C4植物というのをご存知でしょうか? 結論から言えば、トウモロコシが作り出す炭素形態、炭水化物と言えます。サトウキビもこのスタイルであるが、トウモロコシのことと思って良い。
トウモロコシは、今や世界の食糧を席巻するアメリカの戦略物資となって、知らぬ間に世界を支配している。
通常の植物は光合成によって炭素原子3つを含む栄養素の部分を造るが、トウモロコシは炭素原子を4つ取り込み造る。このトウモロコシ、C4植物の光合成は極めて効率がいい。
そのため水分と太陽光が必要となるが、アメリカ中西部はこの条件にぴったりである。もっとも水は地下水(オガララ滞水層)を吸い上げているので、資源の枯渇も近い。
近年先進国の家畜は極めて大きな規模となり、一頭当たりの生産量がきわめて高く、高生産になっている。
個体能力の向上は劇的で、ニワトリは玉子を年間300以上生産する。乳牛は年間1万キロは珍しくない。遺伝的改良が高能力をつくったとされるが、それは一面の表現に過ぎない。
家畜は、トウモロコシを肉に、玉子に、乳に変換させるように改良されたに過ぎないのである。
その為、乳牛の獣医師は高生産の乳牛の肝臓と、乳房と、消化器との戦う「修理師」になって懸命に注射をし、細菌検査をし、手術に明け暮れるのである。
こうして家畜は極めて短命になるのであるが、彼女たち(家畜はほとんどが雌である)の生産した畜産物は、C4形態の炭水化物になって我々の身体を構成する。
「生命体は動的平衡体である」と説明する、生物学者の福岡伸一氏によれば、アメリカ人の身体の60%以上はC4によって構成されているとそうである。100%の人物も出てきている。日本人も40%は、C4体によって構成されているとのことである。
遺伝子組み換え植物同様に、C4植物の障害が証明されているわけではない。しかし、こうした工業的農産物の生産は、過去無数の事件を起こしているし、当初は不明であったことがほとんどである。
日本は、家畜にトウモロコシを1500万トン給与している。これは人が口にする穀物量と、ほぼ同量である。ほぼ全量アメリカから輸入している。干ばつが起きた今だからこそ、食糧の海外依存を考え直す時期ではないだろうか?