啄木鳥の詩

里山の自然と山野草・高山植物、低山歩きと野鳥観察

「ぐんま百名山 赤久縄山」

2022-01-29 16:17:36 | 登山
 「ここをね、ここを30分登れば、赤久縄山の頂上に着くんだよ、あ~登りたいなぁ~」と言って足を登山口に一歩踏み入れた夫を「この次にしようよ」と言ったばっかりに、私はこの9年間、ず~と後悔していた。あの日をおいては、二度と登ることはできなかったのだから・・。その日は、9年前の5月連休最終日、赤久縄山のスーパー林道脇に、アズマイチゲが咲いていると思うから、見に行こうと、体調不良にも関わらず、まるで、命の限りを知っていたかのように、夫は山歩きを望んだ。駐車場に車を止め、林道を歩くこと暫し。山の春はまだ浅く、ゴオ~ゴオ~と裸木の枝が風にざわめく。その音に少し恐さも感じたが、途中で引き返すという選択肢もなく、ただただ、夫の願いを叶えてやりたいという一心で歩いていた記憶がある。行けど行けども花は見つからず・・「あともう少しね、行こう」と数メートル進むと、林道の枯れ葉の中から、それはそれは可憐で真っ白なアズマイチゲが群生していた。野山に春を真っ先に告げる花。あの感動は、いまだに瞼の裏にやきついている。帰り道、林道の登山口に足を止め「ここをね、ここを・・登りたいなぁ」。
 長い間、あの時を後悔していたのだけれど、その日は突然やってきた。赤久縄山に登ろうと!
スーパー林道からは、雪化粧した浅間山が美しく、遠方にも、いつでもどしっと構えて、揺るがない山々がある。良くも悪くも、いろんな気持ちを抱えて山に行くけれど、山はいつもその気持ちを受け止めてくれる。心の隙間を充分に満たす存在なのだ。標高、1522m。今回、省エネ、ぶらぶらコースの登山だったけれど登頂。山頂からは、展望が開け「手前がオドケ山、左は西御荷鉾山、その右は東御荷鉾山、後方は雨降り山だよ」と教えてもらった。見る角度が違うと、また分からなくなりそう・・たぶん分からない。「いつでも私が隣にいる」と誰かあの人に伝えてよ。

オドケ山  西御荷鉾山  東御荷鉾山  雨降り山

「色彩あざやかに」

2022-01-26 18:41:27 | その他
「ロウバイ」
 安中市松井田町には、およそ12000本が植えつけられているという「ろうばいの郷」がある。30年前から地元農家が植えはじめ、「郷づくり」に取り組むようになったとのこと。過去に何度か訪れたことがあり、久方ぶりに広い園内をそぞろ歩き、早春の香りを愉しんだ。
 花期は12月から2月頃。中国原産の落葉低木。家庭でも栽培されている樹木で、散歩中甘い香りが漂ってくると「どこからかしら?」と、つい小さな黄色の花を探してしまう。書物によれば、花が陰暦、12月(臘月)咲くからという説もあるが、一方、花の色が透明感のある蝋細工の様で梅に似た花を咲かせるというところからの命名という説もある。
 花は、葉っぱより先に咲き直径2cm程度。種類もソシンロウバイ、マルバロウバイといくつかあり、花の形を観察すれば、比較的簡単に見分けられる。今回、現地で初めて見たのは原種。花色はあまり目立たなく地味目な印象だが、控えめで上品な香りが魅力的だ。
 ロウバイは、冬の茶花として貴重な存在で重宝しているが、やはり炉開きの頃の、照葉のついた枝は、なかなかの風情があり、花入れに一枝さすだけで、茶室の空間は一気に変わり、自然の美しさを受け入れ、愉しむことが出来る。
 ロウバイは、梅、スイセン、サザンカとともに「雪中四友」と言われ、寒い冬、香りが良いので人を惹きつける。

原種のロウバイ

「ぐんま百名山 石尊山」

2022-01-23 12:23:25 | 低山歩き
 「展望はあまり良くないよ」と友人から言われた山は「ぐんま百名山」の一つに挙げられている石尊山、571mの低山。冬場の山歩きには、もってこいの山。
 車道の登山口からアプローチ。一気に急登の木の階段を直登。途中で一休みするが、雑木林の中で景色はいまいち。「春にはどんな花が咲くのかしら」と気を紛らわし、階段を登ること暫し。頂上には、石祠と燈籠。ベンチからは西上州の山々が眺められ、「あれは東御荷鉾、隣は西御荷鉾、あっちはオドケ山」とTさんに教えられ、さすが西上州を代表する名山だと、その山姿にしばらく見惚れてしまった。
 石尊山からよく整備された山道を抜け、戸谷山 605mへ。起伏の少ない山道で、カサカサと枯れ葉を踏んで歩くのは、子供の様だけれど、何だか楽しく気持ちが安らぐ。幼いころ、薄氷の張った窪地を、わざと靴で踏んで、その音をききながら歩くような楽しさだ。また、雪をいただいた遠方の山々の美しさは、言葉では表現できない。林の中から、シジュウカラの可愛い鳴き声。ということは、きっと仲間に交じって啄木鳥がいるかも、と目を凝らしてみたが・・。
 Tさんがもう一つ案内してくれたのは、四十七士石像。ガイドブックによれば、赤穂浪士、片岡源五衛門の忠僕、元助が剃髪して道心となり、20余年の托鉢の末建立したとのこと。安中市、史跡に指定されている。
 石尊山が何故「ぐんま百名山」に登録されているか考えたが、信仰の山なのだと納得する。低山は雪もなく、冬枯れの雑木林から遠方の美しい山々を見渡せる魅力ある山だ。
 ハプニングが一つ。我が愛車、本人より一足早く帰路についてしまった・・・。

「冬を生きのびて」

2022-01-20 12:11:42 | 野鳥
 今日は大寒。寒々しい空。ここ数日、赤城山から吹き下ろす風が強く、正真正銘、群馬の冬。日差しはあるが、体感温度は低い。
 ふと、窓越しに外を見ると、色よく熟したキンカンを、ヒヨドリが果実をついばんでいる。もう、甘くなったのだと、野鳥に教えられ、一粒口に含むと、独特な苦みと甘み。木のもとにたくさんの実が落ちていて、野鳥の生命力のたくましさに驚かされる。羽毛を全身に纏っているとはいえ、この寒さは彼らにとっても、身にこたえるのに違いない。
 ヒヨドリは、極めて身近な存在であり、自宅でも、公園でも、里山でも、見ることが出来る野鳥だ。故に、その鳴き声は、時にはけたたましく「そんなに鳴かんでもいいのに、喉が痛くなるじゃないの」と余計な心配をしてしまう。少し迷惑と感じることもあるが、考えてみれば、鳥たちは自然界では、大切な役目を果たしている。例えば、彼らが運んで植物が生えたり、林が出来たり、害虫を食べてくれたり・・人間も、鳥も、動物も花もそして魚だって、みんな大切な仲間たちなのだと。
 お気に入りの枝があるのか、今朝はモズがちょこちょこ顔を見せてくれている。嬉しい。写真、撮ろうとするが、少しもじっとしてくれない。
 新型コロナウイルス感染が、外国と同じ様なフェーズになりつつあるのか、県内も「まん延防止等重点措置」の適用地域になってしまった。感染者が4万人超え、県内でも400人を超え、この状態でいったら、3回目のワクチン接種前に、感染してしまうのではないかしら。

「貫いた信念」

2022-01-17 17:10:45 | 庭の花木
「ウグイスカグラ」 スイカズラ科 
 引退会見を開いた内村航平選手。小学1年生の時、鉄棒で「けあがり」が出来た感動は忘れられないと。それが、技を覚えられた原動力になっているとも語った。体操歴30年、華々しい活躍を映像をとおして何度もみて、人間技とは思えない美しい姿に感動し、着地が決まると、TV解説者とともに興奮し、拍手していた。これまでの、その練習量は計り知れず、努力が報われないと思うこともあったし、痛いところだらけで、満身創痍でやってきたとも語った。信念を貫きとおす心の強さ!「心と身体は繋がっている」と友人に、通りすがりにつぶやいたというが、実に本質を的確に捉えた表現だと思う。心と身体は繋がっているからこそ、心を整えなければ、身体もそれに答えてくれないのではないだろうか。これはすべてのことに通じているかと。3月には引退試合を開くという。将来的にどのようなビジョンを見せてくれるのか、ファンの一人として、楽しみにしている。
 「ウグイスカグラ」を「ウグイスカズラ」という人もいるけれど、「つる」になっていないので、カズラではない。まだ全開していないピンク色の可憐な花だけを枝につけている。ピンクの花色は春を感じさせるが、まだまだ春は遠く、冷たい空気がピーンと張りつめ、心が折れそうになる日があるけれど、春は必ずやってくる。
ウグイスカグラは鶯神楽と記し、初夏になると、赤い実が出来るが、これが甘くておいしいです。鶯がその実をついばんでいる姿が、踊っているように見えることからの命名という説もあるようだ。初夏になり、山に行かれて、ウグイスカグラの熟した実を見つけたら、是非お試しください。甘さ、保証します。

「 ○○さ~ん、いるぅ~、少林山に行ったから、お守り買ってきたよ~」朝早くから届けてくれたYさん。何だかユニークな顔しているダルマちゃん。紐の編み込みが素敵で、可愛い鈴が付いています。感謝です。

「悩ましい日々」

2022-01-14 10:27:53 | 野鳥
 オミクロン株の爆発的な感染拡大。昨日は全国で18000人を超えた。これまで経験したことがない危機的な感染状況で、自宅で療養する感染者が急増し、さらにその数は今後も増えるであろうと新聞に記されていた。県内でも、日々その人数を増し、例外ではない。けれど、周囲でも以前のような危機感はあまりない。勿論、できうる限りの感染防止対策はしているつもりだが、現在はウィズコロナ時代という新しい生活様式に、多かれ少なかれ変化しているのだろうか。
 明日から2日間、大学入学共通テスト。受験生はその日の為に、万全の準備をして臨んでいるのに、コロナウイルスという不安をも抱え、その立場になれば、全く悩ましいことに違いない。
 頑張れ! 受験生!
 そして、大雪。日本海側を中心に、短時間で積雪急増のニュース。降り方も強まり、「ただひたすら頑張るしかない。これも雪国の宿命か」と雪かきをしている映像が流れたが、歳を重ねれば、厳しい作業に違いない。
 新年始まって間もないのに、その他にも、次から次へと悩ましい日々が続くが、それでも、朝は必ずやってくる。自分の考え方次第で、見えてくるものが違ってくるものだ。今日も上州名物、からっ風、凄いです!
 翼に白い文様のジョウビタキ。雄は胸からお腹にかけて橙色。今年も、ジョウビタキが当家の庭にやってきた。そっと、そ~っと窓に近づき・・。枝にとまっているこの子は「何か変だな?」と感じたのか、あたりをキョロキョロ。一瞬、目が合った(?)その瞬間に、すばやく飛び去ってしまった。冬は、リビングから外を眺めていると、可愛い野鳥が来てくれる。

「ぐんま百名山・・崇台山」

2022-01-11 16:40:58 | 里山
 崇台山(そうだいさん)は里山。何と299mという低山ながら、実はぐんま百名山の一つに数えられている。ガイドブックにさえ載っていない山なのに・・。しかし、頂上では、その展望に驚かされた。360°の大パノラマ。上毛三山はもちろんのこと県内の山々、遠方は筑波山、八ヶ岳までの素晴らしい眺望!9日(日曜日)は快晴、絶好の山歩き日和。
 「春は桜がきれいなのよ」と案内してくれたのは地元のCさん。低山でハイキング感覚なのだけれど、彼女は多方面からアプローチしてくれ、冬の山を充分に愉しんだ。頂上では、地元の人に親切にして頂いた。地元の山には、誇りと情熱があり、こだわりを持った人が多いかも知れない。たとえ低山であっても山は気持ちがいい。山に入ると、傷んだ心をも沈めてくれる力があるように思う。自然が包み込んでくれるような気持になるのはなぜだろう・・。
 「ぐんまの山々」の過去の登山記憶をたどってみると、草津白根山、至仏山、浅間隠山、妙義山、榛名富士、水沢山、赤城山は連山なので荒山、鍋割山、黒檜山、地蔵岳、長七郎山、近くは牛伏山、観音山、庚申山、桜山、子王山、高崎自然歩道そして崇台山。その他玉原湿原、尾瀬ケ原・尾瀬沼あたり。中には2000m級の山もあるけれど、低山もたくさんある。今後、どれほどの山に行けるのかと考えるけれど、県内の山々をひとつ一つ愉しみながら、その山の魅力をアップ出来たら嬉しい。

「白鳥愛」

2022-01-08 16:34:05 | その他
 風も穏やかな昼下がり、新鏑川橋の歩道を散歩していると「ほら、あそこに見えるのはハクチョウですよ、コハクチョウ。シベリアから北海道、新潟から飛んできます。中には九州まで行くものもいます。家族で行動していますからね。頭に少しグレーがかったものは幼鳥、昨年の夏あたりに生まれたんですよ」。散歩している私を追い越し、立ち止まり、川下を指さし説明が・・・。(話が長くなりそうな気配)案の定、予感は的中し、どこそこの川が合流し○○という名前の川になったとか、昔は鮭がこの川にもいたとか、話題が豊富で・・自身と同じくらいの年齢と思うが、言われてもそうした記憶が私にはない。ついに「ほら、赤城山のとなりの白い山、あれは上州武尊山、ずっと左を見て!あれ谷川、さらに左を指さして、あれは白根」と、他にも山の名前を次々に教えてくれた。代表的な名前はある程度わかるが、何度聞いても山の名前と山そのものが一致しないので覚えられない。自分が登った山さえ、遠くから見ればわからない始末なのだから。教えてくれた彼は、鏑川、白鳥を守る会の会員とか。「さもありなん」と納得。
 首が長く、優雅なその姿、飛び立つ時の躍動は感動そのもの。素敵な冬の使者だ。最後に、川辺にいた白い鳥を指さし「あれは鷺ですよ」と。
 

「初泳ぎ」

2022-01-05 18:18:29 | 庭の花木
「アスパラ菜」
 「明日からスイミングが始まるよ~」と昨夜、友人からメール。考えてみれば、もう2週間も泳いでいない。おまけに、今日は2時間連続の教室。外は風が強く、プールに行こうという気持ちが萎えてしまうが、自分で決めたことだからと行くことを決心。先生や知人、友人と新年の挨拶を交わし、気持ちも新たに・・まず1時間目・・泳力の教室。いきなり50mを2回、これウォーミングアップ。いつもはどうということもないが、久方ぶりに泳いだので、身体が重い。疲れる。浮力を感じるのに少し時間がかかってしまった。初日でもあり、少し楽しいことも。3人一組を作り、先頭はクロール、2番目の人は、先頭の足首を持ち、何もしない。3番目の人は、2番目の人の足首を持ち、クロールキックのみ。3人がそれぞれポジションを変え、水をとらえる練習。3人とも息継ぎのタイミングが違うので、体幹がしっかりしていないと難しい。この他にバタフライあり、背泳ぎあり・・。
2時間目・・足にフィン(足ひれ)をつけ、バタフライの第一キック、第二キックの練習。さらに、両手にパドルを付け、バタフライ、背泳ぎ、クロール・・どの位泳いだのか、記憶が定かではないが・・・疲れた! クタクタ、今夜は「お酒」という睡眠薬を飲まなくても眠れるかも。
 う~ん、頑張ったご褒美に、飲んじゃうかも・・。最近、お酒が美味しい・・。
 「植えとけばいいんだから」と苗をいただいたアスパラ菜。ほんのり甘く、おひたしや炒め物など何でもあう。葉も茎の緑も色鮮やかで、小さな黄色い花からは元気をもらう。黄色は人の心をポジティブにしてくれる色なのかしら。

「新春に寄せて」

2022-01-02 08:21:39 | その他
新年おめでとうございます。
 朝から晴れわたった西の彼方には、雪化粧した浅間山が、それはそれは美しい姿を見せてくれています。
 当家からぐるっと周囲を眺めれば、山、山、山・・・。どこにいても山を眺めることが出来ます。当たり前のように山は、いつも身近に存在し、当たり前がゆえに、その美しい自然に気が付かないで暮らしていた日常。「あれは○○山、あれが○○という山だよ」と名前を教えられ、ようやくその豊かさに気が付いた。中学の、高校の校歌にも、そして大学の学歌にも、西に妙義浅間、北には榛名と、山の名前が入っていることを考えれば、山は宝物と考えられはしないだろうか。
 春の山にはマンサク、カタクリ、ヤシオツツジ・・夏にはニッコウキスゲ、コマクサ、マツムシソウ、ヤナギラン・・秋には、とびっきり美しい紅葉、そして冬は雪景色。今年は春から山行きを楽しみにしていたのに・・。低山で充分なので、なるべく多く群馬の山々の四季を愉しみたい。
当たり前だけれど、人生は一度しかない。そして、いつまで続くかわからない。生命の在庫がそれほど多いとも思われない。だから、自分自身と正面から向き合い、その気持ちに正直に従う。そうすれば、必ず素敵なことが待っていると信じている。
 お茶、水泳、音楽、ブログそして山歩き・・少し欲張りの感があるが、残り少ない人生を愉しみたい。
 今年も宜しくお願い致します。