そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

あれから5年経ちました

2006-09-09 | ゲノム編集

Photo_21 あれから5年経ちました。このように表現すると、ほとんどの人がアメリカの同時多発テロのことだと思われるでしょう。しかしながら、われわれの世界では、日本初の狂牛病(当時はこのように言われていましたし、一部のかたがたはこの表現をなくすべきでないとしています)が確認されて、ちょうど5年になるのです。テレビでは、滑ってフラつくイギリスの牛の映像を、何度も何度もタレ流していたものです。人にも感染して、不治の病になると恐怖心が「狂牛病」という病名とあいまって、諸費者に恐怖心を与えていました。加えて、農水省の役人の対応の不手際があからさまになり、屠場搬入がストップしたり牛の販売ができなくなったりと現場は大変でした。

日本人は忘れやすいのでしょうか、そんなドタバタが今では忘れ去られようとしています。われわれ獣医師の立場からすると、この病気の本態の解明がほとんど進展していないことに、苛立ちを感じています。20万頭ものBSE(狂牛病:牛海綿状脳症)を出した、イギリスですら病因の確定には至ってはいません。アメリカでは、解明をする体制を作る意思すらありません。

BSEの原因とされている「プリオン」は、このことでノーベル賞とった、スタンリー・プシュナーの仮説でしか過ぎません。彼の仮説は、今まで人類が築き上げてきた医学全般をも否定するものですが、その仮説に反論する有力な説も今のところありません。

個体の履歴を行い全頭検査を行うことで、病因の特定あるいは範囲を狭めることが可能になります。全頭検査は、国が放棄しました。地方自治体が、自分の地方の肉が売れなくなると困るので、今のところ検査していますが、財政が逼迫する現状でどこまで続けられるのか不安です。アメリカは、個体の履歴を明らかにすることも、全頭の検査をすることも興味がなく、病因の解明をするる気が全くないのです。

コメント (1)
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