べ激しく動きのある曲である。
第3曲「きわめて静かに」は、10小節の作品である。
第1曲と同じようにゆったりとした曲で、
最後はチェロの消え入るような音で終わる。
コメントのしようがないほど、それぞれの曲があまりにも短い。

弦楽四重奏のための6つのパガテル作品9も同様に4分で短い。
1913年に作曲されたこの作品の第1楽章「中庸な速さで」は10小節。
曲の冒頭から聴き手は音の砂漠の中に置かれる。
乾燥したような音楽の中、緊張した音楽が作られる。
第2楽章「軽く活気づいて」は8小節で、
少しおどけたような軽快な動きのある曲だ。
第3楽章「十分にしなやかに」は9小節で、
緊張感みなぎる中で曲は予想しないところで突然終わる。
第4楽章「非常にゆっくりと」は8小節で、
曲の途中から規則的に奏される時計のような音が印象的である。
第5楽章「きわめてゆっくりと」は13小節で、
弦楽器のずっと伸ばしていく音とピッチカートが対照的である。
第6楽章「しなやかに」は9小節で、動きのある激しい音楽で、
再び最初のような緊張感のある音楽である。
この曲に関してはジュリアード弦楽四重奏団と
アルバン・ベルク四重奏団の演奏を聴き比べてみたが、
私の聴いた印象としては後者の演奏がいいと思う。
凝縮された音楽とはいえ、それにしても短い。
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