啄木鳥の詩

里山の自然と山野草・高山植物、低山歩きと野鳥観察

菱田春草展  「王昭君」

2014-10-29 18:26:32 | その他
 東京国立近代美術館にて、日本画家、菱田春草展が現在開催されている。いつもは、夫を動員して美術館まわりをしていたが、今では、そういうわけにもいかず、思い悩んでいたところ、友人に誘われ即OK。実は、密かに興味を持っていた絵画があったのだ。それは「王昭君」(おうしょうくん)。中国、前漢、第10代皇帝、元帝の妃である。おそらく、「王昭君」がいなかったら、彼は歴史に登場することがなかったかも知れない。当時、漢の国では匈奴に元帝の妃を1人嫁がせることになった。妃たちは、匈奴に嫁ぎたくないので、絵師に賄賂を渡し、美しく描かせた。王昭君はそれをしなかった為に、醜く描かれてしまい、匈奴に送られることになった。しかし、実際は絶世の美人で、元帝は非常に嘆いていたが、時すでに遅く、王昭君は匈奴へ嫁いでいった。
 「王昭君」は実に美しく描かれていたが、他の女性も素晴らしい美人揃いの立ち姿。別れを惜しむ悲しい姿、女性たちの、それぞれの思いを抱いたひそひそ話まで伝わってくるようだ。また、つややかなシルクの衣の質感、上品な色合い・・・さすが重要文化財!
 美術館は、どれもこれも素晴らしい作品で溢れている。私は、美術の鑑賞力なんて持ち合わせていないので、ただ、ボォ~とみているだけだが、心に残る作品が1つか2つあれば、それで「よし」としている。今日のように、風もなく、小春日和のさわやかな日は、ふらっと美しいものがみたくなる。


「イヌガラシ」

2014-10-26 09:27:38 | 山野草

「イヌガラシ」 (犬芥子) アブラナ科
 直木賞作家、葉室鱗 「蜩の記」。ようやく観た。毎日、時間と自由はたっぷりあるのに。映画のロケ地のほとんどが遠野。美しい自然の映像。それぞれの立場で凛として生きるさま・・・心豊かなひと時でした。
 さて、イヌガラシ。頭を悩ました草花であったが、拡大して一部を切り取ってみると、スカシタゴボウとだいぶ違うという事が確認できた。花期は、4月〜10月。日本全土に生える。花径4mm程度の、本当に小さな4弁の花弁が十字状についている。植物図鑑によれば、カラシに似ているというので、茎をかじってみたが、草、独特の匂いと味。今度はネットで調べてみると、果実から香辛料のカラシをとるカラシナに似ているが、似ていて非なるものの非(イナ)が転じてつけられたと書き込みにあった。葉は楕円形で縁がギザギザし、葉先はとがっている。果実はスカシタゴボウよりやや長く1.5cm位の長角果。クローズアップして、2種類比較してみれば違いは明確になるのだが、素人の私には、チラッと見ただけでは、名前を確定するまでに時間がかかってしまう。お騒がせなイヌガラシでした。忘れないようにしよ~っと!

「スカシタゴボウ」

2014-10-23 09:14:15 | 山野草
「スカシタゴボウ」 (透田牛蒡) アブラナ科
 本日は、二十四節気の一つである霜降。昨日から今朝にかけ冷たい雨が降っている。12月上旬の気温という。道理で、さむっ!
 田の畦や道端で、花の付き方や形などが、非常によく似た草花を見かけることがある。散歩中で、気にはかかっているが、つい足が先を急いで、ゆっくり観察することもせず、はっきりしないモヤモヤした気持ちが続いた。植物図鑑で調べてみても、いまひとつわらない。仕方なく、その、気にかかっている草を2種類摘んで比較し、図鑑とにらめっこ。同じような花の色と形、大きさ、葉の付き方など似ている植物は何種類もあるが、よーやく、よーやくわかりました。その名は、スカシタゴボウと ?。(次回をお楽しみに)。胸がスーッとおさまった。
 スカシタゴボウとは興味深い名である。花期は4月〜10月と長い。中形の2年草。タゴボウ(チョウジタデ)に似ているという。葉はギザギザがあり、結構深い切れ込み。果実はコロコロした円柱形。長さは1cm位の短角果。この時期は、花より小さな果実がバラバラ横に広がり可愛らしい。雑草で、目にも止まらないような、野に咲いている地味な花でも、2~3本摘んで、小さな花入れにさしておくと、結構愛らしい。

「ホウキグサ」

2014-10-20 09:18:51 | 山野草
「ホウキグサ」 (箒草) アカザ科
 束になり燃えるように紅葉したホウキグサ。全体的に、まだ紅葉が始まっていない庭で、この色はひときわ目を引く。名の由来は、この茎を束ねて、箒として利用したことからついた名。草丈50cm位。夏には、こんもりと、ボリュームたっぷりの、まとまった緑色の姿をしているが、秋にはこのように紅葉し、庭のアクセントとして可愛い。全体の姿をアップできたらもっとよかったのだが・・。種は「とんぶり」と言って東北の特産品になっており、「畑のキャビア」と言われている、と友人から教えていただいた。枯れた茎はホウキ、種は食用にと無駄がない。ところで、「とんぶり」は秋田の特産品だと知った。名は耳にしたことはあるのだが、食した事が、あるのか、ないのか記憶が定かでない。納豆やすりおろした山の芋など混ぜ合わせ食べると、プチプチした食感が楽しめるという。今度、旅したら求めてこよう。

「キバナアキギリ」

2014-10-18 10:51:27 | 山野草
「キバナアキギリ」 (黄花秋桐) シソ科
 連日、さわやかな秋晴れの良い天気。しかし、一日の気温差が10℃。空気も乾燥して、朝晩の冷え込みで、恒例の風邪もひきそう。秋がどんどん深まっていく。
 キバナアキギリは、草丈約30cmの多年草。本州、四国に分布し、山地の木陰、林のヘリなどに生育。どちらかというと、群れて咲いている印象。花期も長く、8月〜10月あたりまで。花は3cm位で、シソ科の特徴である唇形の姿が美しい。「キリ」は花の形が樹木の桐を思わせることからついた名であり、「アキ」は秋の花をつけるという意味のようだ。
 夫が、ブログをする時は、当家にある山野草は、ほとんどアップしてくれない。わざわざ山に行って撮ってくるのだ。「庭に咲いているのもたまには紹介してよ」とお願いしても、山に咲いているのとは風情が違うと言って取り合ってくれなかった。実際、山(ハイキング程度)を訪れる度に、その意味を理解した。自然の植物は、そこで生きている美しさと力強さであふれているのだ。可愛い山野草を見つけると心が揺れる。
 なお、アキギリはコトジソウ(琴柱草)とも呼ばれ、葉の形が、琴の弦を支える琴柱に似ていることからの名である、と図鑑には記してあった。

「モズ」

2014-10-15 11:13:26 | 野鳥
「モズ」 (百舌)
 昨日は、台風一過で関東は夏日、北海道では雪の日本列島。今朝の竹沼では、キツツキのドラミング。足を止め、しばし聞き入る。周囲4.5km。誰にも会わない散歩でした。
 数日前、「花ばかりでなく、鳥でも撮ってみたら?」と息子。ブログのタイトルが啄木鳥なのに、肝心の野鳥はカメラにおさめられない。「今日は何だかボーッとして・・・。ほら、リンゴの枝に止まっているスズメに話しかけたりして・・さっ!」と私。「ありゃ~、スズメじゃねえよ。モズだよ。」(大爆笑)確かに、スズメにしては大きいし、鋭いくちばし。リビングから窓にそ~と近づいて撮った一枚。単純にも、モッ君とニックネームをつけた。
モッ君は、自分のテリトリーを示すためか、キィーキィーと高鳴きをし、さかんに尾羽を振っている。目があい、私も手を振ってみた。ぜ~んぜん無視。漢字では「百舌」と書くように、他の鳥の声をまねることがあるという。モズは食肉性の鳥で、鋭い曲がった嘴をもっている。時々、木の枝に「はやにえ」を発見する。バッタやカエル、時にはトカゲなどを捕まえ、刺しておくのだ。その意味には、縄張り説、貯蔵説など諸説あるらしい。可愛い顔して案外獰猛だ。バッタもカエルも、おちおちしてはいられない。人間にとって、おちおちしていられないのは、やっぱり人間かも。百の舌、いや、もっと多くの舌を持って、堂々と、しかも、まことしやかに嘘をつくのだから。

「シュウメイギク」

2014-10-12 19:21:41 | 庭の花木
「シュウメイギク」 (秋明菊) キンポウゲ科
 大型で、非常に強い台風19号が接近しているのを横目に、午後はコンサートを楽しんできた。7月以来、久方ぶりの生演奏。まさに音を楽しむ素敵なコンサートでした。
 シュウメイギクは「菊」とあるのでキク科と思えばキンポウゲ科。原産は中国。というわけで、中国では「秋牡丹」(しゅうぼたん)と言うらしい。京都の貴船山に多いことから「貴船菊」ともいう。ちょうど今の時節はこの花が美しい。名前そのものの響きにも気品があり人気のある花だ。花径約5cm。当家ではリンゴの木の下にあり、木に負けまいとしてか、ひょろ長い。明日からの台風で倒れてしまわないだろうか。

「ホトトギス」

2014-10-09 13:47:46 | 山野草
 「ホトトギス」 (杜鵑草) ユリ科
 昨夜は、満月が地球の陰にすべて隠れるという皆既月食。各地で天体ショーのニュース。当家では、だんだんとかけていく月の姿が、ちらちら見える程度。それでも、雲間から輝く美しい月を、ちらっと見ることができ、ロマンチックな光景に心が動く。
 ホトトギスは毎年花を咲かせる多年草。野に咲く花が秋の情緒を奏でる。風情があるので、山野草として人気が高い。斑点のある花びらがホトトギス(鳥)のおなかにある模様に似ているため、この名がついたという。日陰を好み、乾燥には弱く、強い日差しなどには、葉が茶色になり傷んでしまう。家庭でも大変育てやすく、よく目にするが、普段は何気なくとおり過ぎてしまいがち。しかし、よく見れば、花の一つひとつは大変立体的で、個性的だ。
妹の家では、木陰の一等地に楚々と慎ましく花を咲かせていたが、当家では日当たりの良い所にある為か、楕円形の葉はやや痛々しい。しかし、茎は立派で「咲いたぞ~。どうだ!」と言わんばかり。アップした個体は山で出会った可愛いホトトギス。

「カヤツリグサ」

2014-10-06 09:46:24 | 山野草
 「カヤツリグサ」 (蚊帳吊草) カヤツリグサ科
 台風18号による大雨警報。畑は海のよう。水菜、カキナなどの葉物はすっかっり水に埋没。風もだいぶ強くなった。
 あちこちの道端、田畑でみられるおなじみのカヤツリグサ。草丈30cm位。根元には少しの細長い葉。その真ん中からスーッと茎を伸ばす。茎は節がなく、その断面は三角形だ。その茎を二人で、両端を持ってひき裂くと一本の茎が四角形になる。いわゆる蚊帳を吊ったような形となるわけだ。お若い方は、蚊帳なんてご存知ないかもしれない。昔は夏の必需品で、どの家庭でも網戸がないので、就寝時は蚊に刺されないよう、ネット状の蚊帳を吊ったのだ。もっとも、実家では、雷雨時でも蚊帳を吊り、皆でまとまってじっとしていた記憶があるのだが・・・?
 また、カヤツリグサ科といえば、パピルス。主に、ナイル川の流域に茂る大型のカヤツリ草の一種で、茎を縦に裂いて伸ばし、帯状になった茎を布の上で直角に並べ、さらに、湿った布で覆い、重石をのせて圧縮し、乾燥させ、一種の紙として使用した。紙(paper)の語源にもなっている。
 友人から、エジプト旅行土産に頂戴したが、パピルス紙は光にあてると茎の繊維が縦横に透けて見える。その上に描かれた象形文字(ヒエログリフ)は、書物で見るよりずっと美しい。「エジプトはナイルのたまもの」と古代ギリシアの歴史家ヘロドトスの名言どおり、古代文明の繁栄は素晴らしい。ちなみに、パピルスは前2500年頃からヘレニズム時代までつかわれていたという。






「アサギマダラ」

2014-10-02 12:34:06 | その他
 「アサギマダラ」 (浅葱斑) タテハチョウ科
 「赤城自然園」に神秘の渡りチョウ「アサギマダラ」が飛来しているとの情報を得、早速Aさんと出かけたのは昨日。赤城I、Cから車で約10分、赤城山西麓、約36万坪の広大な自然園だ。動植物が豊かで一年を通じて楽しむ事が出来る。夫と何度も訪れた場所だ。園内では、早速ツマグロヒョウモンチョウのお出迎え。シュウメイギク、サラシナショウマ、アキノキリンソウ、キバナアキギリ・・・数えたらきりがない。ゆっくり園内を散策。と、何と!四季の森のエリア、お花畑には一面のフジバカマが咲き乱れ、そこに、あの、「アサギマダラ」が集団で乱舞!その数は「ゾクッ」とするほどだ。翅が浅葱色、透明感があり頭まで斑。身体の割には翅が大きい。渡りチョウとして有名で、春から夏にかけ南から北へ移動し、秋になると南下するという。しかも、集団で。暑い所はあまりお好みでないようだ。
そして、初体験のマーキング。チョウを網で捕獲、あの薄い半透明の翅に、捕獲の日付け、A,P(赤城自然園の頭文字)、当地で何番目の捕獲かの番号を記入。再度放つ。それらが、遠くに飛び、再捕獲した人が赤城に連絡し、当家に教えてくださるというシステム。そうすることでチョウのルートが解るのだと教えていただいた。現在確認されているのは、赤城から何と1300km離れた喜界島だという。この生命力に脱帽です。
 出口に向かい、ふらふら歩いていると、猛スピードで私たちの前を横切ったリス君。走っては止まりを繰り返しながら、興味津々こちらの様子をうかがっていた。そのしぐさはとても愛らしく、微笑ましい。楽しい自然とのふれあいであり、晩秋にはもう一度訪ねたい。