現在試作ケーブルを何種類も作り試聴を続けています。いずれも現状の「ルシファー」の情報量と同等かそれ以上のケーブルになります。
「音数」(情報量)の面で云えば、「ルシファー」はかなり限界値に近いと思います。それ以上の音数と云っても「激変」にはならない様です。CD機から送り出される「情報量」は有限だと思います。この限界値に近づいているのではないかと思います。
現在 ①低域の再生が得意なモノ ②高域の再生が得意なモノ ③低域・高域のバランスが取れているモノ の3種類のケーブルを作っています。と云うか「出来てしまった」のですが、「組み合わせる」と非常に面白い結果が出ています。
これまでは「低域から高域までを1種類のケーブルで再生出来る」ケーブルを目指していました。そうやって辿り着いたのが「ルシファーケーブル」です。ですから「何処に使っても良い」様に作っています。しかし、なかなか「ルシファー」の様に、低域から高域までをエネルギー感を持ってバランスよく再生出来るケーブルは易々とは出来ない様です。1種類のケーブルで何処にも使える様に完成度を上げないと販売は出来ないと思っています。
試作ですので、ケーブルの特徴をつかむ為に出来るだけシンプルに作成して、「地の音」を確認しておく必要が有ります。そうやって作りますと、「低域得意」・「高域得意」のケーブルが出来てしまったのです。
昨夜自宅でこの組み合わせをする事を思い立ち、実際に音出しして確認しましたが面白いですね。
最初は
A) 「中庸なケーブル」を使った場合
①CDP~ライントランス間・・・中庸なケーブル
②ライントランス~プリ間・・・中庸なケーブル
③プリ~パワーアンプ間・・・中庸なケーブル
④パワーアンプ~SP端子間・・・低域の得意なケーブル
バランスが良く、繊細感もスケール感もこれで良いのでは?と思わせる音質でした。
次に
B)低域の得意なケーブルを使った場合
①CDP~ライントランス間・・・低域の得意なケーブル
②ライントランス~プリ間・・・低域の得意なケーブル
③プリ~パワーアンプ間・・・低域の得意なケーブル
④パワーアンプ~SP端子間・・・低域の得意なケーブル
低域の力感や沈み込み等 「圧感!!」で聴いていて楽しくなります。(707Jでは低域が出難いので、こんな低域を聴いたのは初めてでした) しかし、高域の成分が不足している性か「空間表現」や「余韻の乗り」が少なく、弦楽器のストリングス等が奥まっていて、高域不足を感じてしまいました。
最後に対策として組み合わせて見ました。
C)組み合わせ実験
①CDP~ライントランス間・・・中庸なケーブル
②ライントランス~プリ間・・・高域の得意なケーブル
③プリ~パワーアンプ間・・・低域の得意なケーブル
④パワーアンプ~SP端子間・・・低域の得意なケーブル
試作ケーブル3種の組み合わせではベストな音質になりました。低域の力感も低域得意なケーブルのオンパレードには負けますが、それに近いサウンドです。中・高域も弦楽器にリアル感や余韻の乗り(残響感)が加わり、中庸のケーブルのみの組み合わせより、低域~高域のレンジが広く、深い味わいが出て来ました。これを聴いたら元へは戻れません。
早速、この結果をもとに「モニタールーム」の#620Aシステムと、RCA箱システムも1か所づつケーブルを替えて見ましたら、更に音質が上がっています。表現力が上がっていると云った方が良いでしょう。
試作ケーブルはまだまだ「初期評価」の状態です。これを「何処で使ってもOK」なケーブルに仕上げて行くには、アイデアと試作作業と試聴の繰り返しが待っている訳で、当分は「試聴」に明け暮れる日々が続きそうです。
しかし、今回の実験の結果は面白い事が得られました。個人的に「思い込みの常識の壁」が取り払われました。
現在進めている「試作ケーブル」をご紹介します。ようやく材料が確保できて、前回の試作品の完成度を上げています。まだ単体のケーブルはご紹介出来ませんが、実際に結線した写真を掲載します。
非常に取回し性が良くなる様に考えて、「細いケーブル」を使っています。すべて内部は「W線仕様」です。電源ケーブル・ラインケーブル・SPケーブルと全てのケーブルを交換しています。
一番の関心は「音質」でしょう。まず「音数」については「ルシファー」を越えています。低域と高域のバランスも十分に取れて来ていると思います。特筆すべきは「高域の伸び」と「分解能の高さ」だと思います。今まで「CDの高域が耳に付く」のはソフトが悪いか?機器が悪いか?と考えられていましたが、実は「ケーブルの材質」に再生できない不具合が有った事が認識できます。CDの高域で歪みっぽい(ジッター歪み)と捉えられていた帯域がスッキリ伸びていますので、非常に聴き易くなっています。ここまで高域が伸びるのか?と感じられるはずです。
ここまで細いケーブルに出来た理由は「材質」の変更に有ります。OFCや7N銅線等では伝送できない帯域をクリアに再生します。
上の写真は「細線化したルシファー」での配線です。「試作品」は外観的には、今までの「ルシファー」配線と比べますとバックスペースを必要としません。細線化した「ルシファー」の更に半分程度の線径になっています。
最終的な音質判断に入っていますが、「ルシファー」のサウンドもなかなかハードルが高く、「生演奏の自然さ」では、手の込んだケーブルの分だけ1歩リードしているのではないか?と思っています。若干「質感の差」が有ります。この辺は「好みの領域」と云っても良いかもしれません。
昨日入荷したNo380SLの馴らし込みに入っています。到着時から累計5時間程鳴らし込んでいますが、徐々に音数や音のキレ・ヌケが良くなって来ています。しかしまだまだ時間がかかると思います。現段階では交換前のTrail仕様管球プリのサウンドに届いていません。
前オーナーさんがどの程度のケーブルを使っていたかで「活性化状況」が変わって来ますが、レビンソンオリジナル電源ケーブルを使って有ったとすれば、殆ど「潜在能力」を使ってなかった事になります。
電源ケーブルを「ルシファー以上」のものにしていますのでこれから「アンプ内の拡幅工事」が始まります。電気の流れる道を「拡幅工事」する訳ですので、完了するまで約半年は見ておかないと本当の能力は出てこないと経験で知っています。
先日注文していたレビンソン プリ No380SL が入荷しました。早速接続して聴きだしています。
付属の電源ケーブルで音出し確認です。(XLRケーブルはSCX-24ルシファー)
「なにこれ????」、今までのTrail仕様管球プリの音に負けている!!。
仕方なく電源ケーブルを今まで使っていた「試作品」に交換。パリッと一皮剥けて「スピード感とキレの有る音」が出始めました。これで一安心。これから馴染ませて行きます。
今回のプリでレビンソンの幾世代か前のシステムが出来上がりました。新品は高くてとても買えません。
今回使っている電源ケーブルは「試作品」です。初めて写真を出します。こんなに細く、取回しが良いのに「ルシファー」を超える情報量が出て来ます。
壁コン側もこの様に大変すっきりしています。
レビンソンNo331に使った場合、この様に大変すっきりとします。今までの「ルシファー」極太配線がうその様なサウンドがします。
電源ケーブルとSPケーブルは11月には発売が出来そうだと考えています。問題はラインケーブル(XLR・RCAケーブル)で制作が非常に難しいのです。
肝心のNo380SLの入ったサウンドですが、現状では「大容量伝送」に対応できていませんので、購入価格に見合ったサウンドはしていません。音の広がり感や音数が大幅に不足しています。「ふん詰まった」サウンドです。どんな機器も最初はこんなものです。このプリのサウンドを評価するには最低1ヶ月は鳴らし込まないと片鱗が見えて来ません。本当の評価は3ヶ月先・半年先です。No331パワーアンプも2カ月経ってようやく実力を出しつつ有ります。繋いで直ぐに実力を発揮できる程甘くは有りません。
素晴らしいお部屋に鎮座しています。横にゴールドムンドのアンプもさりげなく置いて有りますし、素晴らしい機器たちが並んでいます。
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ようやく音が落ち着いてきましたので、少しご報告させて頂きます。
ずいぶん音がしまってきました。音質を評価できるレベルになってきました。NordostのチェックCDを使って、スピーカー位置を調整しました。スピーカー位置を動かすと、また少しだぶつき気味になりましたが、そのまま聴き続けることにしました。
設置後とはガラッと音質が変わってきました。音場は広いまま、楽器の定位がよくなってきました。ボーカルはピシッとセンターに定位しますしかし、低音がしまりすぎてきた感じです。NordostのチェックCDを使って、スピーカー位置を再度調整しました。スピーカー位置を動かすと、また少しだぶつき気味になりました。キャスターを動かすと、低音のしまり具合が変わる様です。落ち着くまで数日かかるように思います。そのまま聴き続けることにしました。
音場は上下、左右とも広いまま、楽器がビシッと定位します。ボーカルは濃密になり、口元が小さくなりピシッとセンターに定位します。耳ではなく、体で感じるハイスピードな低音が出てきた感じです。低音のスピード感は、純正スピーカー台のレベルにまで戻ってきた感じです。ようやく音楽の背景に静けさが出てきました。
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喜んでいただけた様です。床面は一見平面に見えますが、数ミリの段差が有るのが普通です。部屋の中を移動しますと必ずトレールが「平衡度調整」を自動的に行います。その為、移動してからしばらくは落ち着きません。トレールの特徴がそのままサウンドに出ているレポートで、非常に耳の良いお客様だと感心しています。
サンスイ オリジナルの状態では SP-707J SPは未完成のSPです。D130(中期型)+175DLH+N1200ネットワークの組み合わせで出来ています。
オリジナルの状態ではD130の質感があまり良くありません。8Ω仕様の中期型では音の深みや音数が足りません。中高域の175DLHも1200Hz以上を受け持つ様に設計されていますが、エネルギー感も音数も高域の伸びもまったく足りません。175DLHはツィーターでしか有りません。この為中域の音が奥まって聴こえます。ネットワークのN1200も今一の音質です。
SPの全体の姿では、菱格子のサランネットと、しっかりした作りの箱で非常に魅力的に見えるSPですが、オリジナルそのままではとても価格に見合った性能は有りません。私は単純に「ウーハーボックス」として捉え使っています。
そこで、私のシステムではD130は16Ω仕様の初期型、中域は#375+ゴールドウィング+ハイルドライバー、高域は175DLH+#2405+デッカSW8+ビクターリボンにしています。ネットワークは#3160+#3105に変更し、内部を音質対策しています。
ここまで対策しても「低域の量感」が不足します。このサンスイ707J箱のバックロードホーンは箱鳴りはするのですが「低音が出ない」箱です。その代わり、箱臭さは随分と少ないと思います。どちらかと云えば「深みの有る軽い低音がする」と表現した方が良いと思います。
このSPシステムを初心者の方が使ったら、「ダメSP」の烙印を押して直ぐ様放出される事でしょう。このSPは長いオーディオ人生をして、難しいSPを鳴らせるテクニックを持った人でないと手元には残らないSPだと思います。まだ私も挑戦中の段階です。アキシオム80と似た様なSPだと思っていただければ理解が早いかもしれません。
箱やユニットで出せる低音に限界が有りますので、ケーブルやアンプで不足分を補う必要が有ります。よほどアンプやケーブルを充実させないと使い物になりません。
ケーブルの試作品を評価するには逆にもってこいのSPでも有ります。ケーブルの低音性能が悪いと「低音が出ない」症状になります。高域性能が悪いと「バランスと質感が揃わない」症状になります。
今回の試作ケーブルもこのSPでの評価が最終的な判断になります。今回もこのSPへの水平展開段階で中断になりました。機器やケーブルの交換にものすごくシビアに反応します。
バックロードホーンと云えばタンノイのオートグラフやウエストミンスター等で「低音が豊か」な方式だと思われますが、こと707J箱ではD130との組み合わせも有ってなかなか「低音豊か」とは申せません。先にも言った様に「低音が出難い」箱です。
しかし、上手く鳴らし切ってやりますと「家庭で使うにはもってこいの質感」を出します。軽く弾む低域と豊かな中域、ヌケ切った高域の組み合わせを目指したいと思います。肩ひじ張らずにクラシックもJAZZも気楽に高音質で楽しめます。
ケーブルの試作は「いつまでに、どの程度のものを・・・」と決めて製作すると早く完成します。しかし、この考え方では「サプライズ」のないものになりがちで、大手メーカーに有りがちな考え方です。上司の命令で作る場合です。
私の場合はまず「自分の装置が良いサウンドを奏でる事」を優先します。自分が気に入らなければいつまでも・・・で期限はありません。
今までの経験から商品開発は、「5W1H」を決めての合理的な考え方よりも「自分の欲しいサウンド」を手に入れる実験の積み重ねをした方が「よりよいもの」を作れます。「5W1H」の考え方には「サプライズ」は有りません。
自分の制作方法では「サプライズ」に次ぐ「サプライズ」を重ねて出来上がります。だから先が読めません。その代わり「とんでもない商品」を作る可能性が有ります。
「ルシファー」もそうやって「あそび」の間に出来た商品です。ケーブル作りで遊ばないと良い物は出来ません。
現在の状況も「5W1H」を考えすぎたかな?と反省しきりです。どこのメーカーも個人もやらない事をしないと意味が有りません。
試作のケーブルの試聴評価を続けています。現状ではラインケーブル(XLR)のみ弱くて低域の量感及び最低域が出ない問題が残っています。
ALTEC#620Aシステム(レビンソンアンプライン)とRCA箱システムのはほとんどのケーブルを「試作品」に交換しています。この状態でラインケーブルのみ「ルシファー」にしますと完成の領域に達します。
今週からこの「低域の改善」に着手します。注文していたケーブルがまだ到着しないので着手できない状況が続いています。
試作品の音の傾向は「高域の伸びとキレ・ヌケが抜群」でルシファーさえ届きません。全体に「音数」がルシファーより多い状態でハイ上がりな感じです。しかし、音のまろやかさと音数の多さでは際立っています。バイオリンの協奏での暴れがほとんど有りません。横方向への音の広がりは特筆すべき内容です。バイオリンを苦手としているシステムには格好のケーブルとなります。
かと言って「ルシファー」のサウンドが陳腐化するわけでもありません。音のエッジが立って「音楽の楽しさ」が伝わってくるサウンドはやはり魅力的です。こちらの方が低域の押し出しやキレ・ヌケが良く、聴いていて「音楽に感動」出来ます。その点はご安心ください。「生演奏」に近いのはこちらの方だと思います。
今回の試作品は「ルシファーを越える音数」(情報量)と「まろやかさ」(より自然な感じ)、それに「取り回し性の大幅改善」と「低コスト化」にあります。実際に自宅やモニタールームではラックを壁にぴたりとくっつけられる取り回しのよさが非常にうれしいです。
試作品の開発も後一歩のところに来ている訳で、何とかクリアできるアイデアを持っていますので、次回発注分のケーブルが入荷すれば直ぐに対策実験に入ります。
比較対象の為、「オリンパスシステム」は「オールルシファーライン」をキープています。今後はラベルの発注と名前の選定に入ります。新ケーブルは「スターシリーズ」と名前を考えています。希望としては11月中に商品化したいと願っています。あくまでも希望です。
試作ケーブルは明日できるかもしれませんし、3ヶ月先になるか、半年先になるか、1年後となるか日程は立てられません。一般の企業なら「いつまでに・・・」となるのでしょうが。当方は「最高に良いもの」が出来るまでは合格のサインは出しません。楽しみにお待ちください。