消費増税がすでに始まっている。世論は反応が疎く、概ね受け入れようとしているかに見える。諦めというべきであろうか、従順である。
今回の消費増税は、消費税の持つ矛盾を何一つひろむ解決しないばかりか、問題点を据え置いたままなので、次の2点で格差がさらに拡大することになる。
① 不公平税制であること。生活必需品も贅沢品も同じ税率をかけるのは、憲法で規定する健康で文化的に生きる権利を奪うものである。生活必需品については、軽減税率を適用して対応するべきである。
制度的な対応が複雑であったり、線引きが難しいなどの問題は確かにあるしかし、多くの国はそれでも必要であるとして、多くの問題があるのを承知の上で対応している。食料・医療・教育に関しては、無税かせいぜい5%程度に抑えるべきである。
日本は、与党ボケした公明党が前向きであるが、この分だと10%に上がった時でも対応が無理であろう。たとえ軽減税率を導入したとしても、現行の8%との差額になるという、なんとも後ろ向きな話である。
② 大企業優遇税制であること。下請け企業は、親会社に消費税分を転嫁することなく、実質的に自企業で負担して納品する現実がある。日本では、価格への転嫁を法律で明記していないからである。
大企業は消費税の納入は、下請けに払っていることを前提に支払うことになる。
販売商品や納品製品に、消費税分を価格転嫁できない中小企業は、消費増税によって、自らが負担し収益を減らすことになる。
大きな企業ほど、消費税分を下請けや孫請けに負わせているが、増税でさらにその差が広がることになる。
更に優遇されるのは、輸出企業である。こうして下請けに消費税を負担させておきながら、輸出するので海外からは徴収できないとして、その額を国が払っている。輸出還付金である。
上位20社だけで、ほぼ1兆円ある。全額で3兆円ほどになる。5%が8%になれば、6割も増えることになる。円安を演じてきたアベノミックスで、大儲けしている企業への追い銭になる。原資は下請け企業や庶民から徴収した消費税である。
更に安倍政権は、小企業にとってありがたい、専従者控除を廃止する方向である。専業主婦の対象になる、配偶者控除の対象になる、上限103万円も見直を検討している。
消費増税は、日本の貧富の格差をさらに広げることになる。