そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

国は再生医療の道の支援を

2009-05-22 | 政治と金

ブッシュ前アメリカ大統領が、福音派と呼ばれるいわばキリスト教原理主義者たちの支援を受けていた。福音派の人たちは宗教的な観点から、受精卵から取り出すES細胞には反対であった。ブッシュは、予算を付けなかった。

Img_0871オバマは、昨日このES細胞の研究にむけて予算付けを行った。超大国のアメリカが、本格的に動き出した。世界の動きを変えてしまう勢いになる。

日本では受精卵ではなく、体細胞から数度の修理をして得られるiPS細胞の開発を、京都大学の山中教授たちのグループが成功している。iPS細胞は、アメリカが悩んだ倫理的な問題がない。しかし、細胞の取り出しがかなり厄介である。自分の細胞を用いるので、拒否反応がない利点がある。

いずれにしても、ES細胞もiPS細胞も新たな組織を作り出してくれる、再生医療と言われるもの根幹をなすものとなる。例えば、現在では移植しか治療法がないとされている、うっ血性心筋炎という病気では、ES細胞なりiPS細胞を心筋に植え付けるだけで、健全な細胞が再生されるのである。

アルツハイマーやパーキンソン病や重度の糖尿病など、応用範囲は無限にあると言って良い 。これからの医療の形を変えるものなると思われる。

こうした基礎研究については、行政的な支援が行われることによって飛躍的に伸びるものである。時の為政者の思惑が大いに係わってくる。日本では、各方面でばらばらに取り組んでいたのを、山中教授が政府へ一本化と経済的支援を要請に行っている。が、日本では2年間でわずか120億円である。アメリカは、すでに動き出Ep_4しているカルフォルニア一州で、10年間で3000億円組んでいる。

全体の形が見えるころには、多分100倍以上の差がつくことになると思われる。京都大学の開発したiPS細胞のほうが、技術的な問題を克服すると有利になることは目に見えている。しかしながら、国家の支援体制や問題意識の差が決定的となってしまうであろう。

これはほんの一例にすぎない。資源のない日本がこれから生きていくためには、得意部門の技術開発を促すことで乗り越えることができる。票に直接結びつかないような政策は、政争に明け暮れる政党は興味を持つことがないのである。


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春誓い羅臼港