今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

原発は東西冷戦の負の遺産

2011-11-22 01:21:38 | 環境劣化と人類延命の智慧
 「原発仕分け」が始まった。電源三法交付金が仕分けの対象になりそう
である。そもそもこの三法は、1973年の第一次オイルショックの翌年、火
力発電以外の電源を開発することを目的として制定されたものである。あ
くまでも安定した電力確保というのが表面上の目的としてである。しかし、
渡りに船とばかりに、当時の自民党政権は原発を主体として三法を活用し
たのである。。真の目的は核開発の原料であるプルトニュームの獲得が目
的だったと思われる。かくして原発は日本の国策となったのである。当時
はまだ東西冷戦の時代で、自前の核を持ちたいという政権党の野心が透け
て見える。しかし、米国は日本が自前の核を持つことを警戒したようであ
る。その一方で、ソ連や中国に対して、日本が核武装する可能性があると
して、東側の譲歩を引き出す手段に利用した形跡があったのも事実である。
このように原発は東西冷戦の負の遺産の一つと云えよう。

 今や、冷戦の時代は去り、日本が原水爆を持つ必要性はなくなった、と
いっても過言ではないであろう。したがって、原発の必要性がなくなった
云えよう。言葉を変えれば、プルトニュームなどはすでに確保したという
ことを意味するものでもあろう。

 今回の福島の原発事故を見てもわかるように、放射能汚染は収束する見
通しさえついていない。さらなる汚染拡大が心配されているからである。
第一、ザルに水の状態は何ら変わっていないと思われ。また、除染された
汚染土の処理方法や場所さえ確定できないでいる。さらには海中のプラン
クトンに高濃度のセシウムが検出されたと報じられている。特に底生生物
は海底にたまった放射性物質を取り組む可能性がある、とも報じられてい
る。今後、魚介類が心配である。(毎日新聞。10月16日。29面参照)。

 これ以上原発を続けると、日本人の健康と寿命を害するのは明白である。
原発をすべて止め、地熱、太陽光、風力などの安全な発電に切り替えるべ
きである。日本の活火山は110ある。世界の活火山の約10%が日本列島にあ
るのである。こんなに無料の資源に恵まれた国は他にない。マグマ発電を
開発すれば、一切の発電は地熱だけでも十分すぎることになる。日本は自
動車も全部電気自動車とし、家庭もオール電化にすればいい。そうすれば、
わざわざ遠い他国からタンカーで高い石油を運んでくる必要もなくなる。

 国会の仕分けも大事であるが、原発やTPPともに、民主党、自民党、他の
政党ともに賛否は割れているようである。「原発」と「TPP」を主体とした
政界再編を考慮すべきではなかろうか。野田政権がどちらにカジを切るの
かは、自ら判断すべきであろう。