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もやもや日記

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新しい日々

2014年01月30日 | もやもや日記


ふと見ると、折り畳んでまとめてあった新聞紙が散乱していた。
このくらい散らかされてもめげてはいけない。
楽しそうに写真を眺めたりしているんだからいいじゃないか。
飽きることなく一日中、片付けたのをまた散らかしたって。
そうさ。

いつか言葉が通じるようになったら、そのときは自分で片付けてもらおう。
よし!





昨日の出来事。



息子はついに「おこたの内部」という空間を発見しました。
これまでは布団に覆われたその向こう側には無関心だったのですが、あるとき妙におとなしくしているな、と目を向けると、こたつの布団をめくって中から電源ボタンを引っ張り出してオン/オフを切り替えていました。これで咄嗟のときに読みかけの本などをこたつの中にさっと隠すという技を、私は使えなくなったわけだ。

というわけで、最近はこたつの中をのぞくのが流行っている息子。そのときだけは少しおとなしい。他の時間は1分たりともじっとしていません。1分間、せめて30秒だけでもじっとしていてくれれば、おむつを替えたり着替えさせたりが容易になるのになあ。おしりを拭いている途中でどこかへ行こうと激しく身をよじったりするので余計に時間がかかって腹が立ちます。また、座ったままだと抱っこすらおとなしくさせてくれません。絶えず動き回っていてもひとりで遊んでいるならいいのですが、機嫌が悪かったりすると最悪です。

そして今日は最悪でした。
たいてい息子は雨の日や木曜日には機嫌が悪いことが多いのですが、今日は雨でさらに木曜日だったので、朝からやたらとイラついている様子でした。眠そうにしているので寝かしつけてやろうとしたところ、アンパンマンのリモコン(音の鳴るおもちゃ。固い)で顔を殴られました。それで私もむかついて、唸る息子を放置してフテ寝しながら薄目で様子をうかがうと、ぎーぎーと不満げな声をあげて泣きながらもアンパンマンのリモコンで遊び続け、30分ほど経った頃、ひとりでごろんと横になって眠りました。驚いた。息子が自力で昼寝をするのを目撃したのは、これで2度目です(生まれてから)。そのくらいに、この人は眠くても全然寝ない。眠くて怒るくせに寝ない。寝るもんか! 寝たら負けだ! という感じ。本当になんなんだろう。

寝ちゃいけないと思っているのかな? そんなことないよ、寝なよ、むしろ寝てくれよ! 起きていても別にたいしたことをするわけでもないんだから、怒るくらいなら寝てほしい。やっと寝たと思ったら、今度は起きる時にも(おそらく寝足りなくて)怒って起きてくるのが、もうね・・・はあ・・・・・・抱っこして撫でて落ち着いた頃を見計らってご飯の用意をしてやろうと私が台所へ行くと、また泣いて怒る。すると腹が減るのでさらに怒る。いつまでも構ってられないのでひとまず放置して食事の支度をしていると、暴れて床に頭をぶつけて泣きわめく。息子の不機嫌がエンドレス! 助けて!



正直に言うと、疲れてなにもしたくない時もありますし、頭に来て怒鳴ったりぶん殴りたくなる時もあります。でも、新しい日々が次々とやってくる。少しずつ言葉が通じ、気持ちを分かち合えるようにだってなる。いつか息子が私という人間をはっきりと認識した日に、ささいなことですぐにへそを曲げて物事を放り出し、大声を出したり乱暴すれば相手を黙らせられると思い込んでいるつまらない人間である、などと思われたくはないな。また、息子が人格を形成するにあたって参考にするのが親の姿であるならば、息子にはそんなふうになってほしくない。

こう考えると、私の現状はかなりつまらない人間であると思い至って、恥じ入るばかりです。疲れているのはただでさえ夜泣きで睡眠時間を削れている上にくだらないことを考えて眠れなかったりするからだし、頭に来るのも私の怒りの沸点が低すぎるんだ。息子は既に私に似ているのかもしれません。まずいな。
冷静に考えるとそもそも腹を立てるようなことはあまりないし、腹が立ったとしても怒りの表現はたぶんほかにもあるはずです。正しい叱り方がいまいち分からないのですが、まずは私のつまらなさを一刻も早く変えていかなければなりません。

ドタバタしても、夜9時には終わります。眠ってしまった息子の顔を見て毎晩思う。
明日はもっとうまくできますように。
新しい明日を、どうやって楽しく過ごそうか。
とりあえず、私も寝るか。よし、また明日。







『秘書綺譚 ブラックウッド幻想怪奇傑作集』

2014年01月28日 | 読書日記ー英米

ブラックウッド 南條竹則訳(光文社古典新訳文庫)


《内容》
芥川龍之介、江戸川乱歩が絶賛したイギリスを代表する怪奇小説作家の傑作短篇集。古典的幽霊譚「空家」「約束」、吸血鬼と千里眼がモチーフの「転移」、美しい妖精話「小鬼のコレクション」、詩的幻想の結晶「野火」ほか、名高い主人公ジム・ショートハウス物を全篇収める。

《収録作品》
 「空家」
 「壁に耳あり」
 「スミス――下宿屋の出来事」
 「約束」
 「秘書綺譚」
 「窃盗の意図をもって」
 「炎の舌」
 「小鬼のコレクション」
 「野火」
 「スミスの滅亡」
 「転移」


《この一文》
“「……そして恐怖――恐怖だ……思うに、恐怖による死、あるいは恐怖による発狂こそ、人間が知り得るもっともおそろしい感覚のすべてを、一瞬のうちに総和するものだろうね」”
  「窃盗の意図をもって」より


ブラックウッドはたぶんこれまでにもどこかで読んだことがあると思いますが、この傑作集を読むまでは、この人であるとはっきり認識したことはありませんでした。だが、これは面白かった。

私は怪奇ものの漫画は苦手ですが(絵があると怖いから)、怪奇小説は結構好きです。でも小説でもあんまり怖いのはいけません。怖くて眠れなくなってしまいます。ホフマンの「砂男」とか「廃屋」とかは怖かったなー。好きだけど。

このブラックウッドの一冊はその点ちょうどいいくらいの怖さです。「空家」はちょっと怖いところがありましたが、ギリギリ怖いもの見たさを楽しめる程度の怖さにおさまっています。いいよ、いいよ!

私はこの中では表題作の「秘書綺譚」が一番好きですね。幽霊も人知の及ばぬ存在も恐ろしいけれど、生きた人間が不気味な時も恐ろしいものです。「秘書綺譚」では、はじめはとても人柄の良さそうに思えた人物が次第に豹変していく様がギラギラと描かれていて大変面白かったです。不気味で恐ろしいのですが、ところどころ間が抜けているのが最高。うーん、面白かった。


その他の作品も、それぞれに違った感触を味わえて盛りだくさんな感じです。ブラックウッドは多作の人であったそうなので、今後もちょくちょく読んでみたいと思います。







『短篇小説日和 英国異色傑作選』

2014年01月27日 | 読書日記ー英米

西崎憲 編訳(ちくま文庫)



《内容》
短篇小説はこんなに面白い! 十八世紀半ば~二十世紀半ばの英国短篇小説のなかから、とびきりの作品ばかりを選りすぐった一冊。ディケンズやグレアム・グリーンなど大作家の作品から、砂に埋もれた宝石のようにひっそりと輝くマイナー作家の小品までを収める。空想、幻想、恐怖、機知、皮肉、ユーモア、感傷など、英国らしさ満載の新たな世界が見えてくる。巻末に英国短篇小説論考を収録。

《収録作品》
 「後に残してきた少女」 ミュリエル・スパーク
 「ミセス・ヴォードレーの旅行」 マーティン・アームストロング
 「羊歯」 W・F・ハーヴィー
 「パール・ボタンはどんなふうにさらわれたか」 キャサリン・マンスフィールド
 「決して」 H・E・ベイツ
 「八人の見えない日本人」 グレアム・グリーン
 「豚の島の女王」 ジェラルド・カーシュ

 「看板描きと水晶の魚」 マージョリー・ボウエン
 「ピム氏と聖なるパン」 T・F・ポウイス
 「羊飼いとその恋人」 エリザベス・グージ
 「聖エウダイモンとオレンジの樹」 ヴァーノン・リー
 「小さな吹雪の国の冒険」 F・アンスティー
 「コティヨン」 L・P・ハートリー

 「告知」 ニュージェント・パーカー
 「写真」 ナイジェル・ニール
 「殺人大将」 チャールズ・ディケンズ
 「ユグナンの妻」 M・P・シール
 「花よりもはかなく」 ロバート・エイクマン
 「河の音」 ジーン・リース
 「輝く大地」 アンナ・カヴァン


《この一文》
“連れの男の言葉をすべて聞き取ることはできなかった。なぜなら一番年長らしい日本人が笑みを浮かべてお辞儀をし、テーブルの上に身を乗りだしたまま、鳥小屋のざわめきを連想させる声で喋りはじめたからだった。その人物が話すあいだ、ほかの日本人たちもみんなそちらに身を乗りだし、やはり笑みを浮かべて静かに耳を傾けていた。わたしもまたそちらに注意を惹かれずにはいられなかった。”
   グレアム・グリーン「八人の見えない日本人」より





グレアム・グリーンの「八人の見えない日本人」を読みたくて借りてきた本です。実際に読んだのは去年の12月。あまりに面白かったのでもう一度借りてきました(いずれ買います…)。この文庫は『英国短篇小説の愉しみ』という全3巻の単行本から評価の高かった17作品を抜粋・改稿したものに新訳3篇を加えて一巻にまとめたものだそうで、なるほどどのお話もとても面白かったです。

当初の目的の「八人の見えない日本人」は、面白かったのですが、「なぜ八人の日本人は見えないのか?」、また「彼らが見えないということが意味するのは何か?」ということについて説明しようとすると混乱の極みに陥ってしまいます。まあ、見えないんですよ。隣のテーブルに確かにいるんだけど、登場人物のひとりである女の子の目には見えないんです。つまり、どういうことなんですかね!? 深く考えるのは疲れるのでやめましたが、興味深い作品には違いありません。面白かった。

他には、ジェラルド・カーシュの「豚の島の女王」は何度読んでも面白い。「ピム氏と聖なるパン」は良い雰囲気。「小さな吹雪の国の冒険」も良かった。「告知」の結末はグサッと、かなりグサッときます。人生は悲しい。人間は悲しい。「写真」も悲しいお話。かわいそうな息子ものは堪える。「花よりもはかなく」は洒落ていて皮肉な物語でしたが、どことなく「わかるなー」といった内容。あるある、そういうことってあるよな。

「羊歯」と「羊飼いとその恋人」はどちらもリタイアしてからの人生についての物語でしたが、明暗はくっきりと分かれて対になっているようなお話でした。「羊歯」のほうでは万端の準備を整えていたにもかかわらずすべてが台無しに、「羊飼いとその恋人」ではあれこれ迷った末にそれまでの人生とこれからの人生を肯定できます。私はもちろん「羊飼いとその恋人」のほうを気に入りました。

エリザベス・グージの「羊飼いとその恋人」。私はおそらくこのグージという人の作品は初めて読みますが、すごく素敵なお話でした。結末が鮮やかです。
主人公のミス・エイダ・ギレスビーは55歳、男兄弟ばかりの大家族の一人娘として生まれ、両親や兄弟、そのうちには兄弟の子供たちの面倒を休みなく見続け、ようやくそれから解放された今は健康とちょっとした財産に恵まれて自由を謳歌できる身の上になった。そういうわけで彼女は思いつくままに好きなことをやってみようとするのだが、旅行も、観劇も、読書も、彼女の心を満たすものではなかった。がっかりする彼女はある時、普段なら決して入ることのない薄汚れた骨董店で「羊飼いとその恋人」の置物を見つけ、どうしてもそれが欲しくなって、つい買ってしまうのだが…というお話。
人生というのは、端から見ると不自由で束縛されているようにしかみえなくても、もしそれが自分の性に合っていて、それをわざわざ自分で選んでやるとすれば、豊かで輝かしく確かなものになりうるだろうという、もう清々しいとしか言えない物語でした。なんて爽やかなんだろう。感動しました。



どの作品も長過ぎず、ちょっとした隙間の時間に読むには最適な分量です。内容もバラエティに富んでいて楽しい。何度も言うようですが、アンソロジーっていいですね! 同じくちくま文庫から、同じく西崎さん編訳の『怪奇小説日和』というのも出ているようなので、そちらも読んでみたいところです。







あと2週間

2014年01月25日 | もやもや日記

近所の公園を散歩。
「ほら、鳩だよ、鳩だよ」と指差すと
そちらのほうをただ無言で見つめる息子。
どうも鳩がこわいらしい。





あと2週間ほどで息子は1歳になります。そしてちょうどその頃引っ越しです。慌ただしい誕生日になりそうです。

この週末にもK氏が大阪へ戻ってきているので、ちょっと息子を連れてお散歩に出てもらいました。16日ぶりくらいで一息つけます。息子と二人きりの生活は、特に問題はないものの、私が倒れたりしたら終わる! というプレッシャーもあって、非常に気疲れするのです。夜中は2時間おきに息子がグズグズ言うので、ろくに眠ることもできないですしね。息子を本当に可愛いと思ってはいますが、ほんの30分でも一人になれるのがうれしい。

さて、普段はPCを起動する隙がほとんどないのですが、息子の留守中にブログの更新だ! 正月以来書けないでいましたが、最近の息子の様子をまとめておきましょうかね。


【最近のこと】

*手づかみで食べ物を口に入れられるようになったことは正月の記事にも書きましたが、「それでは!」と張り切って味のついていない小さく切った食パンなどを出してみたところ、息子はこれまで通りニギニギしてポイと捨てました・・・な、なんだと!? 観察の結果、彼が手づかみするのはリンゴ、薄く切ってゆでた人参、お菓子類に限られているようです。毎日少しずつ器用になっているのか、卵ボーロのような小さなものでも摘んで食べられるようになりました。そのうち食パンも好き嫌いを言わずに食ってくれ!

 どうでもいいけど、顔が四角い。

 とりあえず指も全部一緒に口へ。



*片付けても片付けても散らかす。


棚という棚、袋という袋、箱という箱、すべてから中の物を引っ張りださずにいられない息子。ひとしきり散らかしながら遊んだあと、次の目的地へ移動します。その間に、私は散らかった場所を片付けます。(起きてから寝るまで一日中その繰り返し)

でも、一人遊びに熱中するようになって、お目当ての物を取り出しては、なにやらお話ししながら真剣に長時間作業ができるようになってきました。その間に、私はこっそりと本を読んだりできるようになりました。これは助かる! 息子も絵本を自分でめくって一生懸命に指差して「キョワワ! モニャ!」とか叫んでいます。





*所かまわず大声を出すようになりました。富山から大阪へ帰るサンダーバードの中でもずっと奇声を発するので、せっかく取った指定席にはほとんど座ることができずデッキに立ちっぱなしでした。泣くわけではないのですが、静かな車内に轟きわたるような大声を出すのでやむを得ず・・・。歩くようになったらどんなことになるんだろう。まあ、走り回るんだろうな。うっ、不安。
 ちなみに、息子と乗ったサンダーバードは、3回のうち2回天候不良のため遅延しました。夏は大雨で大津から不通に京都から新大阪まで3時間かけて帰りました。この正月は強風で通常ルートが不通になり、別ルートを迂回して新大阪まで(そんなことがあるんですね)、30分ちょっとの遅れ。これは呪いですか。呪いでしょうね、きっと。
 特急列車以外でも、普段のお散歩中にも突然大きな声を出すように。あんなに静かでおとなしい子だったのになあ。大きな声が出せるのが嬉しいんですかね。でも、夜中にでかい声を出すのはやめてほしいな。



*「クマちゃん、なでなで」と言うと、クマのぬいぐるみなどを撫でる。
 「お母さんもなでなでして」と言うと、無言で顔を背ける。
 めげずに「お母さんもなでなで」「お母さんもなで…」(10回ほど繰り返す)
 撫でてくれません。人差し指を目や鼻、耳に突っ込まれました。ひどい。





大阪での二人暮らしもあとわずか。明日は引っ越しの段ボールが届くので、荷物を詰めていかないとな。





『時を生きる種族 ファンタスティック時間SF傑作選』

2014年01月21日 | 読書日記ーSF

ロバート・F・ヤング、フリッツ・ライバー他
中村融編(創元SF文庫)



《内容》
時間エージェントは、9世紀の宮殿から『千一夜物語』の語り手シェヘラザードを連れ帰ろうとした矢先、見知らぬ世界へ飛ばされた。さらに彼女に恋をされ――ヤング「真鍮の都」に始まり、時と場所を問わず過去を撮影できるカメラを発明し、何本もの“真実の”歴史映画を製作した男たちの物語――シャーレッドの傑作「努力」まで、本邦初訳2編を含む全7編。


《収録作品》
 「真鍮の都」 ロバート・F・ヤング
 「時を生きる種族」 マイケル・ムアコック
 「恐竜狩り」 L・スプレイグ・ディ・キャンプ
 「マグワンプ4」 ロバート・シルヴァーバーグ
 「地獄堕ちの朝」 フリッツ・ライバー
 「緑のベルベットの外套を買った日」 ミルドレッド・クリンガーマン
 「努力」 T・L・シャーレッド


《この一文》
“つまり、そういうことはじっさいに起こったし、ふたたび起きても不思議はない。いまだって起きているかもしれない。そういうことが起きたのは、ねじ曲げられた真実が、国家間の、党派間の、人種間の感情にあまりにも長く刷りこまれてきたからだ、という主張だ。多くの者がおれたちと同じ意見を持ちはじめたときはうれしかった。つまり、過去を忘れることは大切だが、視野を広くとり、偏見のない目で過去を理解し、評価することのほうがもっと大切だ、という意見だ。おれたちのいおうとしていたのは、まさにそれだったんだ。 ”
     「努力」 T・L・シャーレッド より




あまりにも面白かったので、絶えずつきまとう息子の猛攻を交わしつつ、彼の昼寝の合間に、あるいは私自身の昼食を台所で立ち食い早食いするその間に、じりじりと細切れにしかし飛ぶような勢いで読み進めました。いやー、やっぱりアンソロジーっていいですね! SF傑作選というタイトルの通り、どれもこれもものすごく面白い作品ばかりでした。はあ~、痺れたわ! あー、楽しかった! ありがとう! ありがとう! なんだか興奮を抑えきれない!


というわけで、全部で7つの物語。いずれも読み応えたっぷり、ファンタジックなものもあればロマンティックなものあり、シリアスなものもあればユーモラスなものありとそれぞれが独自の世界観と魅力を備えた、素晴らしい傑作選です。「真鍮の都」ではいきなり幻想的なお話に夢中にさせられ、ムアコックの「時を生きる種族」はなんのこっちゃと思っていたらガツンとくるような展開に、「恐竜狩り」ではその鮮やかかつ巧みな語り口にハラハラし、シルヴァーバーグの「マグワンプ4」はなんだかおとぼけだなあと笑っていたら思わず硬直するような結末を迎え、フリッツ・ライバーの「地獄堕ちの朝」は安定の面白さと格好良さ。「緑のベルベットの外套を買った日」のロマンティック加減は「少女漫画か!?」というほどで、そんなうまい話があるかよと言ってしまえばそれまでですが、ご都合主義でもいいじゃないか! 私はトキメキましたよ!

ここまででも十分に面白かったですが、最後の「努力」が特に強烈です。なるほどこれは傑作ですね。どことなく、コスタ=ガブラス監督の映画『Z』を思い出させるような、切れのある、情熱に満ちた、胸を打つ作品でした。100頁ほどの小説ですが、もう少し長かったのではないかと思わせるような感触があります。
過去のあらゆる時と場所を撮影できるカメラを発明した男マイケルとそのパートナーであるエドが、いかにして人類の「真実の」歴史映画を製作し、それを世に送り出すのか。そしてまた彼らはその機械を手に入れたという事実をどのように受け止め、自身の人生を決定していくのか。彼らが製作した映画とその機械の存在によって、世界はどうなってしまうのか。というお話。
面白かったなあ。もしも人類が、すべての人がそれぞれに、自分たちの生きるこの世界の「真実の過去」を見られるようになるとしたら、それは私たちにどういう衝撃となって押し寄せるのでしょうか。あるいは、「真実の過去」を見られる手段が存在するとして、果たしてそのような手段を共有することが人類には能力として可能なのでしょうか。誰かの思惑が世界を動かしているかもしれない、そしてそれはいつも隠されているのかもしれない。多くの名もなき人々は生きるも死ぬもただただ翻弄されるばかり。過去のすべてが明らかになるとしたら、私たちはついに何者にも支配されない世界に生きられるようになるでしょうか。
力作。傑作。




長編を読むだけの集中力を維持するのは難しいので、しばらくは短編集を読んでいこうと思います。アンソロジーは素敵だ!






引っ越しまであと少し

2014年01月20日 | もやもや日記





い、忙しい! というか、息子がやわしい。「やわしい」は標準語だとどういう意味になるだろう。えーと、騒々しい? 邪魔臭い? まあ、そんな感じで大阪での息子と私の二人暮らしは続行中ですが、毎日ドタバタしていてインターネットにつなぐ暇もありませんでした。おまけに私の愛機Mac-miniも片付けちゃったし(息子がしきりに電源コードを引っ張ってくわえたり引っこ抜いたりするので鬱陶しくて・・・)、メールチェックすらしていない日々。それでもどうにか少しずつ引っ越しの荷造りを進めようとしているところです。


さて、大阪府吹田市から広島県福山市へ引っ越すことになりました。福山にはお城があるみたいですよ。日程は2月10日前後になりそうです。息子は1歳の誕生日をギリギリ大阪で迎えることになりますね。

週末には引っ越し屋さんに荷物の見積もりにも来てもらいました。いよいよ段ボールに荷を詰めていかないとならないのですが、実は前回博多から大阪へ戻ってきたときの荷物がかなりそのままの状態で段ボールに入ったままなので、新たに詰める分はあまりないというイージーモード。ただ、息子が絶えずまとわりついてくるので、それをかわしながらの作業はなかなか難航しそうであります。

福山の新居はまだ本契約にはいたっていませんが、なんとなく決まりそうなところまできました。新しいところは玄関を開けると廊下がリビングに通じているのですが、なぜかそのリビングへのドアの手前にポツンと洗面台が置いてある・・・という摩訶不思議な間取りの物件です。なにそれ、廊下に手洗い場とかって、学校!? トイレを出て二つドアを通らないと洗面台に辿り着かないという不思議すぎる間取り。何度間取り図を見ても不思議で不思議でしょうがない。誰だ、こんな設計をしたやつは! でもそれ以外は、そこそこ広いし、見晴らしもいいし、必要な設備(スーパーとか薬局とか)も近所に揃っているし、気持ちよく暮らせそうです。

心配していた福山市の図書館事情も、調べてみるとどうやら新しくて立派な図書館が建ったばっかりで、蔵書もそこそこ充実しているようです。もちろん、私が今住んで利用している吹田市図書館の狂気の蔵書数に比べればやや劣りますが、でも十分に文化的な暮らしが送れそうですね。いやそもそも読みたい本は買ってもいいんですけど、引っ越しを繰り返す身としては、これ以上本を増やすのは厳しい状況なんですよ。吟味に吟味を重ねて控えめに収集を続けているわけでして。

それから、福山はそこそこ田舎なので、とうとう自動車を買わなくてはならない模様。どうしよう、私は自動車の運転免許を持っていないんだぜ。ついに取得せねばならなくなったか。うーん、自信がないな。でも静岡のK家のお母さんがおっしゃるには、40歳までならどうにかなる(ご本人の体験談による)ということなので、私もかろうじて40手前なので頑張って取ろうかな。
K氏はまずは軽自動車を買って運転に慣れたいと言っていました。ずっと大都市暮らしで徒歩と電車で移動が基本だったのに、なんだか生活が激変するなあ。


あ、なんか息子が短い昼寝(朝寝)から起きてきた様子。電子機器を見つけると息子は突進してくるのでMacBook(K氏からレンタル中)は片付けて、戻らないと・・・うぅ。さあて、晴れている間に今日の用事を済ませてこなくては! ベビーカーで出動だ!







初雪体験

2014年01月08日 | もやもや日記

山の上の牧場まで連れて行ってもらいました。

雪が積もっています。



今週でいよいよ生後11ヶ月になりました(^^)

なんだかんだと引き止められて富山への帰省が長くなりましたが、明日大阪へ帰ります。どこへ行ってもチヤホヤされる生活も今日で終わりです。そうとも知らず、息子はすやすや寝てしまいました。明日大阪へ帰れば、また母と沈黙の二人暮らしだぞ・・・^^;カワイソウニ


さて、この年末年始、富山はわりとお天気に恵れました。スカッと晴れて暖かな日が結構あった。これは北陸の冬としては珍しいんじゃないですかね? ほとんど雪が降らなかったですよ。

それでも山の方へ行けばそこそこ白くなっているわけで、7日の晴れが今週最後の快晴だったのですが、この日おじいちゃんに山の上にある牧場まで連れて行ってもらいました。

 夏にはミルクソフトクリームなども楽しめます。

雪が積もっているのでほとんど誰もいませんでしたが、駐車場からは、眼下に富山湾と能登半島が見晴らせます。絶景ですよ、絶景!(※写真はうまく撮れず;)


それはさておき、冬生まれの息子はまだ雪というものに触れたことはないのでした。

 おじいちゃんに抱えられて雪を握ってみた

地面がずっと白くて、びっくりしたでしょうか。表情からは何も読み取れませんでしたが、かなりの真顔で雪を丸めて握り締めていましたね。靴を履いていないのに地面に足が着いちゃってます; 靴下まで濡れましたがまあいいよね。




【最近のできごと】

*ついに手づかみで物が食べられるように!
 くし型に切ったリンゴを手にとって齧りました。あまりに驚いたので思わず動画まで撮ってしまった私。これまでどれだけ促してもダメだったのに、初めて自分で食べたのは、大人用に大きく切ってお皿に盛ってあったリンゴでしたね。少しずつ前歯で齧っては握り、少しハイハイしてはまた食べ、最後にはなにかこう黒っぽくなっていましたがラストスパートをかけてモグモグと口に放り込んでいました。やった、やった!


*田舎ではおじいちゃんとお風呂、たまにおばあちゃんとねんね。でも全然お母さん(私)を恋しがらない息子! 相変わらず少しもお母さん子にならない! 人見知りもしない! いい子だわぁ・・・。私が不在でもあまりに普通にしているので、正月の夜には久しぶりに地元の友達と息子抜きで食事に行ってきましたよ。楽しかった。息子よ、おとなしく留守番しててくれてありがとう! 私が帰ったらもう寝てました(・・;)ホントニお母さん子ジャナインダカラ・・・


*田舎が北陸同士のI家の皆さんと会食。お子様達が可愛かった。まだ小さいのに、私の息子のために一生懸命面白い顔をしてくれたりするので、「人類って、こどもって、素晴らしいなあ!」と感動しました。ところが、その熱意にもかかわらず、肝心の息子はI氏の顔を見て大喜び・・・おっさん(失礼!)好きなんでしょうか?^^;


*私が叱っても効果がなくなってきた・・・。むしろ珍しく私の表情が豊かなのが面白いのか、ニコニコと笑うように・・・うっ(T_T)


*「コラッ!」も「ダメ!」も通用しなくなりつつありますが、同時に言葉をだいぶ理解するようになった気配を感じます。
 夜寝るときに「たっちゃんのタオルは?」と言うと、その辺に落としていたタオルを拾って私のところへ来たりします(でもなかなか寝ない;)。「ブーブーは?」と聞くと自動車のおもちゃを持ち上げたりも。私が怒っている時も本当は意味が通じているのに、分からないふりをしているんじゃないだろうね?^^;



ひいおばあちゃんに可愛がられ、おじいちゃん、おばあちゃん、その他大勢に可愛がられた富山での生活も今日が最後です。富山は良い所ではありますが、冬はやっぱり寒いので、「帰省するなら夏だな」と思いを新たにしましたわ。今度の夏は帰れるかなあ? でもまずは広島へ引っ越さないとな・・・大阪へ戻ったら荷造りだ!




謹賀新年

2014年01月01日 | もやもや日記




あけましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いします!


さて、年末より私は息子を連れて富山へ帰省中です。K氏は風邪気味とのことで、大阪でひとり寂しい年末年始を過ごしています。気の毒に・・・

こちらは雷と雨の元日となりました。ドドーンという雷の音で昼寝から覚めてしまう息子。寝起きが悪いので勘弁してもらいたいですね。

また、北陸の冬は基本的には毎日雲に覆われて暗いのですが、年末に珍しくものすごく晴れた日があったので、私は息子を抱っこして、すぐ近くの海まで散歩にでかけました。

 海ー。

 そして山ー。


右手に富山湾、左手に立山連峰という美しい土地柄です。やはり散歩は浜辺に限る。息子よ、見るがいい、母はこんなところで育ったのだよ。ほら、波が打ち寄せているだろう。
しかし、彼はそんなこと知ったことかという顔付きで、しきりに抱っこ紐の肩紐をいじって遊んでいました。海なんて眼中にねえ! ・・・うぅ、重たいだけだったよう。


息子は富山でも、悪さばかりの日々です。あまりに鬱陶しいので、ここでも【ハウス】を作りました。



【ダンボールハウス2号(別荘)】と【バスケット車(車輪はないけど;)】です。
とくに【車】のほうを気にいったらしい息子は、驚いたことに、自分でよっせよっせとよじ登り、【車】の中へ入って、ちゃんと座りなおし、フンフン言いながら遊んだりします。狭いところが好きなんだなあ。


あとはイタズラばかりしてますが、曾祖母、祖父母によく懐き、可愛がられています。ありがたいですねー。いまのうちにたくさん可愛がってもらいな。またすぐ母と二人暮らしになるからね・・・。


【最近出来るようになったこと】
*バイバイ。「たっちゃん、バイバ~イ」と声をかけると、手を振るように!

*障子戸を開ける。私の父がなにやら熱心に教えていたと思ったら、障子戸の開け方でした。自分で戸を開けて、部屋から出てくるようになりました・・・隣の部屋は寒いからやめてほしいのに; うっ。まあ、これも成長か。

*息子を抱えたまま引いた福引で1等賞が当たった! 「うそ!?ハワイ旅行!?」とドキドキしましたが、1,000円の商品券でした。それでも嬉しい。生まれて初めて当たったわ、私。息子はラッキー・ボーイですな。やべえ、年末にやはり息子を抱えて買いに行ったロトも当たってる予感しかしねえ・・・!(まだ怖くて、とっくの昔に出ている当選番号はチェックしてない)。1等当たってたら何買おうかな。ふへへ・・・


毎日寒いですが、風邪を引かさないよう気をつけねば。