恐ろしい番組を見た。深夜のBS放送での、海外ドキュメンタリーである。「あなたの隣にトラがいる」という番組であった。アメリカの半分の州では、トラなどの猛獣をほぼ自由に飼育することができるそうである。
もちろん民間であるがアメリカ全土で、飼育されているトラは1万頭になるそうである。トラは絶 滅 危惧種である。シベリアタイガーやアムールトラは間違いなく絶滅する。ネコ科の猛獣はかわ いいものである。番組も飼育する人に対して、比較的好意的に扱っていた。確かにこうした、トラ好きのトラなどに接する姿勢には愛情が感じられる。
しかし、いかんせん相手は猛獣のトラである。番組で取り上げていたトラ好きは24頭も飼育していた。しかも、ちょっとした木材で網を補強した程度の檻である。狭い檻の中で、猛獣たちは生涯を終える。少し前までは、トラが結構な値段で売れたそうである。
経済的にあるいは物理的に、飼育に耐えられなくなったりしたトラたちは糞尿や汚泥にまみれ、餌もままならない。銃殺ならまだしも餓死するトラたち、そして放棄される危険な環境が報告されていた。
犬猫でも同様のことが行われているであろうが、トラやライオンそれにクマなどは簡単に飼育放棄されるようでは危険極まりない。ペットも家畜である。目的を失った家畜は哀れである。
1トンを超す馬が重い荷物のそりを曳いて鞭打たれ坂を登る挽曳(ばんえい)馬を、動物虐待と指摘する人がいる。見た目にはかわいそうには見えるが、家畜である以上その目的の達成に人馬一体になるのは、その後の達成感を共有する意味で容認されるであろう。
中央アジアで、熱砂の中を重いものを乗せて曳くロバを見たことがある。ロバの体重は、200キロ程度であろうか。人を2人ほど乗せ荷物を合わせると、体重と同じ程度になるだろう。黙々と重荷を曳くロバと、人々は生活を共有して生きている。人も過酷な生活環境にある。相互に支えあいながら生きえいる。動物虐待とは思えない。
経済効率を求められる先進国の現代の乳牛たちは、泌乳のためたっぷり餌を与えられる。見た目に過酷さはないが、血液検査をすると肝臓や心臓や胃腸のすべてを稼働し、体力の限りを尽くして働かされていることが分かる。彼女たちは僅か2産で淘汰される。これは見た目には、肥満状態になるため動物虐待に見えないが、確実に虐待を受けていると言える。