雪(風?)避けの菰をかぶった「冬ボタン」があることは知っていたが、本物を見たのは初めて。しかも、ボタンを含め“花の寺”として知られる奈良の長谷寺。冬牡丹としてのシーズンは終わっており、数株しか花を付けていなかったが趣深いものだった。この寺を訪ねた日は、小雪が舞う寒い日。雪が囲いに積もっていなかったのは残念。
長谷寺(奈良県桜井市初瀬)は真言宗豊山(ブザン)派の総本山。初瀬山の山麓にある名刹。国宝に指定されている舞台造りの本堂には十一面観音(重文)様が鎮座。
落ち着いた佇まいの仁王門から本堂に向かい屋寝つきの階段(登廊)が廻っており、その脇に7000株(?)ともいわれる牡丹の植え込みがある。季節によって、ほかの植物も目を楽しませてくれるのではなかろうか。枕草子や源氏物語にも登場すると聞くと、なおさら風情を増す。
「冬ボタン」を調べてみたが、個別の種を構成するものではないようだ。「手間をかけて冬に咲くように調整したもの」という。花の部分をクローズアップして撮ってみたが、普通の庭のボタンと変わらない。囲いの菰と一体でこそ冬ボタンと思うのは私だけだろうか。
ボタンには「春」「寒」「冬」の3タイプある。春ボタンは花が4-5月に咲く普通のもの。「寒」は春の蕾を摘み取り、秋に再び出る蕾を冬に咲かせるもの。放っておくと春に咲くのだそうだ。「冬」は咲く時期をずらしたもの。