普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

少子化対策こそ前向きな投資

2009-05-29 15:50:36 | 少子高齢化

[少子化は既定事実か]
 昨夜のテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」で日本経団連の定時総会に出席した会社の社長、会長に輸出や生産に下げ止まりの動きが出てきた日本経済の今後の動きについての質問をしていました。
 今後の方向としてはゆるやかなU字型の回復、内需の拡大は少子化などの影響もあり、大きな期待は望めないので、やはり外需に頼らざるを得ないこと、それで日本経済の回復の鍵は日本の技術力、政府に希望することは思い切った景気回復策と言うのが、アンケートの大勢のようでした。

 このような意見は私のような経済の素人でも良く判りますし、私自身も似た様な素人考えをブログに書いて来またこともあります。
 ただ一つ心に引っ掛かるのは少子化を完全な既定の事実のように経済界の重鎮の人達が言っていることです。

[少子化と日本の競争力の強化]
 少子化の問題点は幾つか有りますが、アンケートの中の「日本経済の回復の鍵は日本の技術力」の問題について考えてみました。
 たまたま今日の読売の社説の教育再生懇 所得格差を埋める教育投資を
の中でも、
 高等教育への公的支出を充実させ、意欲や能力のある者が進学したり研究に専念したりできる環境を整える。それは、資源の乏しい日本が、技術立国として存在感を発揮していくうえで不可欠な人材の育成にもつながるはずだ。
書いてありました。
 この中で「不可欠な人材の育成」と有りますが、少子化のために日本経済の回復の為には、その育成すべき人材の数が少子化のために減っては日本全体としての技術力は落ちるばかり、経済界の話をその儘とれば、日本の経済はお先真っ暗ということになります。

[少子化問題の難しさ]
 少子化問題解決のための対策は後記のように誰でも考えつくですし、政府もそれなりの手を打っています。
 然し少子化には大きな壁があります。
 それは、
・「育児より自分たちの生活を優先」の考え方若い人達が多いこと(*注記
・戦時中の「産めよ殖やせよ」への反省から結婚への政府介入には否定的な声が大きいこと
 そのために少子化社会対策基本法の審議では、「女性の自己決定権の考えに逆行する」との批判を受け、前文に「結婚や出産は個人の決定に基づく」の一文が盛り込まれたそうです。 (Wikipdia
より)
 つまり少子化対策で政府に出来ることは、出産、育児の環境を良くするだけに留まっているのに、当事者たちは「自分たちの生活優先」と考えていることです。
 つまり行政側の考えと若い人達の考えは明らかに食い違っているのですが、戦前派の私でさえ、政府が若い人達に早く結婚や出産を奨励するなど抵抗があります。
 それで政府に出来ることは、出産、育児の環境整備だけ、後は若い人達の意識や価値観が変わってくるのを待つしかありません。

[もし少子化問題が解決したら]
 逆に、もし少子化が何らかの形で改善されれば、前に書いた日本の競争力確保のための質と量の確保のため以外にも、次のようなメリットがあると思います。
・年金や高齢者のため福祉制度の安定化
 支えられる人と支える人のバランスが取れる
・経済活動に必要な労働力供給の安定化
 外国人労働者の導入は西欧諸国のようにトラブルの原因となる、また階級社会が出来やすくなるが、それ日本人の心情に合わない。
・内需の拡大
 人口が増える分だけ需要が拡大、特に結婚する人達が増えると当然にカップルの住む為の住宅、それに備える家財道具の需要が出てくる
・止まらない少子化に対する閉塞感がなくなる
・日本の社会全体の活気づき明るさが増してくる。
 私のいる団地でも高齢化(約半数が高齢者の家庭)に伴う沈滞感→高齢者の死亡やホームへの入居という淋しさ→若い人達の入居の増加→子供たちの増加
 と次第に団地全体が活気づき随分明るくなり始めました。

[少子化対策のための前向きの投資を]
 少子化問題は幾ら難しくても、日本の競争力強化のためにも、日本の社会の健全化を保つためにも、あたかも既成事実かのように放って置けないと思います。
 最初の経済界り重鎮たちの言葉を借りれば、「政府の思い切った景気回復策」の対策の一つとして、少子化の解消に向けた思い切った投資を考えてはどうでしょうか。
 産科医の増員、託児所や小学生のための学童クラブや児童館などの増設、育児休業制度の整備、出産や育児のための負担軽減、低所得者の減少、非正規社員の正規社員化による安心できる環境の整備などなど、やれること、やらねばならぬことはいくらもあるようです。
 これらのへの投資こそ、少子化解消のメリットにも書いたように、明るい日本に向けた前向きの投資だと思います。
 日本は民主主義の国ですから、政府は先ず日本の将来の人口の構成のあり方を考え、その方向に向かうように、出産、育児の環境の改善のための前向きの積極投資をして、若い人達の意識の変化を待つと言う回りくどい道を選ぶしかないような気がします。
 然し、それしか日本社会の活性化の道はないような気がします。

このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。

政治ブログランキングへ

政治ブログへ

*注記:少し資料が古いですが、13年に世田谷区が行った男女共同参画に関する区民意識・実態調査報告書による少子化の原因(複数回答)です。
・子育てよりも自分の生活優先 男性52% 女性の43%
・子育てより自分達の生活を楽しみたい 男性42.9% 女性 48.6%
・保育施設、育児休暇が整っていない 男性26.5% 女性 18.6%