今回自宅のシステムのライントランスを交換して見てその凄さに改めて驚いています。
交換はパワーアンプとライントランスを一緒に交換したのですが、3B252Bアンプと6L6Gシングルアンプの力の差を承知していますのでこの音の変わり様は「ライントランス」の力量の差だと思います。
交換前のサウンドと比べれば「雲泥の差」が有ります。今まで低音の量感の不足に悩まされていましたが、更なる「音の厚みと深み」のある低音に変化し、量感も随分と増えています。
音のキレ・ヌケももちろん大幅に改善されている上に高域の伸びとスムーズさも良くなっています。今まで左chのヴァイオリンのヒスが時折気にかかっていましたがそれが全くなくなりました。今まで悩んでいたことが「ライントランス」の性だったと気づきました。
今まで使っていたライントランスも決して悪いトランスでは有りません。同じWEの戦前のものです。型番も同じでAとCの違いくらいしか有りません。
ライントランスは随分と試作や聴き比べをやってきました。タムラのトランスやタンゴ製、UTC22とやるうちに「大きいトランス程スケール感が大きい」と気づきました。それでWEのトランスに行き着きました。
WEのトランスで有名なのは111cと言うトランスです。一個2Kgも有ります。そこいらのトランスでは太刀打ちできません。音質比較でも音数やスケール感で圧倒します。
今回交換したトランスはよく知られているWEのライントランス 111cや119クラスでは出ないサウンドを出してきます。111cや119はパーマロイコアのトランスです。このトランスの音は「タイトなバランス」で音の厚みが薄いのです。「純鉄コア」のトランスを聴くともう戻れません。音の厚みが根本的に違います。
CDには是非WEの「純鉄コア」を使ったトランスが必要だと思います。CDP~プリに直接繋ぐよりはるかに良いサウンドになります。一種の「イコライザー」の役割をしてくれている様で、CDの再生がアナログのサウンドに変化します。
私もはじめは「余計な機器を入れる」事に非常な抵抗を持っていました。特に「伝送ロス」の観点から行けば間違いなく「ロス」の拡大になると思っていました。しかし、トランスの配線やプラグ・ソケットに細心の配慮をして実際に聴いて見ますと、「音数が圧倒的に増え、立体感が出てくる」のです。頭の中でいくら考えても出ない結果です。
そうやってWEのトランスにはまり込んで「より古いもの」へと向かい、それが間違っていないことを身をもって知りました。今回も「より古いもの」の勝ちです。WEは「良い仕事」をしてましたね。コストダウンの少ないものほど良いサウンドに繋がるのだと思います。