普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

村民にボーナスを配る村・日本の農業保護政策

2011-02-04 14:26:43 | 農村問題

   昨日のテレ朝の「報道ステーション」で「村民にボーナスを配る村、秘密は個性派の名産品、国の補助金に頼らない」と言う番組紹介に載せられて、鹿児島県の柳谷と言うののユニークな活動を見て、ネット上でその状況を調べて見ました。
・柳谷の概要
  柳谷(やなぎだに)は、鹿児島県鹿屋市串良町上小原にある集落。約300人が居住。通称「やねだん」。主要産業は農業と畜産。
・リーダーの豊重哲郎さんの経歴
 東京都民銀行よりUターンして串良町上小原でうなぎ養殖、串良町上小原校区公民館長
 竹の額縁、さといも焼酎、きんかん初恋キャンディーなど、足元にある原料で商品開発

活動の歴史 (下記の活動は特記している以外は総てコミュニテイーの人達の無償の協力によるもので、国や地方自治体からの補助は全く受けていないことにご留意下さい。)
昭和41年:豊重さんやねだん公民館長となる
昭和43年:「東京ドームでイチローの試合を観戦する」のを目標として、休耕畑を高校生とともにサツマイモ畑に変え収益は33万円で、東京ドームではなく福岡ドームで試合を観戦、以来、サツマイモ栽培は住民総出の作業となる(高校生を最初に地域活動に引き込んだことに注目)
昭和54年:豊重さん 串良町上小原校区公民館長就任
昭和60年:民間主導型「串良やったる会」結成
平成 9年:カライモ生産活動
 異郷に出た子どもや孫からのメッセージ放送開始
平成10年: 活動拠点「わくわく運動遊園」完成、高齢者対象のリハビリコースの設備
平成11年:地域の子どもが通う中学で暴力事件が発生、。「おはよう声掛け習慣」など地域の子どもに眼を配る運動を始め、それが中学校地域全域まで拡がる。
平成12年:発酵性の強い土着菌製造・活用の開始
平成12年:小中学生対象に「寺子屋」運営開始、教師はボランティア、費用は地域で負担平成13年:まさかの時の緊急警報装置(煙感知器)設置
平成14年:土着菌センター建設
     お宝歴史館建設
平成15年:柳谷安全パトロール隊の発足
    サンセットウォーキング大会の実施 (夕方毎のウォーキングは集落の人が殆ど参加するのが恒例)
平成16年:焼酎「やねだん」開発焼酎、以後5年で、幻の焼酎「魔王」「森伊蔵」にも並ぶ人気で国から注文が届く人気銘柄となった。 
平成16年:柳谷未来館建設
    :手打ちそば食堂の開業
平成18年:焼酎販売などで集落の余剰金は498万円に達し、約110世帯すべてに1万円のボーナスが支給される
平成18年:集落内の空き家を修復して迎賓館を開設各地から移住した芸術家を受け入れ。
平成18年:土着菌による足浴オープン
平成19年:減少一方の人口が増加に転じる (その理由は迎賓館に若手芸術家を受けれたことと、一般の人にも家主のいない空き家を月3万円で貸してくれること。)
平成20年:集落で稼ぎ出した余剰金は計438万円は、足腰の弱ったお年寄りに手押し車を貸し出す新たな事業に充て、子どもたちの将来のために使おうことを全会一致で決定。

 やねだんの元気の理由と課題に就いての、福岡市のシンクタンク「よかネット」研究員・雪丸久徳さんの意見。
 ― 過疎の一集落、やねだんが再生した要因は?
 
使い道が限定される行政の補助金ではなく、特産品の販売などで自主財産を生み出したことが大きい自分たちのお金を有効活用しよう、という意識が広がり、地域にあった産業基盤の整備や福祉の充実につながった。日々の仕事や生活の質の向上を実感できれば、創意工夫への意欲が増す。こうしたリサイクルがうまく機能したことが要因だ。」
  ― 地域再生を目指す人や地域は、やねだんから何を学び取れるか。
 「『儲かる地域』を目指すことの大切さだ。経済の環境が厳しさを増す今、自分の時間を地域活動に割く負担感は大きい。だが地域活動が現金収入など具体的な形になれば、暮らしを豊かにしたいという動機づけになる。もう一つは総出の意識。集落全員の利害が同じにならなければ、大切に練った地域活性化策でも尻すぼみになる」
 ― 再生は、豊重哲郎公民館長のリーダーシップに負うところが大きい
 「当初は非協力的な人もいたと聞くが、取り組みを継続させ『地域を第一に考える人だ』と理解の輪が広がった。今後の大仕事は後継者だろう。経験と知識を積み、計画の立案力を持つ時期リーダーが求められている。」

[私の意見]
・成功の原因は、雪丸さんの指摘の他に、豊重さんが経歴で見るように、アィディアマンであったこと、地域が小さいので効果が出やすいこと、都会で消えかけているるコミュニテイーが機能していたことであると思いますが、その他にも次のようなことが考えられると思います。
農業・畜産業単独でなくて、発見された土着菌を中心とする総合戦略、つまり土着菌による肥料製造→その肥料を使った上質の酒米の製造、土着菌の脱臭性能を使った畜産業への売り込みの総合経営戦略
・通信販売による産直活動
・それと豊重さんが銀行員だと言う、結果的には異業種交流ができたこと で、彼もこの重要性を訴えています。
・それと彼も補助金に頼れば思考停止になると言っていますが、彼らの活動に国や地方自治体に頼らず自分達だけの力で仕上げたことです。
・一方日本の農政は米作農家保護を続けた自民党政権に負けじと、民主党はまるでばら蒔きと批判されている農家の戸別所得保障制度を進めています。
  これで平均年齢約66歳(後10年すれば76歳)の農村の恒久的な対策となるでしょうか。
・問題はやる気がある農業従事者とその希望者のがやりやすいように制度を作ること
 そして彼らの自助意識やその技術を高めること、そしてそれを支援する組織やシステムを整備することです。

  然し菅さんのTPP参加(しなくもやはり緊急の課題である) 伴う農業強化の対策は一向に進まないようですが、これで日本の農業はどうなるのでしょうか。

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参照:Wikipedia 柳谷(鹿屋市)
       「やねだん」のホームページ
 (特に「やねだんが西日本新聞に連載されました!」をクリックして下さい。)