「この治療は成功しますか?」
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これもよく受ける質問です。
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現在歯科の世界では、「治療の成功率を自らの経験で決めてはいけない。(由緒
正しい)機関の研究によって導かれた科学的根拠に基づいた治療の成功率を患
者に提示しなければならない。」という潮流になっています。
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これは、「自分の経験をもとに患者さんに治療を勧めると、自分の得意分野の治
療ばかりするようになる。これでは患者さんが適正な治療を受ける機会を失うこと
になりかねない。科学的にみて適正な治療を患者さんに勧めるべきである。」とい
うことです。
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現在、すべての治療ではありませんが由緒正しい機関の治療の成功率が論文の
中で提示されています。由緒正しい機関とはほとんどが大学です。大学の中です
べての歯科医が、同じ材料を使い、同じ治療方法を行うことによって、治療の成功
率を算出しています。
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これはとても参考になるのですが、私は自分の治療に取り入れていません。
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それは患者も歯科医も、予測のできない「生身の人間」だからです。診療していて
いつも感じますが、同じ人はいません。科学的根拠は「個人差」によってふっとんで
しまいます。
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そのため私は、科学的根拠を参考にして自分の経験から治療の成功率を算出し、
患者さんの好みに合った治療をお勧めするようにしています。