半透明記録

もやもや日記

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鳥の物語と猫と紳士と夜の海とサメの夢

2014年12月26日 | 夢の記録



今朝、久しぶりにとても印象的な夢を見ました。が、魔王(サタン)が後ろで泣き叫び道ばたに転げ回り暴れてその美しい顔に傷をこしらえたりするうちに、すっかり忘却の彼方へ追いやられてしまいそうなので、すでにだいぶ忘れてしまいましたが覚えているイメージだけでもメモしておきましょう。ああ、もったいない。すごくすごく美しい夢だったのになあ。



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狭いけれども暖かい色の光に溢れた路地には小さな店が連なり、そのうちのひとつには白と黒の二匹の変身する子猫と、超人的な能力を持つという老紳士がいて、店にはさまざまな客が出入りするが、客は猫たちと老紳士から不思議な鳥の物語を聞かされると、帰りには客自身がその鳥となって飛んで出て行くのであった。この美しい鳥の物語は今のところ全部で十二編ほどあって、その美麗な映像がDVD-BOXになっているので(夢の中の)私は「いずれ必ず買わなければならないな」と思っている。

ある雨の夜、白と黒の二匹の変身する子猫と老紳士は黒くてつやつやした自動車で海岸沿いを走っている。子猫たちは少年に変身して「波打ち際の泡をあつめて糸に通して真珠のような首飾りを作りたい」と話し合い老紳士に同意を求めるが、紳士の方はその傍らに座るボブカットの美女に語りかけるのに夢中である。濡れた道を走ってゆくと、緑色の海は高く波打ち、波間にはホオジロザメが上を向いてパックリと大きな口を開けているのが見えた。

波の泡の首飾りのために二人の少年は海へ飛び込んで、波に揉まれながら楽しそうに泳いでいると、白いシャツの男がサメに(…どうしてもここがもう思い出せない)。白と黒の猫の少年たちが泡をあつめることもせずいつまでも緑色の海の中でふざけていると、超人的な能力を持つという老紳士が彼らの襟首をつかんでずぶぬれの猫を二匹引っ張り出し、そのままビュンという音とともに消え去った。

サメは緑色の高い波間で口を開けたまま絵のように硬直している。浜辺には白いシャツの男だけが取り残される。この男は老紳士の店の客となり美しい鳥の物語がもうひとつ増えるはずであったのに、取り残されてしまって残念だというようなことを私は思っている。


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ほんとうはこの3倍くらいのボリュームがありました。鳥の物語の部分がもっとあったはずなのに、ああ、忘れてしまいました。ああ、ああ。
だけど、美しい夢だったなあ。絵のように美しい夢でした。緑色の海の光景が忘れられません。








海まであと少しだったのに

2014年10月16日 | 夢の記録




とにかく眠い。ひたすら眠い。なんだろうこの眠たさは。
それはさておき、久しぶりにこのパターンの夢を見ました。電車、乗り換え、辿り着けない。



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息子と一緒に私は故郷の地方鉄道に乗っている。実家の最寄り駅で降りて、海水浴場へ行くつもりだ。季節は秋なので泳ぐのではなく、ただ海を眺めに行くだけだ。

しばらく電車に揺られて、無事に懐かしい田舎の小さな駅に到着する。あとは海までまっすぐ歩くだけである。ところが、どういうわけか私はここで電車を乗り換えようとして地下道に入り、大きな大きな構内を、階段を上ったり下ったりしながらさまよい始める。息子は私に手を引かれて黙ってついてくる。

改札を出てただまっすぐ地上を歩くだけだったのに、また迷ってしまったなと思う。海はすぐそこのはずだったのに、どうして乗り換えようと思ったのかが分からない。

近いはずの海のことを思っていたら、息子(現実)に頭を蹴られて目が覚めた朝5時。



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あんな田舎の駅なのに、新宿みたいにバカでかい地下でした。もちろん現実のあの田舎駅には乗り換えが存在しないんですけど。

今朝も早くから息子が唸っていて鬱陶しいことこの上ないです。腹が減るのか何なのか、このところ毎日とても不快な唸り声をあげて転げ回るので私の寝起きは最悪です。眠い。眠いよー。








2階のペンギン / 指揮者に指名される

2014年08月24日 | 夢の記録



夢を見る暇もない日々ですが、実際にはたくさんの夢を見ています。ただ目を覚ました時にそれをつなぎとめておく余裕がないだけで。ここ数年は、大学を受験し直すために高校から入学し直すというような夢をしばしば見ます。高校からやり直したところで結果は変わらないということを、夢の中でも現実でもつくづく理解しているらしい私。でも、何度も繰り返して同じような夢を見てしまうのでした。

ところで、最近はこんな夢を見ました。


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「2階のペンギン」

 私の家族はアパートの1階に住んでいるのだが、ある日2階の住人に用事があって部屋を訪ねるとそこには小さなペンギンがひとりでぽつんといた。まだほんの子供であるらしいこのペンギンはいつもひとりきりでお留守番をしているのだが、部屋を片付けたり、窓辺の棚に素敵に物を飾ったりしてお利口に過ごしている。

 ペンギンのお母さんは人間であまりその素性は知れない若い女性だったが、真面目に毎日朝早くから近所のパン屋でパンを作る仕事にでかけているため、ペンギンが昼間はずっと部屋にひとりでいるということは私をはじめ近所の人間ならみんなが知っていることだった。

 その2階の部屋にどういう用事があったのか忘れたが(結構深刻な内容だったような気もする)、とにかく私を部屋に迎え入れてくれたペンギンは小さくてとても可愛らしかった。そしてペンギンが飾り付けたらしいインテリアの素晴らしさに、私は思わずため息を漏らしてしまう。時刻はちょうどお昼というところで、私はペンギンにお昼ご飯を食べさせようと思い立つ。そして、すでにペンギンのお母さんが用意してくれてあったおかずをテーブルに並べて、ペンギンに食べさせた。ペンギンは自分でフォークやスプーンを使って器用に、そして優雅に食事をするのであった。

 それを見てふと私は思い出す。「そう言えば、1階に置いて来たうちの子のお昼はどうなったっけ? あの子はこんな綺麗には食べられないな」と、どうしてだかそれが笑えて笑えて仕方がなかった。



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「指揮者に指名される」


 地元で少しばかり大掛かりな音楽祭が開催されることとなり、4つのグループで競い合うのだが、私のグループでは私が指揮者に指名されてしまった。

 音楽祭当日は楽団のメンバーはみな正装していて、もちろん指揮者も相応の格好をしてくるように言われているのに、私にはちゃんとしたスーツすらないのだった。そこで妙に裾の広がった黒いロングパンツにチョッキ、髪だけは真ん中で分けて綺麗に細かくウェーブさせたのを左右の肩に垂らして、揚々と会場に行ってみるのだが、この格好ではダメだと言われてしまう。

 もうすぐ私たちの出番だというのに、私はまだ裸同然であった。焦って慌てて、私は観客席にいる幾人かの友人達にスーツを貸してもらえないかと訊いて回るのだが、「持ってるよ、これをどうぞ!」と気前良く貸してくれる服は、どういう訳かどれもランニングシャツであったり派手な柄のパンツだったりする。

 もう本番まで本当に時間がない。私はやむを得ず、目に入った同じグループに属するタキシード姿の人物からその衣装を引っぺがし、それに着替えた。彼には済まないことをしたが、これでどうにか私の方は間に合いそうだ。

 緊張して来た。さあ、本番だ。だがここで私は再び窮地に陥るのであった。…そう言えば、我々が演奏するのはたしか有名な交響曲だったはずだが、「何の曲だったろうか? あれか、それともこれだったかな? これだとしても、まずい…これが3拍子か4拍子の曲なのかすら、私には分からないぞ……」




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3拍子とか4拍子とかいうレベルじゃない。音楽的才能どころかちょっとしたリズム感さえ皆無の私に指揮なんて到底無理な話です。夢にしても無茶すぎる、恐ろしい夢だ。どうしてこんなことになったんだろ?

ともあれ、どちらの夢も目覚めた時は笑いが止まらなくて、半分寝たままでとりあえずK氏に報告しておきました。人に話すと、後々までわりとその夢の内容を覚えていられます。でも、あとから振り返っても、一体何がそんなに笑えたのかは、いつもサッパリ見当がつかないのが、夢の不思議。










ジェレミーに説明する

2013年03月25日 | 夢の記録


このところは眠りが浅く毎晩夢を見ているものの、息子の泣き声によって途中で強制終了させられるために、その内容を覚えておくことができません。ゆうべは母が夜中のミルク係をかわってくれたので、私は別室で朝まで目覚めることなくぐっすり眠りました。その間、息子はぎゃーぎゃー泣いたそうですが、少しも気がつきませんでした。すまない。だが息子よ、今のうちから泣いておくがいい。この世界は美しくもあるが悲しくもあるので、涙を流すことにもきっと慣れるに違いないよ。


というわけで、今朝の夢。乗り物に乗る夢はよく見ますが、いつもは自動車か列車の夢が多いのに、今回は船でした。もしかしたら今後は船の夢をよく見るようになるかもしれない、という予感もする。つまりは、免許証もないのに自動車を運転するとか、電車と電車の乗換えがうまくいかないとかいうのではなく、もう乗ってしまったので降りることのできない船、自分で針路も決められず、まわりはただただ深い水という状況。もしかしたら、これからは船の夢を見続けるのかもしれないな。

春の夢を覚えていたら、それはなにかしら意味を持っているものです。




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私はとある大きな船に乗っていた。どこか別の土地を目指してさきほど出航したばかりのその船は、なかなか乗ることのできない特別な船であることは分かっていた。どのように特別であるかというと、乗船の条件は、その人になにかしら能力や夢、人生の目的がなければならないのであった。そのいずれも持たない私がどうして乗船できたのかは分からない。ただ、乗る前には自分にはなにかしら優れた能力があると信じていたらしい。ところが乗ってまもなくそれは間違いであったことが判明した。

私にはどうやらひとりの連れがいて、彼女は非常に能力が高い人物であった。4ヶ国語を楽に操る彼女は意志も強く、こともなげに、私の方を振り返りもせずに一等客室の方へ入っていった。そのあとに続く見知らぬ女性も、彼女ほどではないがどうやら語学に強いらしかった。入り口で彼女たちを見送りながら私は立ち尽くし、ここへきてはじめて自分にはなんの能力もないのだと悟ってしまう。私はとても一等の乗客にはなれそうにない。

そこで別のエリアへ向かうことにした。広々としていた一等客室とは違い、そこはこみごみとして、長くまっすぐな狭い通路に沿って小さな客室が続いている。さまざまな国籍を持つらしい人々が押し合って通路を歩き回っていた。彼らは自分達には特別な能力がないということを自覚してはいたが、それでもそれぞれが人生に対する強い意志、成功への大きな願望を抱いているということは彼らの体から滲み出て見えた。新天地への期待を漲らせながら明るい顔つきで通路を次々に行き過ぎる彼らの障害物となっただけの私は、ここでも入るべき部屋を見つけられない。

次に食堂へ向かう。食堂としては風変わりなほど細長い室内には誰もいない。給仕もいなければ料理人もいない。他の乗客さえまだ誰もいなかった。ともあれ、ここでは壁にかかった食品の写真を見て注文する仕組みのようだ。写真の下には値札がかかっているが、それを見て私はまたしても無力感を味わう。代金をお金で支払うことができないのだ。食べ物を得るために私達は精神を対価にしなければならなかった。私にはそれがないので、なにも食べることができない。さいわいまだ腹は減っていないが・・・。

がっくりきて椅子に腰掛けると(ほとんどなにもない食堂だが、椅子とテーブルはいくらか置いてあった)、見たことのある顔の大柄な男性が私の傍らに立った。ジェレミー・クラークソンだった(イギリスBBCの人気番組『Top Gear』の司会者)。

「君にだって、夢くらいあるだろう?」

ジェレミーが私に問いかける。字幕が付いているので、ジェレミーの言うことが私に理解できた。ところが、私の思うところをジェレミーに伝えようとすると、その言葉には字幕が付かないために英語で話さなければならないのだ。私は英語ができない。

(もちろん私にだって、夢くらいはあります) そう言おうと思うのに、言葉が出てこない。I...I have a..dr...

言いよどんでいるうちに、言葉と裏腹の心に気が付いてしまう。夢、ほんとうに私に夢なんてあっただろうか。あるような気もするけれども、どうも頼りない。このおぼろげなものを差し出しても、食事にはありつけそうにないと思えるのだ。食堂が少しずつ暗くなるような気がしてくる。いや、元々そんなに明るくはなかった。食堂にしては妙な部屋だな。

ジェレミーはなにやらまだ私に語りかけてくれるのだが、もうなにを言っているのかもよく分からなくなってしまった。



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最後はどうなったのだっけ。うっかり寝過ごしたことに驚いて飛び起きてしまったので、よく覚えていませんが、だいたいの印象としてはこんな夢でした。あー、久しぶりに『Top Gear』が見たいかな。


まわりはただただ深い水があるばかり。






狐が三匹

2012年12月18日 | 夢の記録





こないだの夢の話。


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二間続きの座敷にお盆を持ってはいると、座卓の上にはすでにご馳走が並べられている。お盆をおろそうと腰をかがめたところで、座卓の下から狐が三匹次々と飛び出してきて、私の周りをぴょんぴょんと跳ね回った。どうもお盆の上のものが目当てらしい。

三匹の狐は、狐らしく三角の顔をしているが頬の辺りがずいぶんと丸々として、大きな耳と黒い目、白い毛に覆われた顔、先が細く切れ上がったような長い尻尾をしていて、最初は犬かと思った。ふかふかと詰まった毛並みは綺麗なオレンジ色だった。触るとやわらかいに違いない。それとも意外に硬いかもしれない。
しきりに飛び上がっている狐の顔を撫でたいと思うが、お盆で両手がふさがっている。それに、手を放したら狐にあっさりと料理を持っていかれるだろう。これはお客さんに出さなければならない大事な品なのであった。

私はぐるぐるまわる狐を避けて一歩後退し背後の襖からさっと部屋を出た。締め切った座敷から狐は追いかけてこなかったので少し安心する。

座敷の隣の部屋に座り込んでひといきついた。
お客さんはまだ来ない。

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続きもあったけど、忘れてしまいました。狐が可愛かったなあ。三匹の狐が私の周りをぴょんこぴょんことまとわりついてくるのは、恐ろしいような嬉しいような不思議な気持ちになりました。意味は分からないけれども、おそらくよい夢に分類される内容だったかな。



そういえば、全然関係ないですけど、昨日K氏とチャットしてて思い出しましたが、去年の昨日は私は手術から2日目でまだ入院中でベッドから起きられず、お見舞いに来てくれたK氏も眠そうでした。「寝不足?」と聞くと、「徹夜で『とらドラ』(全25話くらい)観てた・・・」とのたまいました。「君が心配で眠れなかった」などと嘯いていましたが・・・うっせー、このアニオタめっ!!(#^_^)

まあ、K氏に『とらドラ』をすすめたのは私なんですけどね; ヒロインの大河が可愛くて憤死しそうになるアニメです。大河役の声優は釘宮理恵さんですが、「釘宮病」がなんたるかを完全に理解させてくれる作品でしたね。登場人物の中では私はやっちゃんが一番好きだけど。(という話を病室でした思い出・・・)
とにかく、時の経つのははやいなあという話でした。それと、1年後ですら何があるか分からないなあという話でもありました。あのころは九州へ行くなんて想像もしなかったや(ましてや結婚するとかその他諸々のことも)。


相変わらず、私には人生が夢のように手ごたえがない。
だからこそ楽しめるのですけど。





《幸福荘》/ナポレオン帽の男

2012年08月19日 | 夢の記録





おかしな夢ばかり見てました。

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*「《幸福荘》」

数年ぶりに上京した。大手町周辺が夕焼けに染まって美しいのを横切りながら、とある小さな駅で下車する。高架上にある駅を出て、細い鉄骨で組まれた頼りない歩道橋をぐらぐらと渡っていくと、途中でK氏が待っていた。彼は先にこちらへ出て来て、我々の新しい引っ越し先を探していたのであった。それをこれから一緒に見に行く。

下町らしく混みごみした住宅地の狭い路地をくねくねと入っていき、目的の物件に辿り着く。四角い敷地内の3辺に建物がたっていて、真ん中には空間がある。都心ではあまり見かけない土の地面で、ところどころに松の木が生えていた。どことなくお寺のような雰囲気である。濡れた黒い土の上の松葉を踏みしめながら、我々は敷地の真ん中に立って、ぐるりと周囲を見渡した。

そのアパートは2階建で敷地の縁にそって「くの字型」に折れ曲がっており、外壁は抹茶色に塗られている。玄関先には《幸福荘》という木の表札がかかっていた。ガラス張りになった2階の渡り廊下の向こうにそれぞれの部屋のドアが横に並んでいるのが見える。住人が二人ほど、廊下をみしみしいわせながら部屋を出入りしていた。

「くの字型」の向かい側にはもうひとつ別の建物があって、どうやらそれは「便所」と「風呂」のようだった。「くの字」の方とは建物が繋がっていないので、私は「これでは雨の日には濡れてしまって困るな…」と思う。

K氏がせっかく探してくれたのに悪いと思いつつ、私はどうも気に入らない。しかしそっとK氏の顔をうかがうと、彼もまた微妙な顔つきをしていた。やっぱり気が乗らないらしい。

そこで、《幸福荘》は保留にして、翌日また別のところを探すことに決まった。とりあえずはホテルへ帰って一休みしようと、さきほどの駅に戻る。ホテルは「東陽町」なのだが、駅まで来ると、どの路線が「東陽町」に通じているのかがどうしても分からない。我々はいま「にかた」とかいう駅にいるはずなのだが、そもそもこれは何線の駅だったろうか…?

複雑な路線図を前にして、ただ日が暮れていく。





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*「ナポレオン帽の男」

夜中にふと目を覚ますと、ベランダになにやら気配を感じる。そう言えばうちは集合住宅なのだが、フロアのベランダは仕切られておらず全部屋が繋がっているので、ときどき窓の外を人が歩いているのだった。よく考えると不用心だよな……

と思っていたら、ナポレオン帽をかぶった黒尽くめの男が、暑くて開けたままの窓に手をかけてこちらを見ている。男は小柄でほっそりとしていて、年はわりと若く、その表情は意外なほどに明るかった。だから私は怖がる必要などなかったかもしれないが、しかし深夜のことである。驚いて脇にいるK氏を揺さぶり起こすが、その間にも男は一歩部屋の内部へ進み、窓の外へ顔を向けて何やら呼びかけている。まだ別に誰かがいるようだ…

私は「あ□◎▲×……!!」と言葉にならない叫び声を上げ(て、その声に驚いて目が覚め)た。


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「《幸福荘》」の夢は、よく見るいつもの夢のパターン。私は夢のなかで電車を乗り換えることがどうしてもできない。最初の電車から降りて、次の電車までの間がものすごく長いんだよなあ。今回も乗り継ぐことができなかった。


「ナポレオン帽」のほうは何てことない夢ですが、寝ぼけて声を上げたのが久しぶりだったので印象に残りました。夢のなかで目ざめる夢、というのもときどきありますが不思議なものですね。


もうちょっと楽しい夢も見たような気がするのに、そっちのほうは忘れてしまいました。残念。







巻貝の家

2012年06月14日 | 夢の記録





またしても、夢。
夢を記録し続けていると、私の夢にはやはりある一定のパターンがあるということに気がつきます。今朝の夢もいつかとよく似た状況、よく似た風景。

舞台は、長崎。私は実際には行ったことのない土地なので、現実の長崎とは別の、たぶん夢の長崎。島尾敏雄の「摩天楼」と同じく、夢の、「Nangasaki」かもしれない。

長い列車での移動。乗り換え。そして、その乗り換えに失敗するところがいつものパターン。

乗り換えのために町を彷徨うと、ある見知らぬ人(芸術家夫婦)の家に招かれる。その円形をした家の通路を延々と歩く。反時計回りの回廊が無限に続くイメージも、私のひとつの夢のパターン。

今朝の夢は、私の夢にありがちな要素に溢れていましたが、いつも通り面白かった。



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私は仕事で長崎へ向かっている。列車に揺られ続けた末にようやく到着した。脇には大きな黒い図面ケースを抱えていたかもしれない。しかし、ここが終着ではなく、私はまだ列車を乗り継がねばならない。ホームに降りると、乗り換え口に続くはずの下り階段が見えたのでそこを下りると、どういうわけか長崎の市街に出てしまう。そしていつの間にか目的地を同じくするらしい見知らぬ男性と並んで歩いていた(もしかするとこれは同僚で、ここまで一緒に旅してきたのかもしれない)。

初めて降り立つ長崎の町は、小規模だった駅とは異なり、駅前には広く真直ぐな道、ずらりと赤いレンガの建物が並ぶ美しい賑やかな町だった。商店の2階部分に掲げられた看板の太い文字は右から左へと書かれている。大勢の人が行き来し、静かな活気に満ちていた。

連れが言うには、乗り換えにはここから少し歩かなければならないのだという。彼の指差す方へ目をやると、建物と建物の間の狭い路地をぞろぞろと歩いていく人の姿が見える。あれについていけばいいのだ。

人々が並んで歩くその路地はごく狭く、壁も地面も灰色で、向こうへ行く人は沢山いるのに、こちらへやってくる人はひとりもいない。我々も最後尾からついて歩いていく。すると、道は次第に上り坂になる。

坂の途中の左手に、立派なお屋敷があった。白く高い塀には大きな表札がかかっていて、その灰色の地には白薔薇の装飾が一面に施され、その上に真っ黒な華麗な装飾体で3人の名前が彫られていた。うち2人は近ごろ世に出たばかりの若い芸術家夫妻だそうで、連れはこの人たちと面識があるらしい。もうひとり、表札の一番上に書かれている名前は、彼らの父親のものだという。

顔見知りの家を見つけたということで、連れはここにちょっと立ち寄りたいと言って塀の中に入っていく。私もついていく。

迎えてくれたのは、若い、まだ少年と少女と言ってもいいくらいに若い夫婦だった。妻の方が私を案内してくれる。私は彼女に連れられて、お屋敷の内部を見て回ることにする。


お屋敷は、巻貝のように円い巨大なものだった。その内部のほとんどが人間がようやく二人並んで歩けるだけの狭い通路によって構成されている。中心に向かって曲がる壁が果てしなく続き、部屋らしい部屋はない。

先導する女の子(彼女はレースの付いた軽やかな白い服装、波打つ髪を額の真ん中で分けて腰まで垂らした美しい、まだほんの女の子だった)が私の手を取りながら説明する。この屋敷は、芸術家の彼ら夫婦の稼ぎではなくて、彼らの父(どちらの父親だかは忘れた)が宝くじを当てたお金で購入したらしい。その父親はどうやら不在のようだった。

「これは巻貝を模しているのではなくて、本当に大きな巻貝の中なのよ」。

私と女の子はその巨大な巻貝の内部の狭い通路を中心に向かって辿っていくのだが、その天井は高く、壁には窓がひとつもないが、壁の全面が外の日の光を透かして薄白く輝いているのだった。巻貝の殻は硬くて非常に薄いらしい。私は左手を彼女と繋ぎ、右手で温かく白く輝く壁に触りながら進んでいく。

どこまでもどこまでも貝殻の中を歩いていく。長い長い時が過ぎていって、いつしか私と彼女とは溶け合うほどに親密になっていく。狭い通路の途中に向かい合って眠り、目覚めて頭を持ち上げる時に彼女の長い髪が本当の波のようにゆらゆらと動くのを見るのと、目を覚ましてすぐに彼女と微笑みを浮かべながらじっと見つめ合うのが私は好きだった。

彼女の夫と私の連れ(今やこの連れは私の恋人であることが分かる)の姿はもう随分前から見えないのだが、私たちとは真反対のルートを辿っているのだと確信している。あるいはこの貝殻は二重構造になっていてもう一つの壁の中を同じ方向に辿っているのかもしれない。いずれにせよ、彼らもこの長い回廊のどこかにいるに違いない。中心部で再び会えるのだろうか。


そうして、私と彼女はついに巻貝の中心部へと辿り着く。そこはやはり円い小部屋で天井は低く頭がつかえそうな真ん中に、小さな円い寝台がひとつ置かれている。それは大理石のように硬くて白い同じ径の円筒形の台によって支えられ、寝台と言っても真青の柔らかく薄い布地(これも円い)が一枚敷かれているばかりである。

私と女の子はその上に腰掛けて、互いの手を取り、身を寄せ合って、待つのだった。これからさらに長い時間をこうして待つのだ。誰を? おそらくは私の連れと彼女の夫とを。しかし、待ちながら私は待ち人は決して来ないような気もしている。来なくてもよいと思えてくる。ただ美しい彼女の手のさらさらとした温もりを、その波打つ長い髪が私の肩にもかかるのを感じていられさえすれば、時はこのまま過ぎてゆけばよいと私は思うのであった。


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列車の乗り換えは、仕事は、どうなったんですかね??

ともあれ、気持ちの良い夢でした。キーワードは、反時計回りに上っていく通路、白、美術。電車に乗り換えられない前半はともかく、後半はなかなか良さそうな内容でしたかね。

巻貝のイメージはしかし、ゆうべ「耳がきーんとする」とか思っていたら、そのうち「耳の中がズキズキする」となり、中耳炎になりかかっているのではという心配から生じたものかもしれません。一晩寝てみて治らなかったら耳鼻科へ行こうと思いましたが、寝て、夢を見て起きたら治っていました。助かった!





珊瑚色のエイ

2012年05月20日 | 夢の記録





今朝の夢。『デュラララ!』と『つり球』がミックスされたような内容でした。たぶん青春もの。登場人物は少年と、その友達と、女の子。いずれも高校生らしい。


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僕と友達は港にいた。夜だった。空も海も黒々として、一面に無数の小さな星が白く光っていた。

僕は彼にホラ貝の置物を贈る。それは、貝の真ん中がくりぬかれていて、そこにロウソクを立てられるというものだった。しかもホラ貝らしく吹いて鳴らすこともできた。

彼はとても気のいい奴なので、受けとったホラ貝に喜び、薄紫色のつるつるした先端に口をつけて勢いよく吹き鳴らした。空に響く音に添うように、僕は海に飛び込んだ。

夜の暗い海のなかはとても深く静かで、波の抵抗を受けることもなくスイスイと泳いで行くことができる。向こうからエイの群れがやってくる。それは珊瑚のように赤い色をしたエイで、頭部やヒレのところにはひらひらとした羽飾りのような房がついていた。たくさんの珊瑚色のエイが僕のそばを通り過ぎて行くのだが、エイたちは皆、低い声で歌を歌っているのだった。友達の鳴らしたホラ貝に合わせて歌っているのかもしれない。

エイの歌をしばらく聞いた後、僕は海からあがる。すると友達はいなくなっていて、同じ場所に女の子が座っていた。彼女もまた僕らの大事な友人だった。僕の体から水がぽたぽたと滴り落ちるのと一緒に、眼鏡の片方のレンズが外れる(僕は眼鏡をかけている)。すると彼女が「眼鏡のレンズって、意外とすぐに外れちゃうよね」と笑って、彼女もまた眼鏡をかけているのでそのレンズをひとつパキっと外して、僕に寄越した。僕と彼女は互いに片方のレンズを交換して、自分の眼鏡に付け直した。度が合わないのにも構わず。

こうして僕は彼女の片目を手に入れ、彼女は僕の片目を手に入れたつもりになった。前よりもより分かり合えるようになった気がした。しかし、そのとき僕と彼女が分かりたかったのは、実のところ、ホラ貝を持ったままいなくなってしまった彼のこと、彼が何を考えているのかを知りたかったのであった。

「君は何を考えているの?」
「どうして僕らには、それが分からないんだろう?」

彼がそこにいたらいい一人分の空間をあけて、彼がいないことを思いながら僕と彼女はただ黙って座り、黒々とした空と海を眺めた。



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もっと長くて小説みたいだったのですが、印象的だったのはこういう場面でした。夢を見ている間にあっと思ったのは、「眼鏡の片方のレンズを誰かと交換する」というところ。私は以前にもこれと同じ状況を夢に見ていることに気がつきました。登場人物は違っていたと思いますが、「あっ、これは前にも見たぞ!」と思って目が覚めそうになりました。何か意味を感じられそうな気がしています。

これは新たな「続きの夢」かもしれません。大きな珊瑚色のエイというのも、かつて何度も夢に現われた「大きな長い羽根をもつ鳥」の変形のように感じますしね。







女刑事

2012年05月04日 | 夢の記録





このあいだの夢。
SFサスペンス、ミステリ風味。
映画形式の夢でした。


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主人公は背の高い女刑事(以下、登場人物は全員外国人)。女刑事はある事件を追っている。壁を白く塗られた木造の民家。六角形の玄関はすぐに居間へと通じている。居間までには壁はないが太い柱が通っていて、そこから金髪の痩せた女が刃物を持って襲いかかってくる。大勢の人間が違う時間に、その場所でひとりの女の犠牲になった。女刑事はその女を追っている。

ところで、女刑事は相棒であるか恋人であるか分からない男と電話で話している。女刑事の自室は、赤い絨毯、踏むと足が少し沈み込むほどの重く赤い絨毯が敷かれていて、女刑事は話しながら手で絨毯の表面を押している。
「お前は監視されているかもしれない」と男が言う。
女刑事は男と電話で話している。話しながら手で絨毯の表面を押してみる。男が「お前は監視されているかもしれない」と言う。
女刑事は男と電話で話しながら手で絨毯の表面を押し、指先が沈み込むのを眺めている。「お前は監視されているかもしれない」

女刑事は閉じた時間の中を行ったり戻ったりするようになっていた。犯行のあった民家の中は薄暗い。女刑事は、幾人もの人間がここでただひとりの女の手にかかった柱のそばに立ってみる。犠牲者たちが透き通った姿でひとりひとりあらわれ、そのたびに金髪の痩せた女が刃物を、時には鈍器を振りかざして柱の向こうから襲いかかってくる。女刑事は彼らと一体化しながら、最後の犠牲者から最初の犠牲者の場面へと時間を遡っていく。

ようやく、女刑事は女とふたりきりになる。柱の向こうから女が襲ってくる。女刑事は刃物をかわし、女に罪を犯させない。

女刑事は思い出す。そうだ、私はこの女を止めたかったのだ。なぜなら女がなぜあんなことを繰り返したのか、その理由を知っていたから。彼女は女刑事を愛していた。どうしてそれが刃物となってしまうのかは分からなかったが、彼女は女刑事を愛していたのだった。

女刑事が金髪女の手首を掴むと、女は痩せた面を上げて、はじめて女刑事と目を合わせた。大きな青い瞳が滲んで、女は美しく微笑んだ。


壁を白く塗られた民家の外はよく晴れていて、胸が裸で黒い翼を持った大きな鳥が、女刑事のそばをすっと横切って舞い降りた。玄関は開け放たれていて、犠牲にならなかった大勢の人々がぞろぞろと楽しげにそこから出て行った。その中には金髪の痩せたあの女もいたかもしれない。

背の高い女刑事は休暇中で、さらに背の高い男と並んでその腕に寄りかかるようにして、白い壁の民家のそばを歩いていく。その顔に美しい笑みを浮かべて。


映画を観終わった私は、公園の中を彼と並んでその腕に寄りかかるようにして帰るのだった。あの女刑事のように。


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というような夢でした。だいぶ忘れたので、細部については若干補強してありますが、おおむねこんな感じ。最後の「私」は私でした。これはどうやら特別な夢のようですね。
この夢を見ている間は、映画を観ているように鮮やかでものすごく面白かったのですが、起きてから振り返ると、やっぱり全然理屈が合わないものです。実際にこんな映画を見せられたらキレるな。








波間の卓袱台

2012年04月26日 | 夢の記録



今朝の夢は不思議に楽しい夢でした。


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私は友達の家へ遊びに行く。
前夜から一緒だったのか、早朝に訪ねたのか忘れたが、まだ日の昇らない早い時間に、友達の家で朝食をとることになったのだと思う。

その部屋はこじんまりとした普通の部屋だったのに、気がついたら海辺になっていた。朝の心地いい風が吹いていて、菫色の空、砂色のさらさらした砂の上に水色の波がざあざあと打ち寄せていた。

私たちは(気づくとその場には友達とその妹、私、友達とは面識のない私の別の友達の4人がいた)、丸い卓袱台を囲んでニコニコとおしゃべりした。

波は少しずつ私たちの近くまで寄ってきて、この家の友達とは面識のない私の別の友達が波に乗って向こうへ行ってしまった。彼女はその間にもニコニコしていて、私は「ここは浅瀬だから大丈夫だろう」と思う。



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もっと長い夢だったのに、詳細は忘れてしまいました。
けれども明るくて気持ちの良い夢でしたね。
友達と会って、お話しして、一緒に食事して。

波の間でニコニコしていたのは別の友達で、私はそれを見ていただけのはずなのに、水の感触だけは感じたような気がするのが不思議。


ちょうど目を覚ましたら朝の5時くらいで、たまたま起きていたK氏と目が合いましたが、顔を合わすなり私は「うるさい!」と言ってしまいました。何もうるさくないのに。。。許せ…!