普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

日本の原子炉製造技術を狙うロシア

2009-05-08 10:34:58 | 企業経営

原子炉製造技術:ロシア企業取得狙う 日本、官民で防衛 
 世界随一の原子炉製造技術を持つ日本メーカーをロシア企業が買収しようとし、日本が官民挙げての防衛策で阻止していたことが7日、明らかになった。麻生首相は11日から来日するロシアのプーチン首相と日露原子力協定調印で合意するが、協定締結は両国の攻防の末の妥結策でもあった。
 07年2月28日、来日したフラトコフ露首相は安倍首相と会談し、原子力協定の交渉を始めることで一致した。2日後、「ロシアのアルミ王」と呼ばれた富豪デリパスカ氏が、首相随行団から離れ、技術者を伴って日本製鋼所室蘭製作所を視察した。
 原子炉の心臓部の圧力容器は、継ぎ目を極力減らすため巨大な鋼塊をプレスして造る。原子炉は大型化しているが、同製作所は世界最大の約600トンの塊を造る技術を持ち、他の追随を許さない。
 技術に驚嘆したアルミ王は、関係者に言った。「あの会社の株を取得できないか。買収したい」
 デリパスカ氏はプーチン首相との親密な間柄で知られる。日本政府に「買収はロシア政府の意向だ」と危機感が走った。
 半年後の同年9月、日本製鋼所は20%以上の株取得を目指す投資家に目的などの説明を求める「事前警告型」の防衛策を導入。
 また、経済産業省は、外国資本が航空機・原子力・電気・ガス会社の10%以上の株式を取得する場合、外為法に基づく事前届け出義務があることをロシア側に繰り返し伝えた。
 08年6月、モスクワで開かれた原発事業の国際会議。日本政府の原子力委員会の神田啓治元専門委員は、ロシア国営原子力会社の副総裁から「あの工場を買いたいが厳しいようだ。政府間協定の正攻法でやりたいから協力してくれ」と持ちかけられた。
 7月の北海道洞爺湖サミットでもロシア側から「日露首脳会談で締結する」との観測が流れ、その後、交渉は異例の速さで進んだ。
 背景にあるのは、温暖化対策で世界中で原発新設が進むとされる「原子力ルネサンス」。日本の技術を導入したいロシアの熱意と、ロシアのウラン濃縮能力を活用したい日本の思惑が一致した。
 かつて日米同盟の仮想敵だった核大国との提携は、半世紀を超える日本の原子力エネルギー政策の転換点となる。
 原子力協定は、ウラン燃料などの核物質や原発関連部品の輸出入にあたり、核物質や核技術が流出したり、自国から送った核物質が相手国内で核兵器などに軍事転用されないようにする取り決め。協定がないと、本格的な核燃料輸出入や技術協力はできない。核不拡散のために結ぶ側面が強かったが、途上国で原発新設の動きが進むにつれ、先進国から途上国への原発輸出を円滑に進めるための側面も出てきている。日本はカザフスタンとも締結交渉を進めている。

[私の意見]
・日本生き残りの命綱の技術の流出
 事実上プーチン首相が率いるロシヤは一国主義で国の勢力の拡大を目指している国、日本から言えば不法占拠した北方4島を返そうとしない、中国と同じ煮ても焼いても食えない国です。
一方、日本製鋼所の室蘭製作所は戦前から軍艦の大砲の鍛造以来、伝統的な鍛造の技術とノウハウを持っています。
 私は毎日新聞の記事のように、日本政府も日本製鋼もその貴重な技術の流出しないように頑張って貰いたいと思います。
  グローバル化や、自由主義経済にかぶれた人達、自分たちの企業は日本企業で無くて世界企業だと考える、そして目先の利益しかない経営者たち、最近では海外へ流失した離職や退職した技術者たちから、日本の技術が外国に流れて行きました。
 例えば、日本得意のDRAMなどの半導体製造技術を利用した韓国や台湾から、日本企業が押されっぱなしという現実もあるようです。
   参照:止まらない中国・台湾・韓国への技術流出 

・自国のために動く外国政府と日本政府と企業
 グローバル化と言っても実情は、米国、中国、ロシヤ、インド、ブラジルなど広大な土地を抱えているのに、日本は狭い国土という大きなハンディキャップがあります。
 そうした各国も当然の話ですが、自国の有利を優先とした経済政策を取って居ます。
 だから日本も当然自国の有利になる政策を取らねば、禿鷹のような外国の企業から何もかも根こそぎ持って行かれます。
 狭い国土で人的資源しかない日本がが世界での厳しい競争の中で生き残って行くには、これも誰でも知っているように、一番の頼りはその優れた技術、そしてその技術を持つ技術者しかありません。
 勿論、市場主義経済やグローバル化の恩恵も受けているのも日本です。
 そして何を考えているか判らない中国や(今回の場合で言えば核燃料入手のため)にロシヤと何とかして付き合って行かねばならぬのも現実です。
 これらの事実と自国の経済の発展を如何にバランス良く取って行くかは、今回の室蘭の鍛造技術流出防止のように日本政府の責任ですが、企業もこのことを忘れることは、そのままその存亡に関わることを何時も留意しておく必要があると思います。

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