(国書刊行会)
《収録作品》
*花の教…クリスティナ・ロセッティ
*植物の眠り…ファーブル
*望樹記…幸田露伴
*毒よりの脱出…一戸良行
*新曼陀羅華綺譚…須永朝彦
*疾める薔薇…ブレイク
*ナイチンゲールと薔薇…ワイルド
*神秘のばら…ピエール・ルイス
*花魄…袁枚
*藤の奇特…井原西鶴
*菊…内田百
*花のこころ…小松左京
*白いダリア…ラスカー・シューラー
*相思…王維
*かざしの姫君 …須永朝彦訳
*柳の精…須永朝彦訳
*清貧譚…太宰治
*牡丹と耐冬…蒲松齢
*晶子牡丹園…与謝野晶子
*零人…大坪砂男
*人間華…山田風太郎
*毒の園…ソログープ
*柏槙の話…グリム
*受難華…ベッケル
*乳母ざくら…小泉八雲
*百合…川端康成
*風景…山村暮鳥
*玉川の草…泉鏡花
*庭樹…鏑木清方
*サフラン…森鴎外
*銀杏とGinkgo…木下杢太郎
*植物の閨房哲学…荒俣宏
*巨樹の翁の話 …南方熊楠
*蓮喰いびと…多田智満子
《この一文》
“「すると、子供を残さぬ愛は、まったく無意味なものと君はいうのだね?」
――「人間華」(山田風太郎)より ”
植物にまつわる短篇をあつめたアンソロジー。古今東西のいろいろなお話をまとめて読めるので、なかなかお得感を感じられる一冊です。
ここに収められたいくつかの作品については、他の本でも読んだことのあるものでした。内田百の「菊」は、私の大好きな話で、これは何度読んでもやはり面白い。「菊の夢は、美しい花だと思つて眺めてゐると……」。うおー、美しい!
大坪砂男の「零人」も面白いですね。みごとに咲き乱れるベゴニアには、ある秘密があって……。昔の怪奇ものは雰囲気があっていいですねー。この人の作品はこれしか読んだことがありませんが、他にもあるのでしょうか。このさっぱり風味は私は結構好きなので、読んでみたいですね。
はじめて読んだもので面白かったのは、まずソログープの「毒の園」。これについては先日別に感想を書いたので省略。
太宰の「清貧譚」、蒲松齢の「牡丹と耐冬」も面白かったです。どちらも、花の化身のお話です。
グリム兄弟の「柏槙の話」は、かなりショッキングな内容でした。男の子の首が、リンゴの入った大きな箱の重い蓋が閉まったひょうしに飛んでしまいます…。ひょえー。その後の展開も恐ろしく残虐。これは凄まじい。
山田風太郎の「人間華」もまた、独特の魅力のあるお話でした。悲しいけれども、非常に胸を打つ短篇。死を間近に控えた妻との愛の証を生み出すために、医者である夫はある研究に乗り出すのだった……。壮絶な物語です。山田風太郎はあまりよく知りませんでしたが、結構面白いみたいですね。
この【書物の王国】というシリーズは、ほかにも面白そうなものがたくさんあるので、機会のあるごとに読み進めたいです。とりあえず、次は《同性愛》の巻を借りてきました。もうだいたい読み終わってしまいましたが、こちらも大変に面白かったです。あとは《夢》とか《美少年》、《両性具有》、《奇跡》なども読みたいところです。
私も、そういうの好きです(^^) 「同…」のほうは意外と地味に面白かったです。次はぜひとも「両…」を読みたいです。
OLモード、素敵ですね~☆
私もだらけてないで、しゃんとしないと!