即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

首相のサラリーマン化

2008年09月09日 22時05分27秒 | 雑感
NHKが行った世論調査です。
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福田総理大臣が辞任の理由を「新しい布陣のもとで政策の実現を図るため」などと説明したことについて、
「納得できる」と答えた人が21%だったのに対し、
「納得できない」と答えた人は74%でした。

福田総理大臣の辞任のしかたについて尋ねたところ、
「適切だ」が14%だったのに対し、
「適切でない」が82%でした。
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皆、なんだかなあ、いい加減にしろよ、って思ってるわけですね。

これは昨日の毎日新聞朝刊の「風・知・草」です。
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『とまらない「好感度」政治』=専門編集委員・山田孝男

 自民党新総裁には「脂ぎっていない、さわやかな人を」とテレビのコメンテーターが注文をつけていたが、逆だと思う。最近の総裁の欠点は脂ぎっていることではなく、脂が足りないことなのだ。福田康夫は「あっさり系」だった。

 福田が、そのみじめな退陣記者会見でささやかに誇った実績の第一は「道路財源の一般財源化」だが、同意できない。福田は「方向性は打ち出せた」と言ったが、方向性なら安倍晋三も打ち出していた。

 一般財源化のツボは関連法の改正だ。法改正は、多くの利害関係者を背景にした政治家や官僚との厳しい闘争を経て、ようやく成るかどうかの難事業である。その保証がない。06年暮れ、安倍は法改正の与党合意をまとめたが、参院選惨敗を経て失脚し、合意は消し飛んだ。それとどう違うのか。まったく変わらないと思う。

 靖国神社に参拝せず、日中外交を改善・安定させ、歴史認識をめぐる両国世論の角突き合いをある程度沈静化させたことは、福田の最も自負するところだろう。だが、「外交の福田」は虚名に過ぎない。

 外交だけが得意な政治家というものは存在しない。外交と内政は一体だ。「国際協調と日米同盟が大事だから新テロ対策特措法の期限を延長する」とあれだけ力説していた福田が、退陣記者会見でそれに一言も触れなかったのはなぜか。

 あえて、そんたくすれば、福田は国際協調・日米同盟よりも自分の散り際の美学、カッコつけにこだわった。その演出に成功したとは思えないが、自民党総裁選を民主党代表選にぶつける手練手管を誇った。

 裏を返せばボロボロになっても旗印を守る執念を欠いた。順風に乗り、逆風から逃げる殿様総理の本質が出た。

 野心のない福田は周囲から推されて首相になった。52歳の安倍がもろくも倒れた時、71歳という福田の年齢と堅実なイメージは円熟と安定を思わせ、総裁選で圧勝した。

 福田政権の基盤は、安倍が倒れたその刹那(せつな)、世論に投影されたイメージに群がった烏合(うごう)の衆だった。それゆえ、トップが何を言おうと嫌な話は受け入れないし、逆風が吹けば先を争って逃げ散らかす--。

 準備に準備を重ね、精魂傾けて戦い取った政権ではないから、乗った側にも支えた側にも執着心がなかった。

 退陣表明を受けた毎日新聞の緊急座談会(3日朝刊)で中曽根康弘は、
「首相のサラリーマン化」を嘆き、「誰かが有利になると、ダアーッと寄って行ってしまう議員の浅さ」と「同志を作る努力よりもテレビのワイドショーに出る方を選ぶ政治の軽さ」を批判した。

 同じ座談会で政治学者の御厨貴は「権力政治の粘りとか凄(すご)みが政治を形成していることを忘れている」、飯尾潤も「権力闘争をしなければ同志の輪が固まらない」と同調した。論客陣の警告もむなしく、後継候補たちはテレビ出演を競い、政治家集団の重み、粘り、凄みを問うどころの話ではない。

 90年代初頭の冷戦終結とソ連崩壊は日本の野党再編をもたらし、自衛隊の海外派遣に道を開いた。米国の落日と世界多極化はこれに匹敵する歴史の大波であり、自民党を含めた政界の大再編を予感させる。

 このまま人気者探し、勝ち馬探しで終われば自民党は再生ではなく崩壊に至る。タガの外れた総裁選を見るにつけ、そう思わざるを得ない。(敬称略)(毎週月曜日掲載)
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他にやる人が居ないので、(とりあえずつなぎで)、ここはひとつ頼むよ、

あんたしかいないよ、なっ!

まわりがちゃんと支えるし、もし辛くなったらすぐ次の体勢を作るから。

ってことで、野心も使命感も執念もなく、押し出されるようになった。

無難だし、問題起こさなそう、一応の見識やビジョンもある。

そこそここなせるだろう。

敢えて敵を作るようなことはしないだろう。

まあ、なんとかうまくまわっている(ごまかせている)時ならいいけど、肝心な時、勝負の時、背水の陣の時、旗を振れない。
旗を振る勇気も力もない。
もとより、その気持ちがない。

「裏を返せばボロボロになっても旗印を守る執念を欠いた。順風に乗り、逆風から逃げる殿様総理の本質が出た。」

ほんと、こういうことですね。

でも、こういうこと、ビジネスの世界でもそうだし、現代日本社会の現象、特徴ではないかと思う。

執念や、情熱を持った経営者やリーダーが少なくなっている。

ほどほどに、バッドマークつかないくらいにこなせれば、任期をまっとうできれば良し、という生き方が蔓延しているように思える。

「一億総サラリーマン化。」
「一億総役人化。」

それが高じて、一国の首相までもがそうなっちゃったら、悲劇です。

でもね、こういう時は皆こう言うんだけど、

もっと個性が強くて、ギラギラしていて、俺について来い、みたいな首相が現れたとしたら、

また世論はつべこべ言うわけでしょうね。

世論を無視してる、
バランス感覚がない、
権力の座にしがみついてる、

って。
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3 コメント

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だから、なめられる ()
2008-09-09 22:40:47
 納得できない時期の辞任で、「投げ出した」という批判で、ほぼ一致した世論でした。自民党に対しても、「無責任」「信用できない」という評価が強くなったはずでした。
 ところが、後継の自民党総裁争いで、立候補者が乱立し関心が高まると、自民党支持率が上がりました。批判されたはずの退陣で、当然、自民党の支持率も下がるべきなのに……

 だから、政治家になめられるんです。だから、選挙に勝さえすればいいという政治家が幅を利かせるのだと思います。
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やっていることが (振られ飛車)
2008-09-11 23:15:39
昭和初期と同じですね。坂の上の雲の先には官僚化した軍人がいました。
太平洋戦争も無責任にサラリーマン化したので起こしえたのかもしれません。

>個性が強く、俺について来い見たいな首相
そりゃ、小泉ですか?それともなにわのヒトラー、橋下徹ですか?
返信する
コメント、ありがとうございます。 (nanapon@サラリーマン)
2008-09-15 12:56:57
★英さん、こんにちは。

> ところが、後継の自民党総裁争いで、立候補者が乱立し関心が高まると、自民党支持率が上がりました。批判されたはずの退陣で、当然、自民党の支持率も下がるべきなのに……

はい、でももうばかばかしいってわかったんじゃないでしょうかね。

> だから、政治家になめられるんです。だから、選挙に勝さえすればいいという政治家が幅を利かせるのだと思います。

いろんな意味で、大衆、市民、世間、ってなめられてますよ。そんなもんじゃねーだろ、認識変えろよ、って言いたい局面いろいろあります。また、ブログネタ増えました。

★振られ飛車さん、こんにちは。

>昭和初期と同じですね。坂の上の雲の先には官僚化した軍人がいました。太平洋戦争も無責任にサラリーマン化したので起こしえたのかもしれません。

あー、そういう解釈もありますか。すごい、でかい話になってきた。

>個性が強く、俺について来い見たいな首相
そりゃ、小泉ですか?それともなにわのヒトラー、橋下徹ですか?

身近なイメージとしては、田中角栄ですかね?
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