Mr.トレイルのオーディオ回り道

「音質アップ」を目的として、
システム全体の「基礎的項目の見直し」に、
重点を置いて試行錯誤や実験をしています。

低域と中域のクロスについて

2009年11月07日 | ピュアオーディオ

最近のJBLのSPについて危惧している事が有る。古いSP、例えばパラゴンやオリンパス、プロ用の大型SPでは「低域と中域のクロス」は「500Hz」が採用されていた。

Hl901

これが1970年代の#4343や#4350辺りから4ウェイ化されたのを機により高い周波数に移行している様です。スロート径2インチのドライバーも#375では組み合わせるホーンによって「500Hz」と「800Hz」が推奨されていたが、#2440や2441辺りから音の重心が高い方の帯域をカバーするように変化をしている。高域を伸ばす替わりに低域側のエネルギーが小さくなっている。

Hyl21

最新のDD66000(エヴェレスト)も中域とのクロスは800Hzとなって、中音ドライバーで20000Hzまで出せる様になっている。

何を云いたいかと云うと「人の声の帯域」との整合性を「無視」し始めている点を気にしているのです。「人の声」の帯域は一般に「400Hz~5000Hz」くらいだと思います。クロスオーバー周波数が500Hzから800Hzに上がると云う事は「人の声」が「二つのユニット」から出てくると云う事です。しかも「コーン型」と「ホーン型」の異なる方式のユニットから出て来ます。

「オリンパスシステム」や「SP707Jシステム」でこの「クロス」の重要性を認識した事が有ります。例えばSP-707Jで「800Hz」でクロスさせた時は、「人の声が上下にブレる」、「声の質感に違和感を覚える」と云った事が有り、「500Hz」にするとこの2つの問題点がほとんど気にならなくなる。

707j1

2インチドライバーで500Hz付近から使うにはそれなりに「手の込んだホーン」が必要になるのだろうと思う。HL88,HL89,HL90とかつての2インチドライバー用のホーンは作るのが大変なくらい手の込んだものです。これが「800Hz」くらいになると「ストレートホーン」で使えるようになる。

単純に「コストダウン」の発想で、「音質」や「定位」、「質感」の改善のための「クロスの変更」ではないと推定しています。だから最新のSPには食指が動きません。

個人的に「理想的帯域分割」は3ウェイなら「低域:35Hz~400Hz」、「中域:400Hz~7000Hz」、「高域:7000Hz~120KHz」と考えています。400Hzが難しいならば「500Hz」でも良いと思います。

このクロスなら「人の声」が「中域のコンプレッションドライバー+ホーン」だけで取り出せます。この中域を2インチドライバーで受け持たせたのが「黄金期のJBL」だと思っています。