普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

北朝鮮の核実験と日本と中国

2009-05-27 11:44:04 | 国際社会

 北朝鮮がまた核実験をしました。
 これに対して、中国外務省は25日、声明で「北朝鮮が国際社会の全面的な反対を無視して再び核実験を行ったことに断固として反対する」と北朝鮮を非難しました。
 この種の問題では何時も慎重姿勢を見せるロシヤも同調したお蔭で、緊急会合が行われた国連安全保障理事会は1時間足らずで非難決議を出すことに決まりました。
 これに対して一番の当事者である日本は米国と協力して、実効性のある制裁決議案を作ろうとしているそうです。

[不可解な中国の態度]
 然しこれには北朝鮮に強い影響力を持つ中国の協力が欠かせません。
 (少なくとも表向きは) 中国は、その言っていることを聞かぬ保護国同然の北朝鮮からメンツを潰されたのですから、(これも少なくとも表向きの) 中国の北朝鮮に対する強い非難は当然のことです。
 中国の態度がこのまま行けば良いのにと思って居ましたが、案の定中国はまた非難決議に対して慎重姿勢を取り始めたことが報道されています。

 読売の社説は、
 今回の核実験では(前回と) 同じ轍を踏んではなるまい。新たな制裁決議は、より効果的な内容にすることが大事だ。
 ただ、新決議を採択しても、北朝鮮は公然と無視し、核開発とミサイル発射実験をエスカレートさせる可能性が高い。
 金融制裁の手段を持つ米国と、エネルギー支援を含め最大の援助国である中国が、本気で阻止しようとしない限り、北朝鮮に核開発を断念させるのは至難だろう。
 中国は従来、北朝鮮への制裁強化に慎重な理由として、自らが議長国を務める6か国協議の再開が遠のくことを挙げてきた。安保理の現議長国であるロシアも中国と同一歩調を取ってきた。
 だが、6か国協議が北朝鮮に核開発の時間稼ぎに利用されたのは紛れもない現実だ。
 協議の再開に応じるだけで見返りを引き出そうとするのも、北朝鮮の常套手段である。この期に及んでの対話重視の姿勢は、北朝鮮に足元をみられるだけだろう。
と書いています。
 
 つまり6か国協議の主催国である中国は北朝鮮から、(少なくとも表向きは)馬鹿にされているのです。
 それでもなお北朝鮮を孤立させることは、6か国協議の議長国として、また同国の暴走の可能性があるとして慎重姿勢をとる中国。
  小泉さんが靖国に参拝しただけで怒る中国が北朝鮮から何度もメンツを潰されても怒らない。
 普通に考えると、中国の動きには何か裏があるとしか考えられません。
 何しろ中国が本気で北朝鮮の核開発や、ミサイイル発射を止めようとすれば、中国が北朝鮮が暴走しない程度の経済制裁を加えれば、またその姿勢を見せれば、北朝鮮が中国のいいなりになるしかないと思うのですが何故そうしないのでしょう。

[どう動くのか米国]
 それから中国と米国の関係です。
 前回の北朝鮮のミサイル発射の時、日本と協力して制裁決議案を提唱していた米国が一転して中国側と協力姿勢を取り、孤立した日本がやむなく議長声明に賛成しなければならなかった苦い経験があります。
 今の所米国は強硬姿勢を示しているそうですが、前回のミサイル発射の例もあり、今回もその態度が変わらないとも限りません。
 そうなれば日本の外交はお手上げ状態です。
 日本独自の経済制裁は中国が北朝鮮を支援すれば、そして米国が折れると、その効果は大幅に減少します。
 おまけに、国際紛争の解決に武力が使えない日本は北朝鮮にとって何も怖いことはありません
 米国の場合はオバマ氏、北朝鮮先制攻撃論者を次期国防次官に指名
のニュースが示すように、また過去の武力行使の実績からすれば、下手をすればどんな軍事的な圧力が北朝鮮に加わるか知れません。
 だから中国も、北朝鮮も米国の動きを無視することは出来ません。
 然し、日本に対しては北朝鮮も中国も、日本からの経済的な影響を少し我慢すれば、後はやりたい放題です。
 だから中国も北朝鮮も日本を無視する一方で、何とか米国を取り込もうとしています。

[日本のこれから]
 それでは日本はどうしたら良いのでしょうか。
1.相変わらず米国と共同して今まで通りの外交を進める。
 そして米国の日本・中国・北朝鮮それぞれへの態度が変わらないように努力するか祈る。
2.田嶋陽子さんなどが言う様に、北朝鮮と正式に国交回復をする
 それには当然のように北朝鮮から賠償金もしくは資金援助の要求が出るがそれを拒否すれば、交渉は成立しないでしょう。
 北朝鮮はその資金を使って核開発やミサイルの改造に使うでしょう。
 そして日本は隠然たる北朝鮮の核の恐怖の中で、なにをしでかすか判らぬ独裁政府相手に国交を続けることになるでしょう。 (そんな馬鹿な!!!)
3.中谷元防衛庁長官の「攻撃的ミサイル防衛を」
発言のように、北朝鮮の言葉を借りれば、「他国からの攻撃の抑止力としての」攻撃的な軍備を備えること、and or 核開発の論議、状況により実行
 勿論、憲法の制約や(過去の戦勝国が言う元侵略国の)日本の軍備強化は大きな問題が起こるのは間違いないので、議論は政党やマスコミ、評論家で行うことです。
 政府は(表向きは)反対または無視、外野はその政府の弱腰姿勢の攻撃です。
 軍備強化の議論が盛んになるほど、中国も北朝鮮もそして米国さえ、日本の動きを無視できなくなるでしょう。
 つまり国内の議論が日本の外交力の強化になるのは間違いないと思います。
 もしその努力が不発に終わるなら、議論を実行に移すしかないと思います。
 この案の欠点は、政府と与野党、マスコミが結束して議論ができるかどうかです。
 然し、心ある政治家や一部のマスコミや評論家たちは、国の安全保障と言う国の一大事では、協力出来ぬ筈はないと思うのですが。
 それとも昔のように国の大事の時は挙国一致を夢見ている、戦前派の希望的観測なのでしょうか。
4.1.と3の組み合わせ
 私はこれが実際的且つベストの選択と思いますが。

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