普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

地域主権は万能薬か

2011-02-26 13:23:32 | 地方分権と再生

 名古屋市の河村さん、愛知県の大村さんの圧勝でまた地域主権の動き、そして既成政党特に自民・民主の両党への失望などがクローズアップされました。 (私は半世紀に亙り政権の座にあった自民党なら判ります(勿論頑張って貰わねば困りますが)が、政権奪取直後の清新であるべ民主党はこの事態を深刻に受け止めるべきと思うのですが。)
 そして大阪の橋下さんの地域政党の「大阪維新の会」結成も拡がりを見せ、河村さんの「減税日本」、大村さんの「日本一愛知の会」となり、はては民主党の原口さんまでが(中央と地方を睨んだ)「日本維新連合
を立ち上げました。
 首長の許に政治団体を作る動きに就いては、マスコミから首長独裁に繋がるとして批判されているようですが、首長が如何に高い理想を持っていても、彼らとは別に選ばれた地方議会議員がなかなか動かないと言う実情を打破したいと言う理由もあるようです。
・地方の議会の問題
 この問題が起こる度に思い出すのが私の住む北九州地域にある中間市と北九州市の合併のゴタゴタです。
 平成15年から大島忠義市長の時代に北九州市への編入合併の動きが本格化し、平成16年1月15日には、北九州市・中間市合併協議会が設置された。法定協議会の中では、現中間市域に当分の間ひとつの行政区を置くこと、中間区の議員定数は定数特例を採用し3人とすること、合併の期日は平成18年3月31日とすることなどが決定されていた。
  10月31日に住民投票が行われ賛成多数(1万6263票、反対7246票)の結果が得られたが、議員の在任特例が適用されず、北九州市主導で進められる合併協議に対し不満と不安を抱くようになった中間市議が12月24日市議会本会議において、冒頭に投票方式を無記名にて実施する要求を提出し可決、続いて合併議案を無記名投票にて否決し、平成の大合併における北九州市との合併は白紙に戻った。(中間市 Wikipedia 
より)
 詰まり中間市議会のそれまでの議席19を北九州市が他地域と同じ基準の3議席に減らせとの要望に反発して、住民投票の結果を無視、しかも市民の市議個人への反発を恐れて無記名にして合併を否決してしまました。そしてそれに対する反対運動派の動きの拙さから現在のままに至っています。
 地方議会の一番の問題点は国会と違って、
・地域の人達が立候補者の名前から人柄など殆ど知らない、逆に良く知っていれば狭い地域の縁などで選んでしまうことから、(立派な人もいるが)首を捻る人が当選してしまう可能性が大きいこと、
・国会と違って議会でどんな首を捻るような議員の言動があっても、阿久根市のように余程酷いことでもそない限り、地域の新聞やテレビでも殆ど報道されないこと
です。
 だから地方の議会は事実上の密閉空間のなかで、市民の全く知らない議案が通過しても、いくら彼らが議場で眠っていても、僅かな議会開会日数でも、そして開会以外の日はいかに遊んでいても、その癖市民の平均収入の数倍の収入があっても、河村さんの派手な活動のように余程のことが無い限りは市民が知る由もありません。
 そんな中で高い理想を持つ首長が如何に議会対策に苦労し、橋下さんなどが自分に似た意見を持つひとを議会に送り込みたいと言う気持ちになるのは良くわかります。
・首長自身の問題点
 然し首長自身の問題もあります。
 最近までの報道を賑わし、それなりに頑張ってきたのは、都道府県で言えば、東京の石原さん、大阪の橋下さん、宮崎の東国原さんくらいの人達しか思い浮かびません。
 その他ににもマスコミには出ないかもしれないが大きな実績を上げていると人がいるとしても数人しかいないと思います。
 その他は当初の意欲はべつとして、結果的には前例を踏襲、可もなく不可もないやり方で任期を終えている人達が大半です。
 その様な人達が地方分権として紐のつかない交付金を貰って、都道府県をどうするのか眼に見えています。
 それは今までの前例のように政府から如何に交付金を分捕るかに殆どのエネルギーを費やすのは容易に想像できることです。
 そして仮に頑張って地方の財政を改善したら、交付金制度を余程上手く作らない限り、(乏しい政府財政の中で)交付金は減らされるに違いありません。これでは地方自治体の改革意欲を無くすだけです。
・自治体の住民の意欲
 北九州市の副都心とされる黒崎の駅前の商店街が北九州市の他の条件の悪い地区に比べて大きく衰退しています。唯一頑張っているのはパチンコ屋だけです。
 今の民主党出身の北橋さんの前は、通産省から来た末吉さんが黒崎地区の開発を計画し、地域の人達からの意見を纏め第三セクターのコムシティーを作りましたが直ぐ破産しました。
 北橋さんに変わってからも何度も地域の活性化として、色々の企画がありましたが、総て市か商工会議所の企画したものばかりです。
 地域の人達の顔が見えないのです。
 周辺地域の人達、商工会議所の人から出てくるのは地域の人達のやる気のなさへの批判ばかりです。

 地域主権の政策の成功の鍵は、地域の人達、地方議会の議員、そして首長のやる気と適正な交付金制度などの政府の政策です。
 それを政府の官僚のやり方が間違っている、地方の人達の言うことが総て正しいと言う、日本人の何時ものレッテルを貼る考え方で物事が進んでいるような気がします。
 地方分権が上手く行けば日本全体もよくなるが、上手く行かなければ夕張市の二の舞になり、住民も困るが、政府としても生活困窮者への生活保護費の増額にも繋がる厳しい制度で、必ずしも地方分権から日本にバラ色の世界が拡がる訳ではないことを知るべきだと思います。

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