普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

世界の金融・経済危機発生に一役買った日本の銀行

2009-05-18 11:44:08 | 経済・財政

 昨夜のNHKスペシャルの「マネー資本主義 第2回「“超金余り”はなぜ起きたのか」で、膨大なマネーを世界にあふれさせ、無謀な投資を可能にしたと、厳しく批判されるグリーンスパン前FRB議長ら、アメリカのカリスマ的指導者。世界の金融界をリードした政策の何が問題だったのか? 関係者の証言で検証する。 (番組案内による)と言う放送がありました。

[国際金融資本の暴走を助けた日本の銀行]
 クリントン大統領時代の輸出増加のためのドル安政策、それに対して円高に苦しむ日本ほか各国からの抗議→グリーンスパンのドル高政策への転換に対して円安を目指す日本の「ミスター円」と言われた榊原さんなど協力→世界の基軸通貨のドル高により世界の金が米国に集まりことによる米国経済の活況ITバブルとその崩壊→経済回復のためのFRBの金利の低下政策→その資金を利用した膨大なマネーの米国の住宅投資とそのセキュリティーのための金融証券の発生住宅バブルの傾向→FRBの金利上昇による抑制策→然しそれが上手く機能せず、金融の神様扱いにされていたグリーンスパンも Conumdrum (謎)と嘆いた。
 その謎は、当時の日本のバブル崩壊のために、日本銀行のゼロ金利政策で銀行にだぶついていたマネーに目をつけた国際金融資本が、マネーの調達先を金利が上昇した米国から、金利の安い日本に切り換えたために彼の金利上昇策が機能しなかったことが判った。
(なお番組では金融資本が日本など各国から調達したと言っていましたが、ゼロ金利政策を取っていたのは、当時は日本だけだったと思うので、多分、マネーの殆ど大半は日本から調達したのだと思います。)

[日本の銀行の責任]
  NHKの番組は、米国の立場から見た経済問題を描いていましたが、日本の立場からみると、日本のバブル崩壊後の金融破綻を防ぐために、日本銀行が日本政府と協力して、第一の目的は銀行の救済のため、次に日本経済を建て直すために一般企業、特に中小企業への資金提供を円滑にするためゼロ金利政策を取りつづけました。
 然し銀行は日本銀行からゼロ金利で借りた資金の殆どを、日本銀行や日本政府の意志に反して、日本企業でなく世界の金融資本に提供しました。
 そして銀行がその儲けで他の業種に先駆けて業績を回復しましたので、その意味では日本銀行の政策は成功しました。
 然し、銀行は相変わらずに、企業へは貸し渋りを続けていましたし、日本経済は本格的に回復しないまま、日本銀行もゼロ金利を続けていました。
 そしてサブプライム・バブルの崩壊、未曽有の世界規模の金融・経済危機の発生、そして日本経済も急落し、離職者の急増で政府はそれにまた多額の予算を割く有り様です。
 これは素人眼かみた見方で、日本銀行も日本政府もゼロ金利政策と同時に銀行への指導もやっていたのでしょうし、銀行側から言わせれば、貸し出したくても資金需要がないとか、政府の干渉を嫌う、経営者の責任を問われるなどの何らかの障害があるなどの理由もあると思います。

 然し日本の銀行は回復には3年近く掛かると言われている今回の日本の金融・経済危機発生に対して完全無罪でしょうか?
 今回の米国発の金融・経済危機は日本にとって天災でしょうか?
 預金利子をゼロにするなど大きな犠牲を強いた庶民に対して、日本のための筈のゼロ金利政策が金融・経済危機となって跳ね返って国民や銀行以外の産業界に大きな被害を及ぼしたことに対して、先ず銀行、それから日本銀行や日本政府は何も言うことはないのでしょうか?
 また今となっても日本銀行は超低金利、日本政府も銀行任せを続けていても良いのでしょうか?
 G7やG20では暴走する金融資本に対して何からのブブレーキを掛ける必要だと言うことななったそうですが、そのままに終わりそうな気配です。

[銀行のモラル低下への対応]
 自由主義経済は企業容経営者や金融資本が公正な経営を行うと言う性善説に立つています
 私がシンガポールに滞在していたとき、現地の人に「同国の道路が綺麗で清潔だ」とお世辞を言うと、「いいえ、日本ではそのための投資をしなくても綺麗だから」とお世辞を返されました。
 つまり、現地人は放っておくと、唾を吐いたりごみを投げ捨てたりする習慣があるので、要所に警官を配置して(皆さんが知っておられるように)違反者から罰金を取っているのだと謙遜をしてみせたのです。
 シンガポールの人達のことを言っている訳ではありませんが、国民のレベルが低ければ、国の目的の追求のためにはそれだけの余分の人員と経費がかかるのは致し方ないことです。
 糾弾されている国際金融資本のモラルと共に、庶民の預金利子ゼロの犠牲のもとの、日本経済の成長・維持のためのゼロ金利政策を自分たちの儲けのためだけに使うという日本の銀行経営者のモラル・ハザードを避けられないとすれば、人員や経費が掛かっても何らかの処置を取るほかないと思います。
 そのためには一律のゼロ金利政策や、資金を提供すれば後は原則的に銀行の自主運営に任せめのではなく、政府方針に沿った貸し出しをしている金融機関への重点的資金な提供、そのための銀行の管理強化など、何らかの対策を講ずるのは仕方がないと思うのですが。

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