岡山市内の建設会社でベトナム人技能実習生の男性が2年間、複数の日本人従業員から目を覆いたくなる暴行を受け、怪我をしていたことが、1月に明らかになりました。
技能実習生をめぐる事件や問題は全国各地で起こっています。制度自体の問題とともに、そうした人権侵害をうむ日本社会のあり方が問われます。
そして技能実習生を受け入れる自治体としては、労働者ではなく住民として、彼ら彼女らが安心して暮らすことができる環境・体制を整えていく必要があります。
そのためには、彼ら彼女らの暮らしを含む実態を直視し、問題点を把握するところから始まるのではないでしょうか。
・岡山市の外国人人口は12,769人(2022.1月末)、うち技能実習生として登録されているのは、1,775人(13.9%)。
・岡山労働局によれば、ハローワーク岡山・西大寺管内で、技能実習生を含む外国人労働者を受け入れている事業所は、1,477(2021.10)。技能実習生を受け入れている企業のみの数はわからない。
・岡山市には、技能実習生からの就労にまつわる相談はない。
・2022.1.に岡山市として初めて、「外国人材受入セミナー」を開催。外国人労働者を受入れている、または検討している県内の事業者・監理団体向けです。
・今回の暴行事件を受けて、経済諸団体に、外国人技能実習機構」の「技能実習SOS窓口」チラシ(添付)を市内事業所に通知依頼(技能実習生への周知をと)。(産業政策課)
以上は質問からの答弁ですが、暴行事件を受け、上記のほかに、岡山市は次のことを行なっています。
・人権推進課は、企業が人権講演会を市に依頼するときのテーマに「外国人市民」を加える。また、相談窓口一覧リーフレットに、技能実習生などからの労働相談窓口を増やす。
・国際課は、上記のチラシ等を、多文化共生ネットワーク会議にメールで添付。
大森市長はこの暴行事件に対して、次のように話されました。
こういうことは、あってはならない。今回の原因は、技能実習生を受入れた企業の従業員に人権意識が欠けていたというように思う。粘り強く啓発を行い、人権意識が浸透していくようにしなければならない。
外国人総合相談窓口をおき、ベトナム語通訳を配置している。また、「外国人技能実習機構」が設置している相談窓口のチラシを置くようにした。
市の役割として、啓蒙・啓発を精一杯していきたい。
この1月に行われた「外国人材受入セミナー」。私は後から知って参加していませんが、暴行事件にも触れられ、とてもいい内容だったと聞いています。
また、参加事業所からの技能実習生受入への悩みや戸惑いなどの声もあったとのこと。今回はオンラインでしたが、リアルだと参加事業所同士の交流もできたことと思います。
岡山市は、技能実習生受入れ事業所を把握していませんが、セミナーを通して出会う事業所から実情がつかめてくると思います。
いいセミナーがもたれてよかったなぁと思いますが、「岡山市多文化共生社会推進プラン」には、2008年に初めて作成されたときから、「関係機関等と連携し、外国人の就業環境の改善に向けた連絡調整」という項目があり、14年目にして初めて事業が行われました。
しばらく前から開催されていたら、少しでも受入事業所にいい空気が流れていたかもしれません。
全国のなかには、プランの進捗状況を専門家を交えた第三者組織を作ってチェックしている自治体があります。かねてよりそのような機関が私は必要だと思っています。
岡山市に暮らす技能実習生たちの悩みが、日本語が話せないことや、地域とのコミュニケーションの機会がないことに気づき、支援を行う民間グループがあることを私は最近知り、敬意を表したところです。
今回の事件の企業は南区だそうです。日本語教室の多くは北区です。日本語教室とともに、「やさしい日本語教室」などが公民館など市内のアチコチの場で開催されていくことで、地域でのコミュニケーションが進んでいくことと思います。
地域での知り合いができると、相談のチャンネルが増えます。今回の事件は、結局、福山市にあるユニオンにつながることで明らかになりました。岡山市の相談窓口が広く知られ、有効に機能するようにと思います。
今回の事件を知りショックとともに、国の制度上の問題は大きいけれど、ともに暮らす住民・友人として、多文化共生社会への取り組みを着実に進めること、全市に広がることの必要性を痛感しました。私が若い頃は、「岡山あいフェスティバル」という大きな国際フェスティバルがあったのですよね。
多文化共生社会への眼差しのベースは人権にあります。
市長が言われた、粘り強い啓発での人権意識の浸透は、学校教育はもちろんのこと、地域での外国人との出会いのなかで、具体的に進んでいくと思います。来年度、「やさしい日本語教室」は少しずつ市内で展開されていくとのことで、期待しています。
なお、岡山連携中枢都市圏における来年度からの5年間のとりくみ検討のなかで、「外国人コミュニケーション支援」事業があります。暮らしの環境を企業への働きかけも含めて整えていくことが話されているようで、また、決まったらお伝えします。こちらも期待しています。(政策企画課)
質問時間が短くて、十分に伝えることができなかったので、補足しながらのアップです。長くなり、失礼をしました。