そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

なし崩す麻生

2009-05-30 | 民主主義

補正予算が通った。実体は景気浮揚を理由にした、ばらまき予算の執行である。これは明らかに小泉改革に逆行する政策の転換である。小泉は赤字国債の削減に奔走し、様々なものを切り捨てた。

小泉改革を評価するつもりはないが、麻生の選択は明らかに政策転換といえるものである。社会的にも国際的にも大きな変化はあるものの、何の問いかけもないなし崩し的な政策転換は、許されるべきではない。しかも、麻生は何度も小泉政権時代要職を歴任していた。

この国の為政者は自民党内で政権を持ちまわる、いわば「疑似政権交代」を繰り返し、国民の目をそらしてきた。目先の政策すり替え、あるいは人物のすげ替えで世論を翻弄し封じ込めてきた。ちょっとした目先のごまかしで、騙される国民も問題があるが、これは明らかに政権の質的な変貌であるが、同じ政党が担ってきている。

今回も同様であるが、さらにひどいのはこの間に二人(実質小泉を入れて三人)の、ボッチャマが政権投げ出しをやっていることである。自民党内のエセ討論で総裁を選び、あたかも新しい政権が生まれたかのように演じるのである。

自民党内にも、麻生のやり口を快く思っていない連中がたくさんいる。彼らの多くは小泉支持者の、新自由主義者である。同じ政党内であるがために批判を大っぴらにしないでいる。むしろ彼らには賛同する、民主党内の連中もいるくらいである。選挙後の、政界再編の火種はこの辺にもある。

麻生がまた失態を演じた。ナベツネ(渡邊恒雄)の発言に気を良くして、厚労省の分割を持ち上げた。発言内容は明らかに分割と言っているし、分割する内容も省庁名もあげていた。ところが、官僚や党内の反発を受けると「そんなこと言ってません。論議しただけだ」と、首相としての立場すらわかっていない、無指導力ぶりを見せつけた。

政策方針の転換にしろ発言内容にしろ、その後の反応で態度を変えて何となくなし崩す。これがこれまで政権担当者が慣行的に行ってきたことである。

民主党党首選びでも、どう見ても思想的に相いれない関係の人物の支持を取り付合っていた。選挙後に政界再編が行われるであろうが、これも国民の審判を得た後の、政治家たちの烏合参集でしかなく、なし崩しには違いない。日本の政治土壌はこうしたなし崩しで連綿と続いてきたのである。

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