半透明記録

もやもや日記

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『おやすみなさい、子供たち』

2009年06月30日 | 映像(アニメーション)

Russian animation: Norshteyn's "Good Night, Children" sequence
(YOUTUBE)





どうやらノルシュテインによるらしいアニメーションを見つけました。作品集のDVDには未収録のものですね。これは何かの番組のオープニングとエンディングなのでしょうか。洋画劇場みたいな感じで、本編が始まる前と終わった後に挿入されるああいうの。まあ、なんにせよ、これはとてもよく出来た美しいアニメーションです。さすがと言わざるを得ませんね。


女の子、ふたりの猫のお嬢さんたち、紳士なわんこ、クマが、お茶を飲み、ウサギがつけたテレビ画面(?)に向かいます。見終わったみんなは家路につき、次々とベッドに入ってゆくのでした。


何度観ても、癒されます、これは。特に紳士なわんこがベッドに入る場面は激萌えです。かわいい~。


こんな美しいアニメーションがあるだなんて、ちょっと信じられないですね。アニメーションが、こんなにも美しいだなんて。
「霧につつまれたハリネズミ」も凄かったですが、こちらもとても素晴らしい作品でした。ノルシュテインのアニメーションに登場する動物たちには、なにか独特の愛嬌があるようです。こういう優しい柔らかいアニメーションを作るためにはしかし、多大な努力と膨大な時間を費やし、常に厳しい鍛錬を重ねているのだろうなぁと思うにつけても、ノルシュテインってすごい。すごいなぁ、ほんと。根気がある、どころの騒ぎじゃないですよね。
根気と言えば、長らく製作中だという「外套」はいつ出来るのでしょう。私はこのあいだ初めて原作を読んで(今さら;)盛大にひっくり返ったので、はやくアニメーションでも観てみたいです。




『アンタッチャブル』

2009年06月29日 | 映像

監督 :ブライアン・デ・パルマ
脚本 :デイヴィッド・マメット
出演者 :ケヴィン・コスナー/ショーン・コネリー/ロバート・デ・ニーロ
    アンディ・ガルシア/チャールズ・マーティン・スミス
音楽 :エンニオ・モリコーネ
1987年 119分 アメリカ

《あらすじ》
禁酒法時代のシカゴ。ギャングのボス アル・カポネを捕らえるため、アメリカ財務省捜査官ネス率いる「アンタッチャブル」は、命がけの戦いに乗り出す。





昨日は、スタートレックのヴォイジャーとDS9をそれぞれ1話ずつ観て、それでだいぶ疲れていたので、そのあとすぐにK氏が『アンタッチャブル』を観始めても、「ふーん。まあ好きにしてくれ。私は疲れたぜ」なんて言っていたのに、いつの間にか一緒にマジ観。なんてこったー! ついつい熱中してしまった! とんだ傑作じゃないか!

実は、これまでに幾度も観る機会がありながら、一度も観たことのなかった名作『アンタッチャブル』。実際に観てみると、その恐るべき完成度の前に、私はなすすべもなく引き込まれてしまいました。うーむ。男の世界だぜ。カッコいいぜ。

これは事実に基づいたフィクションで、実際のカポネをめぐる事件の全容は、映画で描かれたものとは違っているようですが、まあ、それはこの際どうでもいい。物語として観る場合、これはとても良く出来た映画と言えますね。何と言っても、対立構造がシンプルで分かりやすいし、スリルあり熱血あり友情ありのエンターテイメント満載でいちいち盛り上がります。画面が美しいのも良いですね。

画面が美しいと言えば、私が特に印象的だったのは、カポネの登場場面。横たわるカポネ、周囲には部下たち、理容師が白いタオルでカポネの顔を覆い、これから髭を剃ろうとしている。それを真上から撮っています。なんか、すげえな! もう目が釘付けです。

それからカポネがバットを持って、円卓に座る部下の後ろを演説しながら歩き回る場面。あの円い食堂もすごく素敵でした。あと、カポネがオペラ鑑賞に行く場面で、着飾った人々が階段を上がってくるところとかも。
なんかカポネが出ている場面ばかりがやたらと印象的でしたが、それは私がああいう豪華な背景を好むからかもしれないですね。カポネを演じるデ・ニーロの、あの愛想がいいようでいて同時に恐ろしく残虐、大物のようでいてチンピラにすぎないようにも見えるキャラクターが強烈だったせいもありますが。

もちろん、ストーリーも最高でした。それぞれの人物がとても効果的に役割を果たしていて、特にショーン・コネリー演じる老警官マローンなどは、最初から最後まで格好良過ぎなくらい格好良かったです。それと、経理マンのウォーレスが良かった。いかにも朗らかで真面目で地道な性格、なにげに大活躍です。人物の描き方が素晴らしいですね。
アンディ・ガルシアのハンサムっぷりにも驚きましたし、知ってたつもりでしたがケヴィン・コスナーが若くてほっそりしているこの頃は、本気で美男子だったんだなーと感心してしまいました。
終始、展開にスピード感があって、観ていてすっきりしますね。面白かった。

あと、うっかりしていたのですが、監督はデ・パルマだったんですね。違う人だと思い違いをしていました。ごめんなさい。『ミッション・トゥ・マーズ』で唖然とさせられて以来(好きだけど;)侮っていましたが、すごい監督だったんですねー。ほんとスミマセンでした。


これは事実に基づいたフィクションで、実際のカポネをめぐる事件の全容は、映画で描かれたものとは違っているようですが、まあ、それはこの際どうでもいい。と上にも書きましたが、事実を忠実に再現したドラマがあっても、きっとすごく面白いだろうと思います。この映画ではネスは家族思いの正義の男となっていますが、実際の彼はアル中で死んだらしい…なんという……; 事実もまた物語と同じように奇妙なものなのですね。

それにしても、やっぱり20世紀のはじめのほうって、すごい時代だったんだなぁ。




『書物の王国5ー植物』

2009年06月28日 | 読書日記ーその他の文学


(国書刊行会)



《収録作品》
*花の教…クリスティナ・ロセッティ
*植物の眠り…ファーブル
*望樹記…幸田露伴
*毒よりの脱出…一戸良行
*新曼陀羅華綺譚…須永朝彦
*疾める薔薇…ブレイク
*ナイチンゲールと薔薇…ワイルド
*神秘のばら…ピエール・ルイス
*花魄…袁枚
*藤の奇特…井原西鶴
*菊…内田百
*花のこころ…小松左京
*白いダリア…ラスカー・シューラー
*相思…王維
*かざしの姫君 …須永朝彦訳
*柳の精…須永朝彦訳
*清貧譚…太宰治
*牡丹と耐冬…蒲松齢
*晶子牡丹園…与謝野晶子
*零人…大坪砂男
*人間華…山田風太郎
*毒の園…ソログープ
*柏槙の話…グリム
*受難華…ベッケル
*乳母ざくら…小泉八雲
*百合…川端康成
*風景…山村暮鳥
*玉川の草…泉鏡花
*庭樹…鏑木清方
*サフラン…森鴎外
*銀杏とGinkgo…木下杢太郎
*植物の閨房哲学…荒俣宏
*巨樹の翁の話 …南方熊楠
*蓮喰いびと…多田智満子

《この一文》
“「すると、子供を残さぬ愛は、まったく無意味なものと君はいうのだね?」
  ――「人間華」(山田風太郎)より ”


植物にまつわる短篇をあつめたアンソロジー。古今東西のいろいろなお話をまとめて読めるので、なかなかお得感を感じられる一冊です。


ここに収められたいくつかの作品については、他の本でも読んだことのあるものでした。内田百の「菊」は、私の大好きな話で、これは何度読んでもやはり面白い。「菊の夢は、美しい花だと思つて眺めてゐると……」。うおー、美しい!

大坪砂男の「零人」も面白いですね。みごとに咲き乱れるベゴニアには、ある秘密があって……。昔の怪奇ものは雰囲気があっていいですねー。この人の作品はこれしか読んだことがありませんが、他にもあるのでしょうか。このさっぱり風味は私は結構好きなので、読んでみたいですね。

はじめて読んだもので面白かったのは、まずソログープの「毒の園」。これについては先日別に感想を書いたので省略。

太宰の「清貧譚」、蒲松齢の「牡丹と耐冬」も面白かったです。どちらも、花の化身のお話です。

グリム兄弟の「柏槙の話」は、かなりショッキングな内容でした。男の子の首が、リンゴの入った大きな箱の重い蓋が閉まったひょうしに飛んでしまいます…。ひょえー。その後の展開も恐ろしく残虐。これは凄まじい。

山田風太郎の「人間華」もまた、独特の魅力のあるお話でした。悲しいけれども、非常に胸を打つ短篇。死を間近に控えた妻との愛の証を生み出すために、医者である夫はある研究に乗り出すのだった……。壮絶な物語です。山田風太郎はあまりよく知りませんでしたが、結構面白いみたいですね。


この【書物の王国】というシリーズは、ほかにも面白そうなものがたくさんあるので、機会のあるごとに読み進めたいです。とりあえず、次は《同性愛》の巻を借りてきました。もうだいたい読み終わってしまいましたが、こちらも大変に面白かったです。あとは《夢》とか《美少年》、《両性具有》、《奇跡》なども読みたいところです。




三色あれこれ

2009年06月27日 | もやもや日記



3から始まる言葉が何かなかっただろうかと、うんうん考えていたら、「三色菫」のことが思い浮かびました。

三色すみれ。今までうっかりしていたのですが、これはいったいどういう花なのでしょうか。名前からするとスミレの仲間で、三色というのですから、おそらくパンジーとかヴィオラとかそういう類だろうなと推察します。ちょこっと調べてみたところ、果たしてそのようでありました。ふーん。なるほど、すっきりした。ちなみにスミレは私の好きな花のひとつです。

シュトルムの短篇にも「三色菫」というのがありますね。まだ読んでいないのですが、「溺死」という短篇も同じ本に収められているので、そっちの方にも興味津々です。随分前に買ったまま放置してあるので、いい加減に読みたいところです。そう言えばこのところはシュトルムなどは読んでいないからなぁ。静かで美しい世界が懐かしい。


三色すみれを思いついたあと、三色アイスのことも思い浮かび、実は一瞬どちらにしようか悩みました。今日はどうせたいしたことのない記事ですので、結局ふたつとも書いておくことにしましょうか。

先日、何十年ぶりかで三色アイスを食べたのですが、真ん中の黄色いバナナ味のところが、猛烈に懐かしい味わいでした。うわー、ノスタルジー!


さて、私はどうして3にこだわっていたのかと申しますと、昨日おとついの記事が図らずも「一時代の終わり」「二夜のなき声」と、1、2と続いたからなんですね。なら、今日は3でしょう。うーむ、実にくだらない! しかしこういうくだらないことも、たまにはやりたい!
くだらなついでに告白すると、昨日の「二夜のなき声」というのは、猫のニャーというのと掛けてありましたのです。こうして人は駄洒落脳になってゆくのであった……。

明日は4かというと、どうにも4のネタが思いつかないので、読みっぱなしで感想を書いていない本が3冊分にもなったので、明日はそれらについてちょっと書こうと思っています。






二夜のなき声

2009年06月26日 | もやもや日記



夜、窓の下のどこかから、ニャーニャーと誰かを呼ぶような何かを探すような猫の鳴き声が聞こえてきた。窓から身を乗り出してその姿を探してみるが、どこにも見当たらない。夜の九時ころから鳴き始め、夜通し、翌朝の五時に私が起きたときにもまだ鳴いていた。

この日は朝から大雨が降っていた。ところが、例の鳴き声は雨のなか、いまだ響いている。ああ、何を探しているのだろう、誰かを呼んでいるのか、もしやビルの間の壁にでも挟まってしまって抜けられないでいるのじゃないか。声からするときっとまだ小さい猫なのだろうに、なんと哀れっぽい鳴き声だろう。
と、姿の見えない声の主のことを思って、私は少しばかり胸をいためたが、またすぐに眠くなってもう一眠りしてしまった。そしてもう一度目が覚めると雨は上がっており、声は止んでいた。猫はひどい雨に濡れたのではないかしら、大丈夫だっただろうかと心配になった。

昼に、猫はふたたび鳴き始めた。生きていた。それにしても、よく鳴く。一晩中鳴いていたのに、また鳴いている。ひょっとするとこれは幻聴なのじゃないだろうか。猫がこんなに鳴くものだろうか。あるいは猫ではないんじゃないか。猫の鳴き声のように聞こえるが、猫の姿はちっとも見えないじゃないか。
規則正しく繰り返される悲しげな鳴き声が、私の頭にわんわんと響く。しかし、気がついたらいつの間にかまた静かになっていた。

夕飯の支度をする直前に、ふたたび鳴き声が始まった。私はもう二日も鳴き続けている猫の正体が知りたくて、夕飯を食べたら外へ探しに出かけようと考えた。ところが、そのあいだに、猫は鳴くのを止めてしまっていた。
しばらく待ってみたが、鳴き声は戻らず。しかしどうにも気になって仕方がないので、私はちょっとそこまで様子を見に行くことにした。

外へ出てみると、街の音は私の住んでいる上階に響くのとは違って聞こえる。猫の鳴き声など全然聞こえないほどにざわざわと騒がしかった。少しのあいだ近所を、小さな猫がいるものと思って探してみるが、見つからなかった。

帰ってしばらく、眠くなりながら窓辺でぼんやりしていると、聞こえた。また始まった。ばっと窓の外を見下ろすと、向かいのビルの地下駐車場の下り坂の縁を、黒い小さな影がさっと横切っていった。そして植え込みのあたりをうろうろしながら、同じ声で鳴き出した。ああ、あの猫か。やっぱり猫だったか。それにしても、どうして鳴いているのか。

小さい猫に、私が何かしてやれないだろうかと考えてみたが、私には何もしてやれないと思い、ただじっと鳴くのを聞いていた。ときどき途切れながら、夜が更けるまで鳴いていた。


二夜のあいだ鳴き続けた猫は、それっきり、もうまったく消えてしまった。私は今日もなんとなく鳴き声が聞こえてくるのを待っているのだけれど、あれきり、聞こえることはなかった。




一時代の終わり

2009年06月25日 | もやもや日記


行きつけの漫画喫茶が、いつの間にか閉店してました……。

大ショック!!


大阪へ来て以来ずっと頻繁に通っていた漫画喫茶で、小規模だけど家からも近くて料金もバカ安な割にいつも空いてて快適だったのになぁ(←あ、これが原因か…;)(/o\.)...おわた。

今日、問題の漫画喫茶へ行ってみると、エレベータのドアが開くなりシャッターが下りていて大ショック! 言葉もなく…。あんまり衝撃だったのでドーナツとアイスを買ってとんぼ返りで、大昔に録画した名探偵コナン君とクレヨンしんちゃんの映画を2本立てで観ちゃいましたよ。こどもマンガ祭りですよ。うぅっ。これはこれで楽しかったけど、そうかぁ、あの漫画喫茶、とうとうなくなってしまったのかー……。しんみり。


というわけで、私はもう漫画喫茶には行かないだろうという予感がします。だって、別のもう一軒の漫画喫茶は高いんだもん。全然気軽に行ける気がしない。こうなったら小旅行気分で京都のマンガミュージアムにでも行きますよ。そっちのが楽しいしな。


漫画喫茶とか、そろそろもーいいか。とは言うものの、なにか空虚なものを感じる夕暮れ…世の中って実に……。






『ミチコとハッチン』

2009年06月24日 | 映像(アニメーション)


《あらすじ》
昔の恋人ヒロシを探すため、脱獄したミチコ・マランドロは、ヒロシの娘であるという少女ハナを連れ出し、警察の追跡をかわしながら旅を続ける。



『サムライチャンプルー』に続き、マングロープ制作のアニメ『ミチコとハッチン』を観てみました。

まず、良かった点から。
『ミチコとハッチン』はタフで格好良い女性たちの物語でした。大筋としては、なかなかよく出来た筋立てだったのではないかと思います。また、画面がとてもお洒落で、オープニングなどはすごく格好いい! 作画も全体的にとても綺麗で見応えがありました。ただ最後の数話分でいくらか歪んだように見えたのは残念でしたが。

ミチコは、粗雑で横暴、直情型の単純バカですが、一途でさっぱりした性格、そしてかなりの美女。このミチコというキャラクターの造形の美しさを楽しむだけでも、観た甲斐があったというものです。アーモンド型の瞳がとても美しい。毎回変わるミチコのファッションも、なかなかこだわりが感じられて楽しめました。

ヒロシの娘、ハナ(=ハッチン)は、9歳の女の子ですが、孤児として教会で育ちました。常に虐げられながらも、めげずにがんばり続け、ミチコと行動をともにするうちに、どんどんタフさを身につけてゆくところが良かったです。

ストーリーは、いささか安直で、型通りの話が多かったように思いますが、主人公をはじめ主要人物がみなそれぞれの強さを持つ女性であり、その周囲の男たちは暴力や謀略でうまくやろうとするものの、いずれもどこかダメなやつばかりという描き方は、ちょっと斬新でした。ミチコが惚れ抜いて、ずっと追いかけていたヒロシという男が、本当はどういう男なのか、というその引っ張り方もオチの付け方もうまかったと思います。
ヒロシを追って旅を続けるミチコとハッチンが、最後に手に入れたものは何だったのか――というラストは感動的です。こういう終わり方はいいですね。

結構面白かったですが、すごく面白かったかと言うと、うーむあと少し…という感じです。すごく惜しい。あとちょっとですごく面白くなりそうだったのになぁ。あ、でも最終回と、最初の方の元お嬢様の踊り子のエピソードはすごく良かったです。どちらかと言うと最初の方のエピソードは面白かったけど、次第に失速して行く感が否めませんでしたかね……実に惜しい。

惜しかったと言えば、声のキャスティング。ミチコの役を真木ようこさんがやってらっしゃるのですが、特に最初の方の回は残念ながら何をしゃべっているのか聞き取れないところが多数…。いい声だと思うだけに(おまけに真木さんが私好みのすごい美女なだけに)、これは残念でした。最初はとても違和感がありましたが、でもなんだかんだで慣れますね。最終話ではさほど気にならなくはなりましたけど。しかし、もしもプロの声優さんがやっていたら一体どうなっていただろうなぁ、とついつい思ってしまいます。役者さんと声優さんというのは結構違うものなのですね。『東京ゴッドファーザーズ』の声の人たちは、みんな役者さんだったけど、すごくうまかったですがね。向き不向き?


まあ、でもミチコが凄まじい美女だったから、それだけでも良かったです。私は美女が観られれば、それだけで十分満足です。なかなか思ったようにうまくいかないことばかりの人生を、それでも逞しく生き抜こうとする女性たちの、それぞれに美しい姿を堪能できる魅力ある作品だったと思います。




「毒の園」

2009年06月23日 | 読書日記ーロシア/ソヴィエト

フョードル・ソログープ 昇曙夢訳
(『書物の王国5 植物』国書刊行会 所収)



《あらすじ》
青年は窓の下の花盛りの園を眺め、そこに美しい女がやってくるのを待っている。青年の心臓を痛ましく麻痺させる蠱惑の園で、その毒気によって育てられた美しい女と彼は、恋の歓楽と悲哀とに酔うのであった。


《この一文》
“「おお恋しき君よ、もし貴女の接吻のうちに死があるなら、その無量の死を私に飲ませて下さい! 私に寄添って私に接吻して下さい! 私を愛して下さい! 毒に沁み込んだ貴女の呼吸(いき)の甘い香りで私を蔽うて下さい! 死の為の死を私の身体と私の心に注ぎ込んでこの体を破壊(ぶちこわ)して下さい!」”



ピエール・ルイスの「神秘の薔薇」という短篇を読む為に借りてきた本のなかに、ソログープの名前を見つけました。おお、これはちょうどいい。

「毒の園」は、毒のある珍しい植物が多く植えられた美しい園、その主である高名な、しかし変わり者の植物学者、彼の美しすぎる娘、彼女に恋する青年が登場する物語です。

読んでみてすぐに、ホーソーンの「ラッパチーニの娘」を思い出しました。この「毒の園」と「ラッパチーニの娘」は、よく似ています。よく似ているというよりも、特にモチーフや細部の描写について言えば、ほとんど同じです。元となる伝説やなにかがあるのでしょうか。両者はとてもよく似た物語ではありますが、ただ、結末が全く違う上に、物語から受ける印象も随分異なっています。

「ラッパチーニの娘」が、イタリアの光に溢れた明るい世界で、毒によって育てられた娘の、その体質に反して清純で優しい心を描いているのに対し、自らの毒によって相手を死に至らしめることを自覚する冷酷な、夜のような暗さと静けさ、月の光のような美しさを持つ娘を描いた「毒の園」とでは、性質は真逆とも言えますね。面白い。これはお好みで読み分けられるのではないでしょうか。

私はちなみにソログープの方がいっそう好きです。なぜなら、「ラッパチーニの娘」における青年ジョバンニが、あまりにひどい男だからです。自分から娘に恋しておきながら、トラブルに見舞われるなり、彼女を「毒婦」呼ばわり(←出た! 毒婦! 事実だけどひどい!)です。八つ当たりです、さいてーです。恋する男に罵られ、傷ついた心のまま娘だけが死にます。これが「ラッパチーニの娘」。悲しすぎる! まあでも、これはこれでとても面白いお話です。

一方、「毒の園」における青年は、彼女の身体には死をもたらす猛毒があると知りながら、むしろその毒に当たって死にたい! と宣言し、女との恋を果たします。ふたりは毒のためにこの世の人ではなくなりますが、しかし、これはなんとも美しいではないですか。美しい。ソログープの繊細な描写も冴え渡っている感じです。素晴らしいですね。夢のようですね。うっとりするような情熱、美と愛と死への燃え上がる情熱。たった一度の接吻のためにこの世を捨て去る恋人たちの姿は、あまりにも魅力的です。美しいなぁ。


それにしても、美しすぎるものというのは、この世には馴染まないものなのかもしれないな、と改めてしみじみとしてしまいました。


 *「ラッパチーニの娘」は、青空文庫にて読むことができます。
 http://www.aozora.gr.jp/cards/000905/card4105.html






えー…っと

2009年06月21日 | もやもや日記


今日は湿度が高くて、ぼんやりして頭がまわらないです。借りてきた本のなかに、たまたまソログープの作品を発見したので読んでみたところ、昔読んだことのあるホーソーンの短篇と、双子のようによく似た内容のお話でした。それについてちょっと書きたかったけど、ぼやーっとしているので、明日…にでも書けるといいな。
本当は、追加で予約していた本が図書館で借りられるので、取りに行きたかったのですが、こうやって次々と喉が渇いているみたいにがぶがぶと読んでゆくのは、あまりよくないかもしれません。もっとじっくり考えたいことがあるのに、途中で放り投げてしまっているところがあります。こないだのピエール・ルイスの「書庫の幻」も、私が最初に思ったのとはちょっと違った見方が出来るんじゃないのだろうか……いやしかし暑い(大汗)。


夏になると、私は能力が急激に低下してしまうので、せめて今のうちに色々とやっておきたいものです。

とりあえずは、夏物の仕立て直しを終えなくては。これについては「涼しくなったら…」などと悠長なことを言っていられません。
仕立て直し、と言うほど大袈裟なものでもありませんが、丈を詰めたり、長袖をむしり取ってノースリーブにしたり、の途中です。イメージを変えると着やすくなることってありますよね。私はどうも長袖が苦手で、長袖のワンピースとか似合わないのですね。じゃなんで長袖のワンピースなんか買ったの?と問われると困りますが、まあ、そういうことはありますよね。直して着たらよいのです。可愛過ぎて着られなかった青地に花柄のシフォンのワンピースは、無事に2段フリルのブラウスに生まれ変わりましたし。あー、ミシンは楽し!

というわけで、夏物には私のお気に入りのものがたくさんあるので、それを着られる楽しみがあるという点では、夏はそんなに嫌ではないんですけども。でも、乾いた夏があるところに行きたいなぁ……。湿っぽいのはたまらんです。






あつい!

2009年06月20日 | もやもや日記
真夏日のトランプ大会。
商品はソフトクリーム。




大阪は今日もよい天気です……。
昨日などは最高気温が32度くらいあったようですよ……(汗)。
今日は30度くらい?

はー、暑いのはやっぱり苦手です(/o\;)
でも今はまだ朝晩がそれほど暑くないからマシですね。
本格的に暑くなったら疲れるなー。
すっ飛ばして秋にならないかなー。
毎年この時期にはこんなことばっかり言ってるなー。


ただでさえ大汗っかきの私は、とりあえず夏を乗り切るために麦茶を買ってきました。これから毎日沸かして飲もうと思います。味で考えるとアイスコーヒーの方が好きなのですが、コーヒーは水分補給の面ではあまり効果がないみたいなので、いつもどおり1日2杯程度で我慢したいと思います(/o\)

それにしてもアイスクリームがおいしい季節です。こないだは箱アイスの小さいバニラバーを食べていたら、当たりのポイントが付いていてびっくり。でもたぶん、全部の箱に1本は当たりが入ってるに違いありません。私はくじには絶対に当たらないですからねー。