Mars&Jupiter

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フリードリヒ・ゲルンスハイムの交響曲第1番ト短調作品32を聴く

2022-02-20 18:41:48 | 古典~現代音楽ドイツ編
今回取り上げるのは1839年生まれのゲルンスハイムが、
1875年に作曲した交響曲第1番ト短調作品32である。
聴いたCDの演奏はジークフリート・ケーラー指揮、
ラインラント・プファルツ国立フィルハーモニー管弦楽団のものである。
ゲルンスハイムの交響曲はこのブログの中で、
交響曲第1番のみ今まで触れてこなかったので取り上げる。
この作品はブラームスの交響曲第1番初演の前年の、
1875年ロッテルダムで初演されている。
第一楽章アレグロ・モデラートは、哀愁を帯びた旋律で始まる。
最初の主題とは対照的にもう一つは木管楽器が加わり明るい感じの旋律である。
その音楽はベートーヴェンを思わせるところもあり、
一方でメンデルスゾーンのような情熱的な部分もある。
それは最後の盛り上がっていくところにもみられ、
最後は最初の主題が現れ、悲劇的な感じで終わる。
第二楽章ラルゲットは、木管楽器・金管楽器に牧歌的な旋律が現れ、
それが弦楽器に引き継がれていき、穏やかな旋律が続いていく。
木管楽器が絡んでいき、美しい旋律が奏でられていく。
ベートーヴェンの交響曲第9番第3楽章を思わせるが、
もちろん、それを超える美しさではないがロマンティックである。
最後情熱的に盛り上がって、静かに終わる。
第三楽章スケルツォ(ヴィヴァーチェ)は、一部がベートーヴェン風で、
弦楽器が軽快な旋律を奏でて始まり、木管楽器や金管楽器が絡んでいく。
中間部のトリオの部分は牧歌的で、旋律はシューベルトの交響曲第9番を感じさせる。
冒頭の部分が繰り返され、盛り上がったところで最後力強く終わる。
第四楽章アレグロ・モデラート・アッサイは、
弦楽器が穏やかな旋律を奏でて始まり、木管楽器も絡んでいく。
そのあと力強く推進力のある旋律が現れる。
美しい旋律がみられるが、やはりメンデルスゾーン風な部分は随所にみられる。
冒頭に現れた2つの旋律を中心に曲は進行し、
金管楽器が加わり壮大な感じになり最後盛り上がって終わる。
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ギュンター・ラファエルの合唱交響曲「大いなる知恵に」作品81を聴く

2022-02-19 21:02:52 | 古典~現代音楽ドイツ編
今回取り上げるのは1903年生まれのギュンター・ラファエルが、
1956年に作曲した合唱交響曲「大いなる知恵に」作品81である。
ギュンター・ラファエルの交響曲は作品集のCDの中に、
交響曲第1番が収録されていないので、紹介は今回で終わる。
聴いたCDの演奏はツヴェトゥカ・アーリンのアルト、
ライムント・グルムバッハのバリトン、ミヒャエル・ギーレン指揮、
バイエルン放送交響楽団および合唱団のものである。
3つの部から構成されている交響曲である。
テキストには老子の言葉が使われているようで、
マーラーの「大地の歌」との類似性もみられる。
第一部は神秘的な音で始まり、道の概念が合唱で歌われて始まる。
「道の道とすべきは常の道にあらず。名の名とすべきは常の名にあらず。」
この内容が歌われていき、金管楽器によるファンファーレのあと、
バリトン独唱が入り、人間による認識とは何かという内容の歌が歌われる。
そのあとアルトの独唱が入り、あとは合唱とバリトン独唱が交互に歌っていく。
宇宙の根源とは何か、世界とは何か、道の思想の深遠さが伝わってくる。
音楽は荒涼とした感じを与え、激しく荒々しい部分もある。
やがて音楽は壮大な感じになっていき、なかなか聴きごたえがある。
第二部は武器についての老子の考えが合唱によって歌われて始まる。
「そもそも、立派な武器は災いをもたらす道具である。誰でも武器を嫌う。」
合唱に続き、アルト独唱とバリトン独唱が入ってくる。
武器を為政者が使うことの危うさをこの音楽は伝えている。
武器を為政者が使う時は、いいことは起こらない。
多くの人々が犠牲になり、災いは広がり、そこに平和はなく、
際限のない戦争が続いていくことは、2つの大戦で人類は経験した。
しかし、今でも兵器開発は進んでいるし、現在も何も変わっていないのである。
弦楽器の独奏が入り、その悲惨さを訴えているようでもある。
フルートがそれに絡み、室内楽的な響きの中で空虚感が伝わってくる。
アルトとバリトンの独唱者が歌い盛り上がったところで第二部は終わる。
第三部は、「知恵出でて大偽あり」の内容に関係するようだ。
弦楽器による激しく重々しい感じの旋律で始まり、合唱が入り、
「偽善的な知識から立ち去れ」といった意味の歌詞から歌われる。
バリトンとアルトの独唱がその合唱の間に入ってくる。
管弦楽は金管楽器も加わり、狂乱したような音楽になっていく。
その盛り上がりのあとは静まり、バリトン独唱が入る。
そしてバリトン独唱と合唱のやりとりが続いた後、アルト独唱に続き、
バリトンが「道(タオ)」と歌い、その崇高さが両者の掛け合いと、
合唱によって歌われていき、徐々に盛り上がっていく。
この作品を通して何を作曲家が伝えたいかは知らないが、
私はこの「道」という思想の一つに小国寡民の考えがあることから、
突き詰めるところ平和な世界の実現を訴えていると思いたい。
曲は盛り上がりをみせたあとは静かになり、最後は消え入るようにして終わる。
ロシアとウクライナの間の軍事的緊張が高まっているが、
とにかく戦争には発展してほしくないものである。
老子の言葉、「大いなる知恵」に耳を傾けてほしいと思うところである。
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ギュンター・ラファエルの交響曲第3番ヘ長調作品60を聴く

2022-02-12 06:43:17 | 古典~現代音楽ドイツ編
今回取り上げるのは1903年生まれのギュンター・ラファエルが、
1942年に作曲した交響曲第3番ヘ長調作品60である。
聴いたCDの演奏はマティアス・フォレミー指揮、
MDR(中部ドイツ放送)交響楽団のものである。
第一楽章「力強くそして決然と」は、ホルンの吹奏で始まるが、
一瞬マーラーの「大地の歌」かと思わせる始まり方である。
そのあと弦楽器中心に奏でられる旋律をもとに進行し、
金管楽器が鳴り響き緊張感のある音楽になる。
もう一つの旋律は対照的で東洋的な雰囲気も感じさせる。
また、クラリネットなど木管楽器を中心に叙情的な旋律も現れる。
やがて、金管楽器と打楽器中心に音楽は盛り上がっていき、
そのあとは低弦奏でる音型に合わせ、せわしない感じの旋律が現れ、
打楽器や金管楽器中心に再び盛り上がりをみせていく。
最後はドラマティックに盛り上がった後、力強く終わる。
第二楽章「落ち着いて、遅く」は、低弦の奏でる音型で始まる。
それにヴァイオリンやヴィオラが絡んでいき、旋律が奏でられる。
穏やかな旋律のあとヴァイオリン・ソロが入り、
弦楽器の穏やかな旋律に金管楽器が絡んで、盛り上がりをみせていく。
そして静まったあと、再び弦楽器中心となり、最後静かに終わる。
第三楽章「ゆっくりと」は、鈴の叩くリズムに乗って、
フルートなど木管楽器が軽やかな旋律を奏でていく。
東洋的な雰囲気もあるこの音楽が終わると、
中間部は金管楽器のみのゆったりとした音楽になる。
ファンファーレ風になったりし、行進曲風に進行する。
そのあとは、冒頭の音楽が再び現れ、金管楽器が絡んで、
最後フルートなど木管楽器でかわいらしく終わる。
第四楽章「遅く」は、重々しく始まった後、
弦楽器が奏でる旋律が対位法的な展開をみせていく。
そして、金管楽器がトッティで鳴り響くなど、
盛り上がりをみせ、再び弦楽器中心に旋律が奏でられ、
金管楽器や打楽器が絡んで最後は力強く終わる。
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ギュンター・ラファエルの交響曲第2番ロ短調作品34を聴く

2022-02-11 11:13:37 | 古典~現代音楽ドイツ編
今回取り上げるのは1903年生まれのギュンター・ラファエルが、
1932年に作曲した交響曲第2番ロ短調作品34である。
聴いたCDの演奏はクリストフ・アルトシュタット指揮、
MDR(中部ドイツ放送)交響楽団のものである。
交響曲は五楽章により構成されている。
第一楽章アレグロ・マエストーソは、冒頭から荒々しく始まり、
その感じはまるでワグナーの「ワルキューレの騎行」や、
マーラーの交響曲第2番の第一楽章を想起させる感じである。
いかにも後期ロマン派的であり、主題の展開の方法もマーラー風で、
第2番第一楽章の展開部のようにドラマティックである。
盛り上がりをみせたあと、最後は静まって終わる。
第二楽章アレグロ・マエストーソは、前楽章の主題が、
形を変えて流れるような感じで奏でられていく。
徐々に盛り上がりをみせたあと、いったん静まり、
再び金管楽器を中心に荒々しくなって、最後静かに終わる。
第三楽章モルト・アダージョは、弦楽器中心の旋律で始まる。
やがて金管楽器や木管楽器も絡んで美しい旋律が奏でられる。
ワグナーの音楽のような耽美的なところもあり、
金管楽器が鳴り響くところもロマンティックである。
対位法的な展開もみられ、聴きごたえは十分である。
ワグナーのジークフリート牧歌風とまでは言わないが、
ゆったりとしたテンポの中で叙情的な音楽を聴くことができる。
第四楽章プレッスティシモは、フルートなど木管楽器が活躍し、
荒々しいリズムの中、軽快なテンポで旋律が奏でられていく。
第五楽章レント-アレグロ・コン・スピリートは、
弦楽器による力強く重々しい旋律で始まり、
他の楽器にもその旋律は引き継がれていく。
低弦の奏でる音型に続き、別の旋律が奏でられ、
これは生き生きとして勇ましい感じである。
そのあとは穏やかな感じになる部分もあるが、
再び生き生きとした旋律が奏でられ、
徐々に盛り上がりをみせていき、金管楽器が鳴り響き、
最後は力強く堂々とした感じで終わる。
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