普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

麻生さんの所信表明演説とマスコミの責任

2009-01-29 15:23:59 | 麻生内閣

{麻生さんの演説とマスコミの社説}
 昨日の麻生さんの施政方針の演説について各社から評価、批判の社説が出ています。
 読売: 「政府の役割」を着実に果たせ
 「小泉改革路線」の修正、消費税率引き上げ、「国際社会の責任ある一員」として積極的役割、海賊対策に自衛隊を派遣などについて評価しています。
 そして、首相が示した現状認識や国創(づく)りの理念に異論はない。だが、肝心なのは、具体的な政策の実行であり、それを可能にする政治の力である。と指摘しています。
 朝日:麻生演説―信なき人の言葉の弱さ
 
演説の内容には軽く触れただけで、首相の言葉がいま一つ胸に迫ってこないのは、信任の問題、つまり総選挙から逃げているからだ。まして小泉時代に得られた与党の議席数を使って押し通すというのでは、著しく説得力を欠く。と批判しています。
毎日: 「麻生シナリオ」がうつろに響く 
 
と毎日も演説の内容には軽く触れただけで、結局、国民にビジョンやそれに伴う痛みを説く力が今の政権には欠けているということだろう。「脱小泉」を掲げつつ、郵政解散で得た多数で政権を運営するというのでは、全く矛盾している。衆院選による首相自身への信任がやはり必要だ。民意の裏付けなきスピーチは、うつろに響くばかりである。と批判しています。
日経:無視
産経: 「国のかたち」を論じ合え
   
基本的には演説の内容は評価、農地改革に対する自民党内の慎重論、国と地方の基礎的財政収支を2011年度に黒字化する目標は不可能なことに触れなかったことを指摘し、国民負担を求めるにあたり、行政改革やムダの排除を強調するのは当たり前だ。同時に医療、年金、介護の将来像を明示することが必要だった。こうした国のかたちを民主党も論じ合うべきだ
と指摘しています。

[私の意見]
 各社の社説はほぼ予想された通りです。
・麻生さんの決断力と実行力
 読売の社説のように、肝心なのは具体的な政策の実行とすれば、麻生さんがその実行力を示すためには時間がかかります。
  と言う事は任期一杯の9月まで頑張って、地方分権や今後あるかもしれない天下りなどの具体的な例が発生したときその処理にその決断力と実行力を示すことです。
 産経が指摘した農地改革への自民党内部の慎重論に対しては、消費税値上げ論争の時のように、麻生さんの動かない決意を示すことです。

・選挙の洗礼を受けること
 朝日、毎日が指摘した麻生さんが選挙の洗礼を受けるべきだと言うのなら、選挙の時の国民のために自民・民主はその政策を明らかにすべきです。
 その意味でも麻生さんの所信表明演説は仮に選挙ための発言にしても、自民党の政策を示したのですから、その具体的な内容について批判を加え、それに対する民主党も対案を出すべきだと主張するのが公平且つ適切なことだと思います。
 今までの両紙の政府・与党批判ばかりの姿勢から、つい次の政権与党になるかも知れない民主党への要求を忘れていたもしくは意識的に書かなかったのでしょうが、彼らの社説のタイトルを借りれば、信なき社説でありその主張はうつろにしか響きません
 朝日・毎日の批判で喜ぶのは民主党です。
 彼らはその社説で勢いを得て、大切な政権獲得後の実行可能な政策立案より、政権奪回の方に一層加速するでしょう。
 そして民主党が政権を取った後の混乱は目に見えるようです。
 その責任は民主党にあるのは当然ですが、政府・与党ばかり批判して野党を甘やかしたマスコミにも責任があると思うのですが。
 その時になって政権与党である民主党をまた攻撃するのかまたは庇うのか見物ですが、日本にとっては悲しいことです。

 その点から言えば、医療、年金、介護の将来像を明示することが必要だった。こうした国のかたちを民主党も論じ合うべきだ。と言う産経の指摘は正論だと思います。
  ついでに言えば、麻生さんは所得税増税分をどの範囲に使うかも明示すべきだったと思います。
 私は産経が暗に示したように、その範囲は医療、年金、介護に絞るのが一番判りやすくて納得しやすいと思うのですが。

・麻生さんはもっと国民に訴えるべき
 各社の社説では触れて居ませんが、麻生さんの言う様に日本経済を世界で一番に回復させるとは不可能だと思います。
 このことについて昨日のテレビ東京の「ビジネス・サテライト」でも言っていましたが、日本は輸出立国で、少子高齢化社会では内需の拡大は望めないからです。
 つまり外国の景気が回復して次第に日本からの輸出が増えてそれから日本の景気が回復するからです。
 麻生さん生来の楽観的な性格からの発言と思いますが、麻生さんはオバマさんの様にこれからは(日本の責任ではない)米国発の金融・経済危機苦しいが国民にも何とか頑張ってくれ、消費税増税も将来の社会福祉の安定のためにも必要なので何とか辛抱してくれと訴えれば、彼の演説が「うつろ」には聞こえ無かったと思うのですが、支持率低下した今このようなことを言えば泣き言に聞こえるからと思ったのでしょうか。
 麻生さんは今後のテレビ中継のある国会での質疑では、是非国民にも語りかけて貰いたいと思うのですが。

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