現在日本の農家は284万戸ほどである。45年前の1960年には606万戸あったから、 半数以下になってしまった。終戦直後は750万戸あったから、その3分の1以下になった。農業所得が主収入の、専業農家に限るとたった43万戸程度しかいないのである。
しかも、日本の農業従事者の、58%が65歳以上である。同じくイギリスが7%、フランスが4%であることを思うと、日本の農業が危機的状態であることがわかる。ジジババしかいない農村には廃屋ばかりが目立つ。
自給率を上げると20秒も発言していない新農水大臣の説明に、何の根拠もない。現実がこんな常態で、海外に打って出るなどは無理なのである。極めて少数の農産物が、たまたま上手くいっているだけなのである。それをことさら大きく評価する姿勢からは、農業の再生は窺えない。
農業の本質を放置したままの、金に頼る農業政策が農業に自身と力を失わせた結果、農村・田舎にはジジババしかいなくなったのである。
日本は日照時間も降水量も多く、農業に適した国土を持っているのである。規模が小さいことが、市場経済の規範から逸脱せしめただけである。農業の問題ではない。政治の問題である。