世界は明らかに異常気象に陥っている。トランプのようにこれを認めない無知な指導者がさらにそれを加速させる。そして次に起きるのが食料危機である。
IPCCは8月2日から6日間、スイスのジュネーブで総会を行い、世界52カ国の100人以上の科学者が参加して、地球温暖化が土地に与える影響などの報告書を初めて承認した。
陸上の平均気温は海面水温などを含む世界全体の平均気温よりも産業革命前に比べて2倍近く上昇していると指摘、ほとんどの地域で熱波といった異常気象の頻度や強さ、期間が増したのは、温暖化の影響による可能性が非常に高いとしている。
また、干ばつの頻度や強さが増え、世界的な規模で豪雨の頻度が増えたことについても、温暖化の影響の可能性が高いと指摘している。異常気象によって食料供給が不安定になり人口が今世紀末に90億人に達することも併せて考慮すると、2050年には穀物価格が最大で23%上昇する可能性があるとしている。
上記はNATUREの報告であるが、熱波、旱魃、降雨洪水、海洋異常などの起きている回数である。これを異常と呼ばないでなんとする。
穀物価格の高騰は、貧国の問題ではない。先進国の畜産業が危機に陥る。食料危機は先進国の大型畜産業に特化して、先んじて起きる。
多くの人は、先進国の大規模畜産の家畜(採卵鶏・ブロイラー・肉豚・肉牛・乳牛)が、大量の穀物を食べていることを知らない。日本では人が食べる穀物とほぼ同量が、家畜に給与されている。エネルギーとして大量の無駄・ロスを招く形態は、食料危機を加速させる。
世界はこうしたことへの危機感から、家族型農業を国連主導のもと進めている。家族型小規模農業は、地域の環境を守り、地域の貧困を底上げし、地域の食料供給を安定的に保ち、なにより政情を安定させる。現在でも、世界の食料の8割は家族型農業が支えている。
国連は今年から10年間を、家族農業年にして活動してるが、日本はこれを拒否している。
日本は政府主導の農業の基本を無視した大型農業を推進している。農業の周辺産業が潤うばかりで、高価な農産物を生産するコルホーズ型農業のために大量の税金を投入する。農家には金が残らないシステムは、TPPに耐えられない高価な農産物を生産するばかりか、地球温暖化に耐えられない。
食料自給率38%の日本は、政策として自給を放棄し農業関連業者の収益ばかりを上げる、中身のない企業型農業を懸命に支援している。これは破局への道に他ならない。