ついに消費増税法案が可決され、10%の消費税の増税が決まった。自民・公明と民主党の一部の賛成で可決成立した。もう少し先になるかと思ったが、意外と早く決まった。
民主党を分裂させるために、この法案は極めて有効に働いた。増税で景気が落ち込んでも、民主党のせいになる。日本の国際価格が上がれば、自民党のせいになる。何しろ反対者を抱えている、民主党にはおいしいところが生きことはない。
法案成立後の、野田首相の会見冒頭で「マニフェストにないことをやり、率直に国民にお詫びする」と述べた。国民は民主主義をシステムとし信用して彼らに、政権をゆだねた。彼らの主張を信じたからである。
率直にお詫びされても、民主党を信用した方の国民は「はいそうですか」ということにはならない。首相の言葉のなんと軽いことか。彼は街頭で「マニフェストに書いてあることをやるんです。書いてないことはやらないのです」と演説している。
実際彼のやったことは、「マニフェストに書いてあることはやらないのです。書いてないことをやるのです」と言い換えてもらいたい。
これは単に言質の問題ではなく、もっとも重要な政治主導を放棄した結果、自民党の主張することと同じになってしまったのである。増税による財政再建は、もっとも簡単な論理であるが、最も愚かなことでもある。
政権交代当時に取り組んだ、事業仕訳はパフォーマンスの域を出ることなく、次第に官僚に取り込まれ政治主導の掛け声は消えてしまった。
政治主導が忘れ去られて、結局は増税だけをまず決めるというような、党内論議も国会内の論戦も生むことなく、増税法案のみが先行して決められたのである。
「社会保障と税の一体改革」は、3党合意の政治的理由が先行し、一応民主党内での論議は反故にされ自民・公明によって置き去られた。党内論議を放棄して自民党の、民主潰しにまんまと乗った野田は一層自民化することになる。
民主党による政権奪取は、かつての自民党に近づく3年間でもあったとも言える。或いは、次々とマニフェスト実現への放棄の時間ともいえる。
その象徴が「消費増税」であると解釈すると解り易い。今頃になって、民主党は綱領をつくることを考えているようである。総選挙は一年以内にあるだろうが、マニフェストはどうするのだろうか? 政党といて成熟していない、あるいは理念を持たない民主党が政権の座を降りることになるのを知っている。
野田は党首選挙に勝利し、解散を先延ばしにして延命を考えるであろうが、そのことは国民の生活とは全く関係ないことである。
ところで、消費税が今の倍の10%になると、我々の生活はどうなるのであろうか?